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応用生物科学部醸造科学科 醸友会

醸造資源化学研究室の歩み

 月日の経つのは早いもので、私が農大に来てから21年が過ぎ、無事に満期定年を迎えることが出来ました。これは一重にそれまでにお世話になった方々のおかげであると感謝しております。
醸友会の幹事から醸友会誌に何か文を書くように言われ何を書いたらいいか迷っているうちに6月の声がまじかに迫ってきて、いささか慌てて居ります。
 4月からはサンデー毎日で暇になると考えていましたが、意外と雑用があり追い回されて時を過ごしております。
 さて、私が醸造科学科兼務となったのは平成9年かと思います。総合研究所の改組に伴い、専任の研究者を置かない事になり、また学部改組とも合わせて総研の各先生方が学科へと配置転換となった。このときの経緯を簡単に述べると、当時の学科長の故高橋力也教授が醸造学科の醸造経営学研究室が食料情報学科に移るので、新たに醸造環境学分野に研究室を立ち上げるので醸造科学科に来ませんか、とのお誘いを頂いた。私が醸造科学科で何が出来るのかと心配ではありましたがお声を掛けて下さって有難くお受けするとご返事をした。当時醸造学科の研究室は住之江記念館に入っていて手狭で新たなスペースは取れないこと、いずれ2号館1階に引っ越すことが決まっていたので、平成10年に一時的に2号館2階の生物化学の研究室をお借りすることになった。農学科と畜産学科が農学部として厚木に移転し、その跡が整備された12年の7月に現在の正門まじかの一角に移り住むことになった。新しい研究室を開くにあたっては、各研究室から新規研究室設立の為に多大な資金援助をして頂き感謝に耐えませんでした。そして農大に来たばかりの矢島助手(現講師)の奮闘により研究室が立ち上がった。当初は15名の卒論学生が配属されたが、翌年からは24名となりました。 更にその翌年には1年生の基礎化学実験も始まり、研究室もそれらしくなって、やっと醸造科学科の一員に成れたような気がいたしました。研究室名を醸造資源化学研究室(略して資源研)と付けた。内容は醸造に用いられる原料を研究するのではなく、微生物が作り出すものや、微生物に関与する化合物を資源と考えて、これら物質を科学的に研究する場所とした。細かく見ると、化学合成を中心とした研究室である。学会などに行くと必ず醸造科学科で何故合成なのですか?といった質問をよく受けた。その時は何時も、醸造は微生物による物質変換を利用するものですから、微生物のやることを人間がやっているのです。まだまだ微生物にはかないませんが、と言っている。しかしながら他大学の方から多少の評価をもらえるようになって農大にも有機化学(有機合成化学と言うべきか)に真摯に取り組んでいる研究者がいると認識され、更に業績も積み重ねられており昨年には Nature Chemical Biologyに疫病菌のホルモン研究についての論文を掲載出来た事はうれしい限りでありました。
 短い期間ではありましたが、醸造科学科に化学的思考法を持った研究室が出来あがったと思い、今後とも学科の発展に尽くせるものと考えております。私の後を引き継いでくれるスタッフの額田恭郎教授、矢島新講師、勝田__助教がすべていわゆる外様であることに多少の不安もありますが、優秀な方々であるので、学科のためにばかりでなく、農大のためにも大いに活躍して下さるものと信じております。
 はなはだ取りとめの無い文ですが醸造科学科にお世話になった者の退官にあたっての挨拶代わりといたします。               
(2009/05/25 自宅にて)

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