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応用生物科学部醸造科学科 醸友会

新任のご挨拶

河盛治彦 助手 (調味食品学研究室) 

平成24年4月に短期大学部醸造学科調味食品学研究室の助手に着任致しました河盛と申します。「農」をコンセプトとした他大学にはないユニークさを有する東京農業大学で、明確な目的意識を持った教職員・学生の皆様と共に日々教育・研究活動に従事できることを喜びつつも、その一員としての責任感を感じております今日この頃です。

私の自己紹介を簡単に致したいと思います。私は、平成17年に東京大学薬学部薬学科を卒業致しました。大学学部時代は有機化学の研究室に所属して、カリウムチャネルのリガンド候補分子の有機合成に従事致しました。

大学院は東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻へと進学しました。ここでは、学部時代とは打って変わってショウジョウバエを用いた神経系の発生生物学の研究を始めました。ハエといいますと農学、殊に食品衛生の観点からは害虫という印象が強いと思いますが、遺伝子やDNAを取り扱う遺伝学・分子生物学といった分野では取り扱いが便利なモデル動物のスーパースターとして重宝されています。大学院の研究テーマとして、私はこの動物を用いて、脳神経細胞がその『元となる細胞』から分化する仕組み、その分子機構の解明を目指して研究を実施しました。複数のスクリーニングを経た結果、Hippo経路と呼ばれるタンパク質グループからなるシグナル伝達系が正しく機能しないと『元となる細胞』から神経細胞への分化が正常に進行しないことを突き止めました。上記研究により博士(理学)の学位を取得し、引き続き大学院時代と同じ研究室にて博士研究員として研究活動に従事しておりました。

私が現在所属しております調味食品学研究室は、研究室名の通り味噌・醤油・酢といった様々な醸造調味料についてその製造方法の開発や改良、あるいはそれらに含まれる各種成分の分析といった醸造業界の「現場」に近い研究を行っています。当研究室には現在舘博教授、穂坂賢教授のお二人の先生がいらっしゃいます。両先生とも本業界のスペシャリストであり、また東京農業大学の大ベテランでいらっしゃるので研究のみならず本大学での生活その他でもさまざまなアドバイスをいただいております。私は本研究室にて味噌や醤油などの醸造調味料に含まれる生理活性物質の探索、ならびに醸造の基礎である「麹づくり」の主役であるコウジカビが産生するタンパク質分解酵素の機能解析・発酵過程におけるそれら酵素の役割の解明について研究を進めております。これらの研究を通して単なる調味料としての役割を超えた、醸造調味料が持つヒトに対する生理機能を明らかにできれば、例えば近年話題になることも多い「発酵食品と健康」の関係についても、科学的根拠に基づく意見を提供できるのではないか、と考えております。

これまで専門としてきました研究分野とは全く違った新しい分野に飛び込む形になりましたが、舘・穂坂両先生のご薫陶を受けつつ、今までの研究生活で培ってきました経験と現研究室における醸造学に関する蓄積とを組み合わせることにより、微力ながらも醸造業界そして東京農業大学の発展に寄与できるような研究ができれば、と思っております。

若輩者でございますが、諸先輩の皆様にはご指導・ご鞭撻の程宜しくお願い致します。

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