phytoalexin2 of Lab. of Synthetic Bioorganic Chemistry

資源研の研究テーマ紹介

資源研の最近の研究テーマを紹介します。資源研では、微生物を始め植物、動物などが生産する何らかの作用がある物質に関して、構造の決定や、化学合成法の開発を主な研究テーマとしています。現在進行中のテーマについていくつかを紹介します。

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イネいもち病を克服せよ!

イネにも病原菌に対する防御機構が存在します。植物は動いて逃げたりすることができませんが、その代わりに物質を使って外的から身を守っています。病原菌に感染しないように抗菌物質を生産したり、害虫が寄ってこないように嫌な臭いを出したり。こういった物質の中でユニークな物質として、ファイトアレキシンという一連の物質群があります。ファイトアレキシンは、正常な植物体には存在しませんが、病原菌の感染のような外的からの攻撃を受けると生合成される抗菌活性がある物質です。すなわち、植物の最終防御システムなのです。イネいもち病菌に対して発動するファイトアレキシンはこれまでいくつか知られていました。しかし、その化合物がどの酵素で生合成されるのか、すなわちどの遺伝子がファイトアレキシンの生合成を制御しているのかは全くの謎でした。そこで、資源研では、ファイトアレキシンの生合成における中間体と考えられる物質を化学的に合成し、そのサンプルを用いてファイトアレキシン生合成に関与する酵素の特定、さらにはその酵素をコードする遺伝子の特定に取り組んでいます。このファイトアレキシンの生合成に関与する遺伝子を解明することで、いもち病菌に強いイネの創出に役立てようと考えています。