東京農業大学

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研究紹介|食料資源理化学研究室

コメ胚乳に内在する酵素と米飯食味との関連性の解明 ご飯~酵素による美味しさ仕立て~

米飯の美味しさとは何だろうか?コシヒカリという良食味米の育種から、次の世代の品種が育種され、我々は、美味しい米飯をたくさん選ぶことができるようなった。しかし、その美味しさを解明した研究は少なく、なぜ美味しいのか?そのメカニズムを明確に説明することはできていない。当研究しては、その謎を解明すべく研究を行っている。

コメは炊飯して米飯になる。炊飯過程中の化学変化を解明することでご飯の美味しさを説明することができるのではないかと推察できる。例えば、下の図に示すように、米胚乳に存在する酵素がデンプンを分解することにより食味を変化させていること証明している。その現象の一つとして、炊飯中の酵素作用の差異により、米飯表層の構造が異なっていることがわかった。

当研究室では、米飯の美味しさおよびコメの加工特性など食品業界に貢献するために様々な研究活動を行い、食品化学分野の発展を目指している。

[論文]
・The Rice Grain Localization of Endosperm Enzyme Activity, Tsujii et al, Food Science and Technology Research, Vol.23 No.1 Page.151-155 (2017.01)
・登熟温度が米胚乳酵素活性量に及ぼす影響,辻井 他4名,日本食品科学工学会誌,Vol.62 No.11 Page.527-533 (2015)

[学会発表]
・ 良食味QTLがコシヒカリ交雑体の理化学的特性に及ぼす影響, 辻井 他4名,日本食品保蔵科学会大会(2017)
・ Japanese Cooked Rice Metabolome Analysis By Gas Chromatography-mass Spectrometry, Tsujii et al, International Society for Southeast Asian Agricultural Sciences, 2015 Annual Meeting (Japan)


乳製品のテクスチャーに関わるカゼインミセルの構造特性の解明およびミセルの特性を活かした新たな乳製品/食品加工技術の開発

ヨーグルトやチーズなどの乳製品の「おいしさ」に関わるテクスチャーには、乳タンパク質のカゼインミセルの構造特性が重要なキーとなっている。カゼインミセルは、αS1, αS2, β, κ-カゼインが様々な化学結合で高分子のミセルを形成していることから、加工過程(加熱、pH、カルシウムなどの塩、酵素添加)でその構造が変化する。その構造変化によりヨーグルトやチーズといった乳製品のテクスチャーに差異が生じる。しかし、カゼインミセルは高分子で複雑であることから、それら条件での構造変化やその特性は未だ詳細には明らかになっていない。そこで我々は、各条件でのミセルの構造特性を明らかにし、その特性を活かした新たな乳製品および加工技術の開発を目指し研究を行っている。

[論文]
・Effects of the thermal denaturation degree of a whey protein isolate on the strength of acid milk gels and the dissociation of κ-casein. Oka et alJ. Dairy Res.,   89 (2022). 
・Dry-heat treatment of skim milk powder improves acid-induced gelation due to protein glycation and cross-linking of caseins. Oka et al. Food Sci. Technol. Res., 27 (2021). 
・Effect of heat-induced κ-casein dissociation on acid coagulation of milk. Oka et al. Journal of Dairy Research, 85 (2018).
Effect of κ-Casein Dissociation from Casein Micelles on Cheese Curd Formation. Oka et al. Food Sci. Technol. Res.​​​​​​​, 23 (2017). 
ヨーグルトのテクスチャーに与える脱脂乳の加熱処理の影響と要因. 岡, 他3名. 日本食品保蔵科学会誌, 38, 347-350 (2012). 

[学会発表]
・ Effect of dissociation of kappa-casein from casein micelles on the acid milk gel formation. Oka et al. Institute of Food Technologists 2017 Annual Meeting (USA)
・ Effect of kappa-casein desorption from casein micelles owing to heat denaturation on yogurt conformations. Oka et al. Institute of Food Technologists 2015 Annual Meeting (USA)

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