植物保護分野 植物病理学研究室
調和ある生産環境の創出と未利用資源の探索
自然環境や農業生産現場に生育する植物の周辺には、様々な機能を持つ多数の微生物が生息し、植物の生育阻害要因となることもあれば、生育促進効果や病害虫への耐性付与など、有用な機能を発揮することも知られている。当研究室ではPlant Rescueを合い言葉に、これら多様な性質を持つ微生物の検出・同定・分類、その生理・生態や機能の解明、周辺環境と調和した好適な生産環境の創出をめざして研究を進めている。これら微生物の持つ新たな機能の発見に努め、広く人間生活全般への利用方法について研究している。
所属教員
学生の主な研究テーマ
・酵母資材がレタスの生育に与える影響
・ニンニクおよびタマネギ軟腐病菌の薬剤感受性に関する研究
・シイタケに生息している細菌のフローラを活用したシイタケ菌床栽培における腐敗性病害の新規防除法の検討
・微生物源色素の利用に関する研究
・ゴボウ根茎を用いたSphaceloma属菌の分生子形成法の開発に関する研究
・モモせん孔細菌病菌の薬剤感受性について
・江戸川区で発生したダイズシストセンチュウの植物由来揮発性物質を利用した防除
FREE TALK
センチュウは魅力的な研究テーマでした。植物病理学の中でも未開拓な分野であり,さらに現場に直結した研究ができたことは幸いでした。センチュウによる被害の実態把握と防除手法の開発には長い年月がかかり,また発生要因についても単純でないことを知りました。机上の研究だけではなく現場との連携を大切にして問題の解決を図る重要性にも気づかされました。まだまだ未開拓な分野のあるセンチュウ研究に,今後多くの学生さんたちが参入することを希望しています。
研究室で何かを成し遂げるだけが魅力ではないと感じる4年間でした。私は指導教員の助力のおかげで学外の研究機関で3・4年生の期間を過ごしました。今まで黒板や教科書越しに見てきた技術や現状を現場で見ることができたこの2年間はとても貴重な時間でした。今後社会に出て,学んだものを十分に活かせるかどうかわからないが,象牙の塔にとどまることなく現場を見通すことができた貴重な体験は,何らかの形で私の将来によい影響を与えてくれるものと思います。
卒業論文とは何であろうか。少なくとも美味しい食べ物ではないと思う。卒業論文とは,この研究室という名の生き地獄から社会という名の不条理な現実の飛び立つために越えねばならない試練である。そうして今,無事社会に旅立つことができるのである。でも学生のままでいたかった。
(P.N.サルスベリ)