東京農業大学

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鈴村ゼミ

1.専業農家の経営課題の克服と地域活性化

農村で高齢化や労働力不足が進んでいるということを聞いたことがあるでしょうか。例えば農業就業人口は、1985年には542万人いましたが、30年間で6割減少し、200万人割れ目前の状態です。年齢別の内訳をみると、65歳以上の高齢者の割合は64%を占める一方、39歳以下は7%もいません。高齢化を食い止めるためには、若い農家を増やすしかありませんが、15~29歳の農業就業人口は6万3千人と5年前より2万6千人減っている状況です。

特に、こうした高齢化の進行は地方で激しく、条件不利な離島はなおさらです。私たち研究室が関わる佐渡島はおけさ柿というブランド柿の大産地ですが、ここでも収穫期の労働力不足が年々深刻化してきている状況に変わりはありません。

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そこで我々研究室と佐渡市が協力し、人手が最もかかる農作業の忙しい時期に「農に関心を持つ都市住民」の手を借りる「農村ワーキングホリデー」という仕組みが佐渡市に導入できないかというプロジェクトが始まりました。「農村ワーキングホリデー」とは、農繁期に労働力がほしい農家のニーズと、農業・農村に関わりたくてもその方法が分からない都市住民のニーズをつなぐもので、相互の援農パートナーシップとも呼ばれています。

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国際バイオビジネス学科では、2年次に必修の実地研修がありますが、離島の条件不利地域の農業を経験したものはおらず、このワーキングホリデー実習は学生たちにとっては新鮮で、新たな発見を伴う体験となっています。また、取り組み自体が4年目を迎える中で受入農家にとってもありがたい存在との評価をいただいています。研修の成果は毎年報告書にまとめていますが、学生個々人が佐渡の実習を通じて得た問題意識を掘り下げるべくテーマを持って取り組んでいます。

2.ドラッガーから企業のトップマネジメントの要諦を学ぶ

3年生の後期ゼミでは、現在、経営学者として名声の高いP.F.ドラッカー(1909~2005)の「経営者の条件」を輪読しています。ウイーン生まれのユダヤ人であるドラッカーはアメリカにわたったあと保険会社の顧問や経営コンサルタントを経て、その実践に裏付けられた理論を学術的に極める学者の道を歩んだと言われており、名著「マネジメント」を残しています。

「成果を出すにはいかに機会を捉えるか」、「時間こそ誰にも公平でかつ最も貴重な経営資源である」「強みの上に築け」などの名言は、いずれも成果を生み出す組織のあり方、トップマネジメントの姿勢、人材育成のエッセンスを伝えるドラッカーの教えです。こうした考え方は、日々の環境変化の中で絶えざる変革を迫られる農業経営の世界にあてはまるのはもちろん、就活を控えた3年生の社会人としての生き方を考える上でも重要な示唆を与えています。

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3.明治大学農学部食料環境政策学科との合同卒論報告会で互いに研鑽

今年で4年目となる明治大学との卒論合同報告会は、同じ農業経営学をベースとした研究室同士、類似のテーマが多い中で、普段関わり合うことのない仲間と率直な意見交換を行います。対外発表に耐えるプレゼン能力と研究成果の質の向上を目指して、両校の選抜メンバーが熱い議論を戦わせます。 卒論指導では、現場から学ぶフィールド調査を大切にし、ヒアリングやアンケート調査から新しい知見を得ることを重視しています。ゼミ活動では、ヒアリング調査票設計の大切さを学ぶとともに、アンケート設計の基本や統計解析の応用など、分析手法の習得にも力を入れています。

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鈴村ゼミ紹介

研究分野: 農業経営学・農業構造論・都市農村交流論

研究テーマ: 
経営者機能と経営改善支援方策に関する研究
農業・農村体験活動を介した地域活性化に関する研究
研究内容:
担い手の経営支援に関する分野では、日本農業を支える担い手農業者の成長要因を経営管理能力や経営者資質の観点から探っています。また、農業者の自発的経営改善活動を促進するための支援方策のあり方について農林水産省と連携しながら検討を行っています。
都市農村交流の分野では、少人数分宿型教育旅行や農家民宿、農村ワーキングホリデー、援農ボランティアなど都市農村交流が農村地域にもたらす経済効果、非経済効果の定量的解明を行っているほか、参加者に対する教育的効果の把握にも努めています。

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