造園伝統技術の継承と開発のための国際的教育活動
・2024年度の活動
造園科学科 100 周年記念事業の一環である「造園伝統技術の継承と開発のための国際的教育活動」として,本年は,1.学内四ツ目垣制作研修,2.京都庭園研修,3.竹材制作の 3 つのプログラムを開講致します。
対象は,本学学生,社会人(本学他教育機関を含む)となっています。申し込み方法などに留意して頂き,お申し込みください。多くのご参加をお待ちしております。
1.四ツ目垣制作研修
現代では擬竹などでつくられるようになってしまった四ツ目垣をつくりました。
日時:7 月 31 日(水,14:00-17:00)-8 月 1 日(木,9:00-17:00)
場所:東京農業大学世田谷キャンパス,100 周年記念講堂前
講師:吉田耕一郎 氏
2. 京都庭園研修
日本文化を代表する庭園が集まる京都にて,歴史のある庭園且つ特別講師の作庭した現代の日本庭園を見学し,石材や植物のもつ特性を生かした石組み技術や植栽技術を,実地研修(8月28~30日)によって学ぶ予定でした。しかし,残念ながら,台風による悪天候のため中止となりました。この代替として、京都の株式会社植芳造園代表取締役であり,また,本学客員教授でもある井上剛宏先生に,日本庭園の作庭の魅力に関する特別講義を頂きました。学部生,院生,教員の合計約90名が参加しました。さらに,参加者41名の懇親会も盛会のうちに行われました。
3.竹材制作
我々が目にする竹垣(四ツ目垣,建仁寺垣等)の材料は,自然から採取される材料です。
その採取から製品にする前段階の処理方法について基礎から学びました。
日時:11 月 9 日(土)9時~16時
場所:川崎市早野聖地公園,早野梅ヶ谷特別緑地保全地区
講師:阿部晋也 氏 (株式会社昭立造園社長,本学非常勤講師)
4.建仁寺垣制作研修
2024年11月9日に野生状態のマダケを採取して建仁寺垣の材料を製作しました。
この材料を用いて,建仁寺垣をつくりました。
日時:2025年3月7日(金,9:00-17:00),3月8日(土,9:00-17:00)
場所:川崎市早野聖地公園,早野梅ヶ谷特別緑地保全地区
講師:阿部晋也氏 (株式会社昭立造園 社長,本学非常勤講師)
5.京都庭園研修
日本文化を代表する庭園が集まる京都にて,歴史のある庭園且つ特別講師の作庭した現代の日本庭園を見学し,石材や植物のもつ特性を生かした石組み技術や植栽技術を,実地研修によって学びました。
日時:2025年3月13(木),14日(金)
プログラム: 13日(木)京都梅小路公園
14日(金)仙洞御所で管理奉仕
対象:学生のみ
講師: 井上剛宏氏(株式会社植芳造園,元本学客員教授)(京都梅小路公園)
○ 担当教員
鈴木貢次郎(東京農業大学造園科学科 造園植物・樹芸学研究室)
田中 聡(東京農業大学造園科学科 造園植物・樹芸学研究室)
中島宏昭(東京農業大学造園科学科 緑化植栽学研究室)
造園伝統技術の継承と開発のための国際的教育活動について
Ⅰ.概要
国内各地,及び世界で活躍する日本の伝統造園技術を集約し,造園に関わるあらゆる技術の継承と開発のための国際的訓練・教育活動 (International Activity for Traditional Technology of Japanese Landscape Architecture) を行います。
Ⅱ.背景
近年,世界的にもレベルの高い日本の技術力の低下が危惧されており,造園の分野も例外ではありません。特に経済発展などに伴う社会情勢の変化により,長く培われてきた伝統技術の衰退が際立ちます。技術力の低下は,技術継承者の人材不足に伴うものでもあり,技術力の低下と人材不足という相互の負のスパイラルが起きてしまっています。
国内各地域には,まだ広く知られていない埋もれたままの高度な造園技術もあります。早急にこれらの造園技術を発掘し,継承していかなければいずれ消滅してしまうことでしょう。
一方で,GISなどの情報技術は,目覚ましい発展を遂げています。これに伴う造園関係の設計技術の開発も必要となってきます。造園技術力を維持し発展させるためには,新しい時代の生活スタイルにあわせることができる伝統技術と現代の技術,特に先端技術との融合が不可避になってきます。
Ⅲ. 波及効果
国際レベルの造園伝統技術の継承,人材づくりだけでなく,伝統技術からの開発に資することとします。また産官学の連携を促進し,民間会社のもつ伝統技術の公開,継承,社員教育,民間会社の宣伝,ブランド化によって,学生の修学・就職意欲にも働きかけることができます。
Ⅳ.方針
あらゆる組織の壁を取り払います。伝統技術,または最新の調査,設計技術をもっている団体,会社,個人から講師を招聘し,技術の継承,啓発,開発に挑みます。
Ⅴ.内容
主な研修内容は,石材(材料の見極め力,石組み,延段),敷石,三和土,竹垣(タケの処理,四ツ目垣,建仁寺垣,金閣寺垣,網代垣等),剪定技術,盆栽,芝生管理技術,コケ管理技術,観葉植物管理,移植,土壁技術,植物分類,植物生産技術,建築(和・洋),土木技術(水処理や石垣等),伝統芸能(能,生花,茶道),毛筆,折り紙,洋画,日本画,及び測量技術(GIS),設計手法(デザイン),フラワーアレンジメント,リサイクル技術,最新・特殊調査技術等です。
VI.参加資格
個人,各団体(産官学)でもっている最高技術を,フィールドで披露しながら学習します。
受講対象者は,本学学生,大学院生をはじめ,社会人,短期・長期留学生,留学生など,所属を問いません。
Ⅶ.活動場所,頻度
大学施設(世田谷キャンパスや厚木キャンパス),民間の研修所,施工現場にて実地講習会形式の研修を半年に3回程度の頻度で行います。
Ⅷ.主催・協賛
東京農業大学地域環境科学部造園科学科
株式会社 農大サポート
Ⅸ.活動資金
活動資金(講師料,材料費等)は,100周年事業として募金した寄付金の一部を運用します。随時,その他の助成金も獲得していきます。
会計は東京農業大学の経理システムに則ります。
Ⅹ.その他
既に,これまでの試行成果について国外からの問合わせが入っています。これまでの成果は,こちらを御覧下さい。
・2023年度(実績)
京都研修2023(8月8-10日)
梅小路公園朱雀の庭ほか
講師:井上剛宏 先生(株式会社 植芳造園)