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シルク

虫たちが糸などとして出すものをシルクといいます。

なんと、虫たちの3分の1以上もの種がこのシルクを出します。
様々な種の虫たちが、体の一部(消化管や生殖腺、皮膚の細胞など)を
シルク工場に変え、それを自分たちで利用しています。

虫たちはいろいろな形に進化しながらも、何億年もシルクを作り続け
繁栄してきました。それなら虫たちにとってシルクは
特別な意味があるのではないでしょうか?
そして、それは私たち人間への応用も可能なのでしょうか?
養蚕は日本に二千年以上前に伝わり、その産業は大きく発展してきました。
ところが二十世紀に入り石油繊維が出現し、シルクの需要は激減しました。
シルクと比べ、石油繊維は大量生産が簡単で安くて長持ちするのであっという間に普及したからです。
しかし、石油繊維による様々な問題もたくさん表れてきました。
なかでも一番の問題は、限りある石油から作られていることです。
そんな中、機能の研究が進むことでシルクは再び注目されるようになってきました。


シルクの機能

  • 生体親和性    アレルギーを起こさない肌に優しい
  • 紫外線をカット   皮膚がんの原因である紫外線(B波)をほぼカット
  • 脂肪吸着性    脂肪を包み込んでそのまま体の外へ
  • 静菌性       菌を増やしもしなければ殺しもしない
  • 無味無臭      味も風味も変わらないので食品の味を壊さない
  • 生分解性      石油製品とは違い自然にかえすことが出来る
  • 形状変化      加工が簡単でどんな形にも変化

私達の研究室では、これらシルクの機能を解明し、様々な分野への応用を進めています。


食品利用

シルクはタンパク質で出来ています。
このシルクタンパクは生体親和性が高いので、食品へ利用することも可能です。
シルクタンパクには消化・吸収されにくく、 消化管内の脂肪を吸着して体外に排出する効果があります。
そこで、中性脂肪減少効果があるのではと期待されています。
さらに、シルクタンパクは非ニュートン流体という物質で、 水あめのように伸びる性質を持ちます。
これを利用して、新しい食感の食品を開発することも考えられています。


化粧品利用

シルクは生体親和性が高いので、 肌に優しくアレルギーを起こさない、紫外線をカットする、油脂を吸着する、 といった特徴を持ちます。
これらの機能を保ったままゲル状・パウダー状にすることで、 ファンデーションなどの化粧下地に 利用することができるようになりました。


その他の利用

溶かしたシルクを様々な形に変え、石油製品の代わりにしようという 研究も行われています。
液状にしたシルクに硬化剤を加えて固めるとプラスチック状になり、食器や玩具など様々なものを作ることが出来ます。
またフィルム状に加工したシルクはファッションショーで紹介され、新素材として大きな反響を呼びました。
これらシルク由来製品には石油製品と違い生分解性があり、 最終的に土へとかえすことが出来ます。

さらに、医療分野ではすでに手術用の糸として使われていたり、 コンタクトレンズへの応用が研究されたりと、シルクはまだまだ大きな可能性を秘めています。



野蚕 wild silk

野蚕とはカイコ以外のシルクを作る蛾の仲間のことで、 昔から世界のいろいろな地域で利用されてきました。
野蚕のシルクはシルクナノチューブという微細な空気の管を持っているので、 家蚕と比べ大変軽く、独特の光沢や肌触りなどの特徴があります。
さらに、私達の研究で、紫外線をほぼすべてカットできることが分かりました

主な野蚕を紹介しましょう。


テンサン サクサン ウスタビガ

テンサン

「日本」
幼虫はクヌギ・コナラなどのブナ科の植物を食べます。
この緑色の繭からとれる天蚕糸は美しい緑色で、とても高価です。

サクサン

「中国」
テンサンに近い種で、繭は褐色をしています。
幼虫はクヌギなどを食べ、布はスーツなどに利用されます。

ウスタビガ

「日本」
鮮やかな緑色の繭を作ります。
繭は変わった形をしています。
タサールサン クリキュラ  

タサールサン

「インド」
とても大きく硬い繭を作ります。
高い紫外線カット率を誇り、柄の部分も糸として利用されます。

クリキュラ

「インドネシア」
街路樹やカシューナッツなどの葉を食べるため、害虫とされてきました。
繭はきれいな黄金色をしています。
 

この他にも様々な野蚕が世界中に分布しています。


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