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昆虫の色を利用する
タマムシモルフォ蝶は美しい色や輝きを持っています。
その輝きは古来より玉虫厨子などの作品に利用されてきました。
またその輝きは、何千年経っても色があせません。
近年、これら虫たちの持つ発色メカニズムを応用した技術が研究・開発されています。
ここではその虫たちの驚異の発色メカニズムと、これからの技術活用についてご紹介します。

発色メカニズム

タマムシ
金属光沢を持つタマムシの色は、色素による色ではないのです。
(色素も含まれていますが、色素は色をはっきり見せるためのものです。)
ではなぜ美しい色を出せるのでしょうか?
その秘密は外皮の多層膜構造に隠されています。
外皮は、透明な薄い膜が何層にも重なっていて、この層を光が通るときに特殊な反射が起こります。
この反射が美しい光沢を生むのです。
このような発色メカニズムを構造色といいます。

私達の研究室では、これらシルクの機能を解明し、様々な分野への応用を進めています。


タマムシ



モルフォ蝶
モルフォ蝶は中南米に生息する美しいコバルトブルーの翅を持つ蝶です。
この翅の色もタマムシと同様に色素によるものではありません。
ただ、タマムシのような薄い膜が何層も重なった構造と違い、本棚のように規則正しい棚構造によるものです。
この鱗粉の構造に光が当たり、その反射などの光学的現象によって青い光を反射し、金属光沢を生みます。


モルフォ蝶


コレステリック構造

構造色はタマムシやモルフォ蝶だけのものではありません。
コガネムシなどの身近な昆虫も、構造によって発色しています。
コガネムシはタマムシと似ていて、薄い膜が何層も重なっています。
ただ、タマムシとは少し違い、この膜の層に光が当たるとある特定の光だけ反射します。
この構造はコレステリック構造と呼ばれます。


応用技術

酸化発色
現在、タマムシの発色機構を利用してステンレス・チタン・マグネシウムを様々な色に発色させる技術が開発されています。
この技術は酸化発色と呼ばれ、金属の表面を酸化させることで膜を作ります。
この酸化膜はもとの金属が変化しただけのものです。
溶かしてしまえば純粋な金属にもどるため、リサイクルが容易です。
酸化発色は絵や文字などを部分的に色付けすることができます。
また、着色をしていないため塗料が溶ける心配がなく、口に入れても安全です。




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