生物機能・制御化学分野 応用微生物学研究室
多種多様な微生物の中から人の生活に寄与する有用な微生物を見出し、その機能を分子レベルで解明する。そして、科学的根拠に基づいた有用機能を発揮するための技術的な基盤を構築し、実用化を目指す。
KEYWORDS
生物農薬、粘膜免疫・ワクチン、遺伝子組換え・ゲノム編集、乳酸菌、枯草菌、腸内細菌
微生物の機能を理解し、応用する
微生物は環境中の至るところに生息し、その環境へ適応するために多種多様な機能を発達させてきた。一方、人類は微生物がもつ有用な機能を見出し、応用することで豊かな生活を築き上げてきた。当研究室では、分子生物学、生化学、天然物化学、免疫学などの知識や手法を駆使し、食品に由来する微生物や動植物に共生する微生物が有する機能を利用する、或いは新たな機能を付与することで、人の健康や生産活動に資する微生物学研究を行う。
研究紹介
所属教員
学生の主な研究テーマ
・Bacillus属細菌が生産する新規環状リポペプチドの探索・植物病原性糸状菌の生育を促進する土壌細菌の植物病害助長効果
・Microbacterium属細菌によるキノコ腐敗病毒素解毒機構の解明
・組換え乳酸菌を用いたアレルギー治療製剤の開発
・乳酸菌を用いたHIVワクチンの開発
・トランスポゾンを用いた乳酸菌における免疫誘導関連分子の探索
- ・磁性乳酸菌の作製と経口運搬体への応用
- ・奄美大島の発酵飲料「ミキ」の細菌叢解析
- ・有べん毛乳酸菌と宿主腸管細胞の相互作用解析
FREE TALK
微生物研究の魅力
私は大学院でキノコの病害についての研究を行っています。この病害は土壌中の病原菌が分泌する毒素ペプチドのtolaasinにより子実体が茶褐色に変色してしまうものです。キノコには農薬が使用できないため、今のところ無菌に保つという方法しか解決策がありません。この問題を解決する為にtolaasinを解毒する放線菌であるMicrobacterium属細菌を用いた生物防除が期待されています。私の研究はこのMicrobacterium属によるtolaasin解毒メカニズムを解明するというものです。 実際のところ、キノコ病害についての研究はあまり行われていません。特にMicrobacterium属のtolaasin解毒については、おそらく世界中で私しか研究していません。つまり世界で一番詳しいことになります。世界で一番というのは普段の生活ではなかなか経験できることではないと思います。微生物の分野はまだまだ分からないことばかりである為、微生物学研究室では世界で一番自分が詳しい事柄を手に入れることが出来るという点ではとても魅力的であると思います。 今まで、特に夢中になれることがなかった私は研究の虜となりました。失敗や上手くいかないことも多いですが良い結果が出たときの喜びは最高です。私は微生物学研究室に入ってほんとうに良かったと思っています。(S.T.)
充実した卒論研究
研究が始まってから私の大学生活は大きく変化しました。仮説を立てて実験を繰り返し、データを基に考察しまた新たな仮説を立てて…このように過ごした1年間は本当にあっという間でした。就職活動もあり辛い時期もありましたが、楽しかった思い出のほうが多く感じます。普段から気さくに接してくださる先生方、何でも相談に乗ってくれる大学院生の先輩方、明るく雰囲気を盛り上げてくれる後輩たち、楽しい時間を共有し辛い時に支えてくれた同期のみんなと過ごした時間のおかげです。自分の意志で何かに取り組み、それがどこまでの評価を得られるのかを学生のうちに力試しできたのはとても貴重な経験だったと私は考えています。充実した研究生活を過ごさせていただき心から感謝しています。(K.U.)
かけがえのない研究室での生活
私はこの一年間、乳酸菌を用いたHIVのワクチン開発について研究を行ってきました。研究テーマが決まった当初は、微生物の食品利用に関係した研究に取り組みたいと意気込んでいた出鼻をくじかれた思いでしたが、今では免疫学を一から勉強することができたこの機会にとても感謝しています。 研究室での生活は、予定通りにいかないことの連続でした。実験結果に頭を悩ませたり、終電で帰る日々が続いたりと、ハードな生活が続いた時もありました。それでも研究に取り組み続けることができたのは、周りの支えがあったからだと思います。配属当初は今まで関わったことのなかった人たちばかりで不安でしたが、研究について相談に乗ってくれた先生方や院生の先輩方をはじめ、うまくいかない実験結果を笑い話に変えて元気づけてくれた同期の存在は、次第にかけがえのないものとなっていました。正直、苦労話もたくさんありましたが、研究室のメンバーという大切な仲間が多くできたことが、私は驚きつつも誇ることのできる、最高の思い出です。 今後は私も社会人となります。近い将来、研究室でともに過ごした仲間たちと再び顔を合わせ、色々な話に花を咲かせることを楽しみにしています。(S.K.)