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応用生物科学部醸造科学科 醸友会

新任のご挨拶

辻 聡 准教授(調味食品科学研究室) 

 

 本年4月1日より、醸造科学科調味食品科学研究室の准教授に着任いたしました、辻 聡(つじ あきら)と申します。
 東京農業大学には2004年に応用生物科学部生物応用化学科(現:農芸化学科)へ入学し、博士後期課程修了までの9年間を学生として過ごしました。さらに、短期大学部醸造学科で5年間、国際食料情報学部国際農業開発学科で1年間、教員として勤務し、通算15年間を東京農業大学で過ごしてまいりました。その後は、高崎健康福祉大学農学部生物生産学科にて7年間、教育・研究に従事し、このたび8年ぶりに、母校である東京農業大学の教員として着任する運びとなりました。再び本学の発展に携わる機会を頂戴しましたことを、心より光栄に存じます。このような機会を頂戴しましたので、自己紹介を兼ねてご挨拶申し上げます。
 私は1985年に埼玉県で生まれ、祖父母との同居を機に、2歳のときに千葉県市川市に引っ越しました。それ以来、群馬に移るまで長らく千葉県に住んでおりました。千葉県は赤い犬の形をした公式マスコットで知られており、市川市はその上唇のあたりに位置します(この表現で位置を表すのは千葉県民あるあるだそうです。)。最近は開発が進んでおりますが、私の小さい頃は自然が多く、近所を流れる江戸川でハゼ釣りをしたり、虫捕りをしたりして過ごしたことを覚えています。
 高校時代、「微生物には無限の可能性がある」という話を耳にしたことをきっかけに、微生物を学べる大学として東京農業大学へ進学しました。学部生として研究室に所属して以降、博士号の取得まで一貫して、乳酸菌の代謝経路の遺伝子を改変し、乳酸ではなくコハク酸を生成させる研究に取り組みました。当時は遺伝子改変技術も現在ほど確立されておらず、遺伝子の高発現方法や欠損株の作製などの基盤技術の開発を目的としていました。研究室で扱っていた、海外の共同研究者から頂いた乳酸生成経路の欠損により乳酸を作れない乳酸菌という、禅問答のような状態になっている乳酸菌に興味を持ち、新しい何かを作れるという希望を胸に研究に取り組んだことを、今でもよく覚えています。
 この乳酸菌研究のご縁から、2013年4月より短期大学部醸造学科の調味食品学研究室にて助手として3年間、助教として2年間勤務しました。醤油醸造に関わる乳酸菌の研究を中心に、醸造食品に含まれる糖尿病予防の効果を示すペプチドの探索など、さまざまな研究に取り組むことができました。研究室員たちの協力もあり、醤油醸造過程において不要な乳酸菌が混入しているか否かを簡便に検出する方法を構築することができました。また、納豆から糖尿病予防の効果を示す2種のペプチドを新規に特定することができました。教育面では、初めて単独で担当する講義科目を受け持ち、講義資料について学生に分かりにくい点を直接聞きながら改善を重ねたことが印象に残っています。また、学生実験の一環で大学に泊まり込みで製麹を行いながら、夜通し学生たちと語り合った経験も良い思い出です。さらに同室の舘博先生と共に日本国内外の醸造関係の企業や研究所を訪問し、調査・見学を行う機会にも恵まれました。学生時代は研究室内の作業が中心だったため、実際の現場を見て学べたことは、非常に大きな経験となりました。各地で醸造学科と企業とのつながりの強さを見ることができ、東京農業大学の強みを改めて実感しました。
 その後、国際農業開発学科熱帯作物保護学研究室に1年間助教として在籍し、夏秋啓子先生の下で乳酸菌の研究を続けました。国際色豊かな学生たちとともに、酵母や線虫など新しい研究分野にも取り組みました。日本国内だけでなく様々な国と繋がりを持って研究を進める重要性を実感しつつ、一つ一つの課題に取り組んだ日々でした。その中で研究対象が変わったとしても、研究を進めるための基本は共通しており、これまでの経験を活かせることを実感しました。
 2019年4月からは群馬県の高崎健康福祉大学に新設された農学部生物生産学科にて、助教および講師として7年間勤務しておりました。新設学部において、何もない状態から動線を考慮して機材を配置し、研究室環境を作り上げていく経験は得難いものでした。コロナ禍などさまざまな出来事がありましたが、同僚にも恵まれ、優しい学生たちと協力しながら、一つ一つ研究室を築き上げていきました。ここでも醤油醸造や漬物製造に関与する乳酸菌、みりん粕に関する研究などを行っておりました。東京農業大学とは異なる大学環境にて教員として勤務した経験は、教育観・研究観の両面で大きな糧となっています。
 今後も、これまでお世話になった諸先生方のように、研究と教育を両立した教員として学生一人ひとりの成長を支える教育と研究に尽力してまいりたいと考えております。大学は学生が成長するための場所ですが、研究の場でもあり、どちらか一方だけでなく両方が充実した環境を整えることが教員の責務である考えています。大学教員として14年目を迎えましたが、いまだに自身の未熟さを痛感する日々です。今後も学び続けながら、多くの方々と協力し、一歩一歩前進していきたいと思います。今後とも何卒ご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

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