東京農業大学

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あい

2020年4月2日 学科長メッセージ『新入生へのご挨拶』

2020年4月6日

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。また、保護者の方々をはじめ、ご家族皆さまにもお祝い申し上げます。緊張しながらも晴れ晴れとしたお顔を見ながらお話しできないのがとても残念ですが、安全のためにはやむを得ません。

 私たち食料環境経済学科は、食を通じてよりよい社会を実現する人材を育成しております。問題を発見し、全体を見通して、みんながメリットを感じられるように、最適な答えを見つけられる人です。そのため経済学を中心に社会科学の視点から学びます。経済学と聞くと、難しそうだなと思うかもしれません。具体的なことは、これから講義や演習で勉強していきますが、最も重要なことは社会の出来事に関心を持つことです。

 今、いちばんの問題は、やはり新型コロナウイルスでしょう。この問題も私たちの学科と無縁ではありません。たとえば、一部のスーパーで食品の買いだめが起こっており、空になった陳列棚がテレビで映し出されております。こうした消費者の行動は冷静さを欠いていると批判する人がいます。しかし私はそうは思いません。消費者は万一食料が手に入らなかったらそれこそ死活問題であり、自分を守るという個人の行動は至極当然です。しかし、一人ひとりの行動が合理的であっても、それが積み重なると全体として良くない結果につながることがあります。専門的にはこれを「合成の誤謬」とよんでおります。詳しくは、教室で勉強します。

 人びとのモラルに訴えて自制を促すことも意味はあります。しかし、それは大学で学ぶことではありません。大学では、現象を論理的に理解することを学びます。そのうえで、解決法を考えていきます。つまり、買いだめを起こさせないような仕組みをつくるか、買いだめが起きることを想定して、対応策を考えておくことが重要でしょう。実際、多くのスーパーでは対応策をとっております。どのような食品がとくに需要が急増しているか考えてみて下さい。あるスーパーでは、入り口近くにカップ麺が山積みになっておりました。おそらく千個以上はあったでしょう。あまり売れていなかったようでした。これは限定個数マーケティングの逆の手法です。希少性に消費者は必要以上に価値を見出しますが、いつでも買える状態なら、焦って買いに走ることはないのです。

 このほかにも、いろいろな対応策がみられますし、一方でもっと深刻な事態も想定されます。皆さんがキャンパスに来られるようになったら、是非いっしょに勉強して、議論したいと思っております。食料環境経済学科の教員一同、皆さんのご入学を心より歓迎し、お会いできることを心待ちにしております。

2020 年4 月2 日
東京農業大学
国際食料情報学部 食料環境経済学科
学科長 高柳長直

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