水圏フードシステム分野 水産増殖学研究室
この研究室は、生態系のバランスを意識した、持続可能な魚介類・藻類の増殖方法の確立を目指す。具体的には、オホーツクで増殖の行われている魚種を対象に、より効率よく、より自然に調和した増殖の道を探る。そのためにこの研究室は、対象魚種のいまだ未解明の多い生態の解明と増殖水域の環境の保全に関する研究を大きなテーマとしている。また、将来を見据えた新たな増殖対象種の可能性についても検討していく。
KEYWORDS
水産生物の管理、漁場の保全、新しい増殖技術の開発、生物の分布パターン、生き様の進化、気候変動への対応
水産動植物の生態と機能を調べ、増やす
当研究室では、生態系のバランスを意識した海藻類、貝類、エビ・カニ類、魚類の増養殖の技術開発や、それら天然資源の保全のあり方について考えていく。実際に海や川へ出てのフィールドワーク、実験室内での飼育や培養、顕微鏡下での観察など幅広いアプローチから研究を行い、成果を社会に発信していく。一時的な利益や価値にとらわれず、生態系保全の意義を明確にしながら、持続可能な新しい水産増殖を提案する。
所属教員
学生の主な研究テーマ
・ヤマトシジミの季節的深浅移動の地域間変異
・網走湖産スジエビの個体群構造
・有孔虫化石から見た能取湖120年の環境変遷
・網走二ツ岩に生育する緑藻ミルに関する研究
・能取湖産ホッカイエビの個体群構造における漁獲の影響
・網走川におけるモクズガニの生態的特性について
・網走周辺沿岸海跡湖の魚類相:能取湖卵原内川水系の魚類相
FREE TALK
フィールドワークは世界規模?
時には辛く、苦労の絶えない研究活動ですが、やはりフィールドワークは楽しいものです。例えそれが、「世界自然遺産、知床半島の先端中の先端の磯で、熊の影におびえながら。」もしくは、「サハリンの原野で車酔い&ウォッカ酔い覚めやらぬまま。」などの想像を絶する極限状況であっても、思い返せば、一生忘れられない思い出です。
知床では、野営地へは陸からは行けないので、海路で向かいました。また、野営地では、匂いで熊を近づけないように、食料をとても厳重に管理しました。時間外の夜食や、つまみ食いは、隊を危険に晒します。気を付けましょう。
サハリンでは、道なき道をロシア製軍用トラックの荷台の中で、300kmほど揺られて野営地へ向かいました。野営地では現地スタッフがご飯を作ってくれました。疲れた体に素朴なロシア料理が沁みわたります。サハリンで飲むウォッカは格別ですが、調子に乗ると、夜のサハリンの原野に倒れて、そのまま大自然の一部になってしまいます。十分気を付けましょう。
フィールドワークは危険が伴いますが、だからこそ素晴らしい経験が出来ました。
(4年 Y.)
沖縄研修旅行の思い出
3年の秋に研究室の皆で沖縄へ研修旅行に行きました。我らの北のオホーツク海と、沖縄のような南の海の違いを学ぶことが目的です。でも、ふたを開けてみれば思い出作りの旅行と言っても過言ではありませんでした。僕は地球に産まれて22年間ほとんど北海道にいたので、沖縄のような南国に降り立った瞬間、トロけました。暑かったです。
ちゅら海水族館に行きました。ジンベイザメやマンタのような大きな魚の泳ぐ姿に圧倒されました。そして、何と言っても北の海では見られない、色鮮やかな魚達に魅了されました。那覇の市場で食べた沖縄の魚の刺身は、トロピカルな味がしました。
北と南の海と生物、そして島の自然、文化、食べ物の違いに圧倒されながら迎えた夜の沖縄は最高でした。昼とは違って心地よい気温でありながら、しかしどこかに南の自然の熱さが感じられる、そんな夜でした。情熱的な泡盛の味を僕は忘れないでしょう。
この研修を通して、南の海の良いところ、そして北の海の良いところをそれぞれ頭と体で感じることができました。
(4年 マサキ)
阿寒での研究室キャンプ
増殖研メンバーの交流を深めるために、夏、雌阿寒岳に登山&キャンプを行いました。キャンプ地は神秘的な青色をたたえたオンネトー湖畔です。活火山の雌阿寒岳(標高1499 m)へトライした後(膝はへろへろ)、自分たちでテントを張り、野営の準備をしました。みんなで仲良く和気あいあいとBBQをしたり、夜は怖い話で盛り上がったり!!開放的な近くの温泉にいくと、野生のシカを眺めながら、眺められながら?!大自然の中では、仲間の普段の研究室では見られない一面も発見したり(笑)、同じ研究室の仲間との交流を深めることができました。
(4年 Satomi)
卒業研究の思い出
私の卒論テーマはシジミ(貝のシジミ。蝶ではありません)の季節的行動でしたが、それだけにこだわらずに色々な調査に参加するようにしていました。3年生前期、研究室配属になってからすぐにいろいろな調査地に行きました。初めはサロマ湖での採泥を体験し、十勝の生花苗沼では大シジミを探してきました。3年秋の知床調査では北大の方々と一緒に岬の先端付近で野営をしました。4年に入ってからは自分の卒論に関わる調査が多くなり、月1回の網走湖でのシジミ採集、2回目になる十勝での大シジミ採集などがありました。どれもこの研究室だから体験できる事であり、どの調査にも参加できたことが今ではとてもうれしいです。また、どの調査でも多くの学外の方々に大変お世話になり、色々な交流ができました。S田先生には大変感謝しています。これからの人生で直接的にはこの経験を活かすことはないかもしれませんが、きっと自分の考え方や行動に大きな影響を与えると思います。この研究室の仲間と一緒に大学生活を送れたことを誇りにして、社会人として頑張っていきたいと思います。
(4年生 サトゥー)