農業経済分野 地域社会経済研究室
食と農の現場に赴き、私たちの食と地域のこれからを考える
私たちの食の源をつくる農林漁業の現場は、今どうなっているでしょう。本研究室は、国内や海外のフィールドに赴き、地域の生産や暮らしを肌で感じ、地域の人々と対話しながら学ぶことを重視します。そこには素晴らしい出会いとたくさんの発見があります。人口減少や産業の衰退に悩みながらも、地域の自然環境を守り、地域の資源や知恵、伝統を生かし良いものを作ろうとする創意工夫。それを都市の消費者とつながりながら伝えていこうとする取り組み。経済のグローバル化により私たち消費者の食生活が変化すると同時に、食を支える現場も大きく変わっています。その変化と地域の取り組みを直接現場で学びながら「現場に強い」人材を目指そう。
地元の漁師さんにインタビュー(北海道)
専門家の方からお話を聞く(北海道)
特産品のサツマイモを生かしたイベントを、ゼミ学生が主催で地域の人と実施(宮城県)
所属教員
学生の研究テーマ
地域資源(食、技、文化、景観等)を生かした地域活性化の方策
高齢化、人口減少社会における地域コミュニティーのあり方
アジアの食料需給と農業・食品産業
アジアの農業・農村開発の課題
2020年度 研究テーマ
日本ワイン産地の現状と課題-山梨県に焦点を当てて-
日本国内では 7 回ものワインブームを経て、近年、ワインの消費量・醸造量ともに増加 してきている。国産原料を使って国内醸造される「日本ワイン」は、ワインの国内流通量 の約 5% と微量ではあるが、世界コンクールで入賞するなど質が上がってきており、ワイ ナリーの場数も増加傾向である。
本研究では、日本ワインの主産地である山梨県におけるワイン産業の現状と課題、各ワ イナリーの現状について明らかすることを目的に、既存文献の分析とともに ZOOM によ る山梨県庁への聞き取り調査及び山梨県内の全ワイナリーに対して電話やメールによる聞 き取り調査を行った。
その結果、山梨県では、ワイナリーと行政が連携し地域が一体となってワイン産地を確 立・維持しており、一般的に日本ワインの生産にあたって指摘される苗木不足や原料ぶど う不足等の問題に対処していることが明らかとなった。しかし、北海道や長野県など国内 他産地の台頭、輸入ワインの増加によって、今後さらなる競争激化が見込まれる。山梨県 のワイナリーは数が多く非常に多様であり、多様化する消費者のワインへのニーズにこた えることができる。それを生かし、日常でのワインの消費拡大を進め、国内および地域で の消費を拡大することが重要であると考えられる。