東京農業大学

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開発途上国の発展と地球規模の保全を担うパイオニア

「南相馬でサマースクール」人材育成で復興支援 地元高校生対象に

2019年10月31日

東日本大震災と東京電力福島原子力発電所の事故による大きな被害を受け、いまだ復興途上にある福島県浜通り地方の高校生に、農学分野の勉強の面白さを理解してもらうことを目的にした「東京農大サマースクール」が8月8日、南相馬市で開かれた。高校生21人に、東京農業大学の大学院生・学生33人もサポート役で加わり、真夏の日差しの下、汗を流しながら農学の幅広さ、奥深さを実体験していた。
専門の教員が企画した4講座のうち、「田畑と里山の虫たち」では昆虫生態学が専門の国際食料情報学部国際農業開発学科の足達太郎教授が担当した。

昆虫から環境が見える

「田畑と里山の虫たち」には、高校生7人と大学生5人が参加した。マイクロバスの中で、大学院生の柿沼穂垂さんが、これから始める群集調査について説明。「群集とは、ある一定区域に生きている生物種の個体群をまとめて考えるときの概念。それを調べることで、自然環境の変化などが分かります。また、これから捕まえる昆虫類、甲殻類、クモ類、ムカデ類などの節足動物は世界の生物の85%を占めます」などと解説した。
到着した相馬農業高校のひばりが原農場の草地や茂みには、事前に虫などを捕まえるトラップ(罠)を仕掛けてある。地面に掘った穴にプラスチックのコップを埋めておいた罠や、虫がいったん入ったら出にくいプラスチック製の容器の罠を木の枝に吊るしておいた。足達太郎教授が、「さて、何が入っているかな。見てごらん」と、中身を確認させた。エサの種類により、捕まる虫の種類も違っていた。高校生たちはさらに捕虫網を使って昆虫を捕まえた。ナミアゲハを捕まえると、足達教授は「標本にしたい? それなら殺し方を知っておかないと」とナミアゲハの胸部を指で挟んで圧迫する〆方も指導した。この後、高校生たちは近くの高校理科室に移動し、採集した虫たちを同定し、その数を数えた。
その後、班ごとで、何を学んだかについて討論し、その成果を全員の前で発表。発表ごとに大きな拍手が送られた。

足達教授(左)から捕えた昆虫を標本にする方法を学ぶ参加者

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