東京農業大学

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人の生活の豊かさと環境との調和を化学・生物学的視点から実現する

研究紹介|生物有機化学研究室

“ものづくり”生物活性物質・有用物質を作る有機合成化学的研究

 動・植物、昆虫、微生物などが作り出す生物活性物質(天然有機化合物)はさまざまな生命現象を司っている。我々は有機合成化学的手法を駆使することによって、種々の生物活性物質をフラスコの中で人工的に合成したり、また、天然の生物活性を超える機能分子・有用物質をデザイン・合成したりする“ものづくり”を通じ、医農薬などに応用、諸分野に貢献することを目的に研究を行っている。

1. 炭素環を有する機能未知の糖Bradyrhizoseの新規合成法を開発 1)

2. トウモロコシの防御物質Zealexin B1の合成法を開発 2)

3. C–P結合を有する除草活性物質Phosphonothrixinの新規合成法を開発 3)

4. 抗がん剤Taxolの側鎖アミノ酸やepi-Cytoxazoneの新規合成法を開発 4),5)

1) Total synthesis of the methyl glycoside of bradyrhizose via intramolecular pinacol coupling. Y. Matsushima, Y. Ito, H. Konno, Tetrahedron Lett., 2022, 106, 154060.
2) Efficient synthesis of zealexin B1, a maize sesquiterpenoid phytoalexin, via Suzuki-Miyaura coupling. Y. Matsushima, K. Ishii, A. Huffaker, E. A. Schmelz, Tetrahedron Lett., 2022, 91, 153641.
3) Concise and scalable synthesis of (±)-phosphonothrixin. Y. Matsushima, K. Nakamura, Results in Chemistry, 2021, 100251.
4) Concise synthesis of the Taxol side chain and demethoxy-4-epi-cytoxazone via oxazoline formation through intramolecular benzylic substitution of a bis-trichloroacetimidate. Y. Matsushima, M. Orita, Tetrahedron Lett., 2021, 73, 153095.
5) Short synthesis of epi-cytoxazone via oxazoline formation through intramolecular benzylic substitution of a bis-trichloroacetimidate. Y. Matsushima, M. Ishikawa, R. Shibasaki, Y. Nojima, Tetrahedron Lett., 2018, 59, 231–233.s

植物二次代謝関連酵素の機能解析

植物は二次代謝化合物と呼ばれる低分子化合物を体内に蓄積し、植物自身だけでなく、周りにすむ昆虫や微生物、さらには人間にも効果をおよぼす場合があり、農薬や医薬品へも応用されている。植物はそれぞれに独特な化合物を生産しているため、簡単な構造のものから複雑なものまで構造は非常に多様である。これらの化合物は各植物の持つ多様な酵素によって合成されている。そこでこれらの酵素を詳細に解析することで、各酵素の持つ多様な機能がどのようにして生じているかを解明する。また、植物の生産する二次代謝化合物の中には、その生合成経路が不明のものも多く残っている。このような生合成を解明することにより、これまで知られていなかった新たな反応を行う酵素が発見されるかもしれない。

天然物からの生物活性物質の探索

植物・微生物などの天然物には構造的及び機能的にユニークな化合物が多く含まれることから、これらの化合物は、新たな医薬品・農薬・健康食品などの開発に利用されている。我々は果物の種子や果皮など普段廃棄されるような未利用資源に含まれる化合物に着目し、それらの化合物の中から健康機能を調節する化合物を単離・同定することで、新たな付加価値を見出す研究を行っている。

[論文]
・ Isolation of phenolic acids and tannin acids from Mangifera indica L. kernels as inhibitors of lipid accumulation in 3T3-L1 cells. Takahiro Fujimaki, Chikako Sato, Rei Yamamoto, Sayo Watanabe, Hikaru Fujita, Hidehiko Kikuno, Masayuki Sue, Yoshitaka Matsushima, Bioscience, Biotechnology and Biochemistry, volume 86 Issue 5, pp665-671, 2022

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