このたびの東日本大震災において被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
沿岸部では堤防、防潮林を乗り越えるほどの大津波によって多くの田園自然や漁場が被災しました。本学科の志が復興に少しでも貢献できればと考えています。かつて1933年の三陸沖大地震では、今回同様に青森、岩手、宮城の沿岸地域に大きな被害をもたらしました。その復興時における本多静六博士らによる『三陸地方防潮林造成調査報告書(1934年)』の中には、津波に対する防潮林や屋敷林の効果をあげ、津波の陸上における加害作用は弾性的なものは剛性的なものに比べて小さいとされ、高木にはクロマツ、低木にはマサキ、ツバキ、イボタ、その背後にはケヤキ、エノキなどの落葉樹、それらの樹林幅や高さ、その植栽技法まで細かく防潮林の計画がなされています。柔よく剛を制すといわれるように、このたび震災の復興計画においても自然を堅い構造物で制する思想ではなく、自然災害を柔らげて自然と共生する知恵と技、思想をもった復興計画でありたいと考えます。
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