phytophthora3 of Lab. of Synthetic Bioorganic Chemistry

資源研の研究テーマ紹介

資源研の最近の研究テーマを紹介します。資源研では、微生物を始め植物、動物などが生産する何らかの作用がある物質に関して、構造の決定や、化学合成法の開発を主な研究テーマとしています。現在進行中のテーマについていくつかを紹介します。

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疫病菌のホルモンを合成せよ!

しかし、2005年になって名古屋大学の小鹿先生らのグループによって、Phytophthora nicotianaeの液体培養液なんと1.2 tから、たった1.2 mgのホルモンα1がついに単離され、平面構造が明らかとされました。微生物の培養液から生理活性化合物を単離するという仕事は数多くなされていますが、このように大量の培養液を必要とした例はほとんどありません。それほどまでにこのα1は絶対量が少なかったのです。小鹿先生らは平面構造を提唱しました。そこで、私たちはα1の三次元構造(絶対立体配置)を明らかにするべく研究を行うこととしました。立体選択的にα1を合成し、それらの卵胞子形成誘導能を調べたところ、ただ一つの立体異性体(三次元構造)のみに活性があることが分かりました。このことから、天然のα1の立体化学を決定することに成功したことになります。また、Phytophthoraは厳密に卵胞子誘導ホルモン(様物質)の三次元構造を認識しているという重要な知見を得ることができました。今後は、このα1を用いてホルモン(様物質)のレセプターなどの研究が可能となり、耐性菌の出現しづらい繁殖阻害剤の開発につながるものと期待されています。