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植物、動物、昆虫から生薬まで「生命の不思議」を幅広く探究

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屋久島の山神!? 

2020年2月13日

〜世界自然遺産屋久島の奥山に固有なオビモンヒョウタンゾウムシ属の1新種〜

屋久島は国内初の世界自然遺産として1993年に登録されました。この時点で、この島の自然については、ほぼ解明されたかのように思われている方も少なくないかもしれません。ところが、最近の調査で、屋久島奥山の高地から、予想もしなかった比較的大形で美麗な甲虫の新種が発見され、この度、Amystax urara Kojima & Yôro, 2020(ヤマノカミオビモンヒョウタンゾウムシ(和名新称))として命名記載し、動物分類学の国際誌Zootaxaに掲載されました。

 この島の高地は、スギの原始林が残されていて、古くから国の天然記念物や特別保護地域として、さらには世界自然遺産地域として、手厚く保護されてきました。そのため、調査の手が入りにくかったこともあり、本種はこれまで誰にも発見されることなく、細々と屋久島の奥山高地で生き残っていたと推測されます。屋久島は山岳信仰が盛んな島で、奥山は神々が宿る聖なる場所とされています。今回のゾウムシを発見した時、私は、山の神様を見つけたという思いになりました。
 本属の種としては、屋久島からは2種目となり、一産地で2種が分布する地域は、今のところ屋久島以外では知られていません。今回の種は標高1,700m付近の開けた場所に生息し、既知のヤクシマオビモンヒョウタンゾウムシA. yakusimanus Nakamura & Morimoto, 2015は、それより下の標高の樹林帯に生息します。これら2種が一つの島に生息できるのも、標高差があり多様な植生の垂直分布が見られる屋久島ならではの状況と言えると思います。
 今後は、屋久島内での本種の分布域を確認するとともに、比較的祖先的な形態形質を有すると思われる本種の属内での系統的位置について、分子系統学的研究により解明し、Amystax属の進化に想いを馳せたいと思います。 なお、本種の種名urara(麗)には、美しいという意味があり、本属の中でももっとも美しい色彩を有する種という意味を込めて、命名しました。また、著者らの共通の屋久島在住の友人の名前でもあります。本調査研究は、環境省並びに文化庁の許可を得て,また,一部,日本学術振興会科研費(15K06937)の助成を受けて行われました。

論文はリンク先で読むことが出来ます。

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