ALPS処理水
東京電力福島第一原子力発電所では、原子炉内に残る、溶けて固まった核燃料「燃料デブリ」を冷 やすため、常に水がかけられている。この水は、高い濃度の放射性物質を含んだ「汚染水」となるため、「多核種除去設備(Advanced Liquid Processing System、ALPS)」などの設備で浄化処理がおこなわれる。
「 ALPS処理水」は、「ALPSで浄化処理した結果、トリチウム以外の放射性物質につい て、環境放出の際の規制基準を満たす水」と定義されている。 ALPS処理水は、2023年8月より海洋放出が開始された。
海洋放出に向け、2021年4月に「ALPS 処理水」の定義が見直され、これまでの「ALPSで浄化処理され、敷地内のタンクで保管された水」 から、前述の定義に変更された。 「汚染水」には、トリチウムの他、セシウム、ストロンチウム等が含まれる。ALPSでは、セシウ ム、ストロンチウム等の放射性物質を、沈殿や吸着操作により環境放出の際の規制基準を満たすま で除去する。
一方、トリチウムは、三重水素と呼ばれる水素の一種であり、主に「水」として存在す るため、ALPSで除去することはできない。そのため、「ALPS処理水」を海水で希釈し、トリチウ ム濃度を環境放出の際の規制基準の40分の1未満として海洋に放出している。 日本における放射性物質の安全基準(規制基準)は、ICRP(国際放射線防護委員会)の勧告をも とに、一般の人々への追加的な被ばく線量を「年間1ミリシーベルト未満」に保つよう定められて おり、原子力発電所などから放射性物質が環境に放出される場合は、この基準をもとに管理されて いる。
「ALPS処理水」の他、「ALPS処理水等」という言葉も存在する。ALPS等で浄化処理した水のうち、環境放出の際の規制基準を満たしていない水を「処理途上水」と呼び、「ALPS処理水」と「処理途上水」を併せて示す場合には、「ALPS処理水等」と記載される。
(赤井 芳恵)
