飼料米の低コスト生産 試験栽培で成果
2009年4月7日
教育・学術
飼料米についての関心が急速に高まってきている。政府も今年度から本格的に水田をフル活用することにより飼料米や米粉など新規需要米の生産拡大に取り組むとしている。これまで、国内で飼料米を本格的に生産して家畜の飼料原料として使うことは価格差が大きすぎることから非現実的というのが常識であった。しかし、昨年、極超多収品種である「モミロマン」や「きたあおば」が登場したことから飼料米が夢物語ではなくなってきている。
厚木キャンパス農学部畜産学科の畜産マネジメント研究室では、一早く飼料米の低コスト生産の試験栽培に取り組み主食用米の約2倍の10a当たり1,000kg(モミ重量)を超える単収を達成するとともに、できた飼料米は鶏や豚などへの給与試験を行い、さらに飼料米を給与した畜産物のマーケティングの研究にも取り組んでいる。
飼料米の利点は、余った水田を利用できるだけでなく、畜産から出る堆肥を水田へ還元して地力を高め、できた飼料米を家畜に給与して資源循環できることである。また、飼料自給率も高めることができ、食料自給率も向上させることができることである。ある意味では日本農業再生の切り札で畜産と水田の循環型農業革命を起こすものである。
今年度からは畜産マネジメント研究室だけでなく農学部の各研究室、さらには世田谷キャンパスの各研究室と連携して米粉への利用、稲ワラのバイオエタノールへの利用などを計画している。(畜産学科 准教授 信岡誠治)
