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応用生物科学部醸造科学科 醸友会

醸造学科副手に着任して

本間裕人 副手 食品微生物学研究室

 平成18年4月より食品微生物学研究室にて副手として勤務させていただいている本間裕人と申します。醸造を専門とする数少ない高等教育機関として非常に名高い東京農大醸造学科に勤務することができ、大変光栄に感じております。若輩にて至らぬ点もございますが、研究に、教育にと全力を尽くして醸造両科のますますの発展のために努力して参りたいと存じます。
 私は昭和54年に埼玉県の鶴ヶ島で生まれ、大学に進むまでそこで育ちました。今でこそ完全に住宅街となっておりますが、子供の頃はまだ武蔵野の気配がする自然がある程度残っており、日が暮れるまで森の中を駆け回って遊んでおりました。ただ親の影響ですごい本を読む子供であり、子供向けの科学雑誌などを読み漁っておりました。今思うとそのことが現在の自分がある根本的な原因であるような気がします。その頃から生物に強い興味を持っており大学は千葉大学の園芸学部に進学しました。大学時代は部活動で行っていた少林寺拳法に全力を注いでしまい、お世辞にも優秀な大学生であったとは言い難く、1〜3年の間の成績はいまいちであったのですが、4年時に微生物工学の研究室に入り研究の面白さを知り、以降まじめに取り組んで参りました。
 そこで私が研究テーマとして選び、現在も研究を続けているのは「きのこ」についてであり、きのこ類を用いた未利用資源の有効活用に取り組んでおります。きのこ類は非常にユニークな性質を持つ糸状菌の仲間であり、麹菌などと比較すると生育の速度ではかなり劣るのですが、他の微生物が持っていない数々の利用価値のある性質を有しております。例えば、木材などの他の微生物が分解し難いものに対してもきのこ類は優れた資化性を示し、利用して生育することが可能です。また、ダイオキシンなどの環境汚染物質に対しても、分解能力を有しております。そして何と言ってもシイタケ、マイタケ等の食用菌が数多く存在し、食用にすることできるということです。世の中には発酵食品が多く存在し微生物を含む食品は珍しくはありませんが、微生物の菌体そのものを食用にするのは、きのこ類以外にはないことだと思われます。さらにきのこ類は菌により抗腫瘍活性などの薬理効果も有しており健康にも良い優れた食品であります。このような性質を持つきのこ類を利用して、未利用資源の有効利用を行うことができれば、環境問題にも人類の健康増進にも貢献できるのではないかと考えております。
 このように自分の専門分野は厳密の意味での醸造学とは少し異なるところもあるかもしれません。しかし「微生物の力を活用する」という大きな共通点のもと、醸造ときのこのコラボレーションを行い、醸造学の発展に貢献できればと考えております。以上簡単ではございますが、新任の挨拶とさせていただきます。これから精一杯努力して参りますのでなにとぞご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

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写真 スギのオガクズから発生するスギエダタケ。スギはきのこ栽培にあまり適していないため近年あまり使われなくなりつつあるが、スギで好んで生育するきのこであるスギエダタケの栽培化に取り組んでおりました。

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