東京農業大学応用生物科学部 食品安全健康学科平成26年4月誕生! テーマは「食の安全・安心」&「食の機能と健康」  
  その力はこれからの「食」をリードする。 開設記念シンポジウム10/12(土)開催  
HOME 食品業界のイマドキ事情 学科の学び 研究室紹介 卒業後の展望
 

食品企業のめざすところ
今、日本の食品企業にとって、一つの悩みがあります。それは、日本が少子高齢化を迎えていること。お年寄りの割合が増え、人口減少の影響もあいまって、今後国民の総摂取カロリーは減っていき、2050年には今よりも26~28%も下がってしまうと報告されています。
これは、食品の消費量にも大きく影響します。食品消費量が大きく減れば、食品企業にとっては大問題です。どうしようか、と悩んだ食品企業がとる代表的な方法が2つ。1つは、今後増えていく高年齢層の消費者に支持される商品に力を入れること・・・・・・いわゆる機能性食品や介護食品などが該当します。2つめは、日本以外で商売をすることです。


簡単ではない!機能性食品市場の開拓
日本を含む先進国では、今後医療費が増えて、財政を圧迫していくことが悩みの種です。そのためだけではありませんが、国は国民が健康であることをめざしています。
また消費者である国民にも「いつまでも健康でいたい」という望みがあります。特定保健用食品(トクホ)を含む「機能性食品」はそんなニーズをもつ国民が、気軽に活用しやすいものであるといえ、国も支援の動きを見せています。しかし実際には、食品企業が機能性食品に取り組むとなると、難しいこともあります。たとえば、消費者は目の前の機能性食品が薬なのか食品なのかを考える必要はありませんが、法律的にはこの両者は全然違います。食品企業はその違いをはっきりと理解していなければいけません。この市場は今後も注目され、それゆえに国のルールも変わっていく可能性がありますが、企業は常にその内容を理解していることが必要になります。


海外に食品を売るために
スーパーなどで、輸入された食品を見かけることは珍しくありません。それらの輸入品は、当然ながら日本のルールを満たしたものです。同じように、海外で商売するためには相手国のルールを知り、それを守ることが大切です。
海外で安全な食品を作るために使われる管理手法の一つに「HACCP」というものがあります。これは、危険な食品を生産できないように管理する手法で、アメリカのNASA(航空宇宙局)で万が一にも危ない宇宙食を作ってしまうことがないようにと開発されました。今日では世界の食の安全手法として用いられており、アメリカ国内では、流通する食品を製造するためには、HACCPの考え方に準拠していなければいけない、というまでになっています。今後海外展開を考える日本企業は、HACCP に準拠した環境で安全な製品を作っていることを、きちんと説明しなければならないケースが増えていくでしょう。


食の安全と安心
安全な食品を提供することは、食品企業の義務であり、当然のことです。しかし食品企業では、その"当たり前" を守り続けるために、多大な努力を要しています。なぜなら、安全な食品を提供するということは、安全を脅かす様々な要素を把握し、それらをコントロールするということ。それらはなかなかに容易ではないのです。
日本以外でも安全が重要なのは同じですが、食習慣が違えばコントロールしなければいけない内容も変わってきます。輸出や海外生産をおこなうなら、相手国のルールを知らなければいけませんし、「コーデックス(国際食品規格)委員会」がつくる世界共通ルールも熟知していなくてはいけません。海外・国内を問わず、「食の安全」に対する取り組みには、強い専門性が求められているのです。


今後求められる人材とは?
こうした食品業界の国内外の現状を踏まえたうえで、今後の食品企業には、安全・安心という「守り」と、機能性食品などの新たな市場への「攻め」のそれぞれに対応できる、攻守のバランスのとれた人材が求められているといえるのではないでしょうか。また行政にとっても、食品市場の環境が変化していく中で食の安全・安心を守るための取り組みと、ますます多様化する機能性食品市場を規制する取り組みが必要で、やはり同様にバランスがとれた人材が求められているといえるでしょう。

ページトップへ
 
 

Copyright (C) 2013 TOKYO UNIVERSITY OF AGRICULTURE. All Rights Reserved.

 
東京農業大学応用生物科学部 食品安全健康学科平成26年4月誕生! テーマは「食の安全・安心」&「食の機能と健康」 東京農業大学