東京農業大学

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動物の特性と生命現象の探求
※2018年4月 畜産学科より名称変更

毒素というとどのようなものをイメージするでしょうか?「怖い」、「危ない」、「死」など非常にネガティブなイメージがあると思います。実際に法律上の毒物は成人に経口投与した場合2g以下で致死に至る物質と規定されており、微量で致死に至る「危ない」物質です。しかし、なぜ微量で致死に至るのでしょうか?それは体の中の組織や細胞に「効率よく」効果を示すことが出来るから、微量でも生体に致死作用を示すことが可能になるのです。例えば、ヒトや動物がかかる感染症の一つとして、ボツリヌス症があります。このボツリヌス症はボツリヌス毒素によって引き起こされる疾患です。ボツリヌス毒素は筋肉を麻痺させる作用があり、四肢の麻痺や呼吸筋の麻痺を引き起こすことで中毒症を引き起こします。ボツリヌス毒素は微量で作用し、自然界では最強の毒素と言われています。

中毒を引き起こす量よりもさらに少ない量を使用することで筋肉の痙攣を止め、また痛みを止める作用に使用できることが分かり、現在ではヒトや動物の様々な疾患の治療薬としても応用されています。ボツリヌス毒素が微量で作用するメカニズムとして、非常に効率よく神経細胞内に侵入することが明らかになってきました。

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ボツリヌス菌(芽胞)

我々のグループでは、ボツリヌス毒素や他の細菌毒素が持つ作用を応用して、細胞に必要な物質を送達させるという研究を行っています。ボツリヌス毒素については、重鎖と軽鎖とに分かれ、重鎖側が神経終末の受容体への結合作用及び軽鎖を神経細胞内に送り込む作用を持ち、軽鎖が毒素活性本体になります。重鎖に他の薬効作用のある物質を結合させた物質を作製し、その効果を評価しています。また、破傷風毒素では中枢神経まで効率よく侵入することが明らかとなっているので、その特徴を生かした物質を作製して、その効果を評価しています。

細菌毒素の特徴を生かした物質を作製することで、必要な場所へ有効な物質を送達できる可能性があり、今後様々なものに応用が可能と考えています。

動物科学科 動物衛生学研究室 
准教授 鳥居 恭司

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