環境経済分野 環境経済研究室
資源・環境の評価・保全を経済学で考える
資源問題・環境問題は現代社会の最も重要な問題の一つです。その内容は、地球温暖化のような世界規模の問題から食品ロスの削減やリサイクルのような身近なものまで多様です。また、農業・農村の生物多様性保全機能やレクリエーション機能など、高く評価されながら価格付けがなされていない環境の存在も重要です。当研究室では、こうした幅広い分野にアプローチし、食資源の有効利用や環境保全の重要性を明らかにすることにより、有効な資源・環境保全政策に資する研究を行うことを目的としています。
所属教員
学生の研究テーマ
農業生産段階における食品ロス発生の要因解析
離島における産業発展 -沖縄県伊江島のサトウキビ産業を例に-
沖縄県におけるサンゴ礁の経済的価値 -保全に対する人々の意識-
白神山地と地域住民 -価値の認識と教育-
2020年度 研究テーマ
食品ロス・バイオマス・地域活性化
現在、地球環境は CO2 の増加による温暖化や砂漠化、水不足など深刻な多くの課題を 抱えている。そういった環境問題が発生している近年、持続可能な開発目標「SDGs」が 頻繁に話題として取り上げられている。本研究では、「SDGs」という国際社会全体が取り 組むべきとされる 17 の目標の中から「飢餓をゼロに」「エネルギーをみんなに そしてク リーンに」「住み続けられるまちづくりを」の 3 項目を選択し研究を行った。具体的な研 究テーマとしては、「大学生の食品ロス意識と削減行動の実態調査」「地域におけるバイオ マス活用の可能性について」「佐渡島におけるグリーンツーリズムの意義と可能性につい て」の 3 点である。
「大学生の食品ロス意識と削減行動の実態調査」は Google Form を用い、195 名の大学 生にアンケートを実施した。食品ロスを削減するためにどういった行動をとっているのか をより詳しく知るために「行動」を「購入・管理・調理」の三段階に分け、詳細な分析を 行った。その結果、食品ロス削減には意識と行動の啓発の両方が不可欠であり、食品ロス 削減の方法や食品の管理方法の啓発や周知を行っていくことが重要であるということが示 唆された。
「地域におけるバイオマス活用の可能性について」はバイオマス資源を廃棄物系・未利用・ 資源作物バイオマスに分け、それぞれの事例からバイオマス発電の今後を考察した。林産 系は群馬県の上野村、家畜系は北海道の鹿追町、廃棄物系は新潟県の長岡市の事例をそれ ぞれ研究した。その結果、地域内の資源だけでエネルギーを生み出し、関連産業の促進や 廃棄物処理問題を解決していることがわかり、持続可能な地域社会の形成に大きく寄与で きると考察した。
「佐渡島におけるグリーンツーリズムの意義と可能性について」は新潟県佐渡市を調査 の対象地とし、実際に、佐渡市の農家さんと DMO の清永さんにヒアリングを行い、地域 活性化の課題として、農業と観光業の連携が不十分であることがわかった。その結果より、 地域住民観光客双方からの情報の収集、管理、共有を徹底するべきであると考察した。