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造園科学科

2019/12/7「造園伝統技法の基礎実習」の実施(2回目)

2019年12月7日(土)、東京農業大学オープンカレッジ「造園伝統技法の基礎実習2回目・亜高木の移植技術」が実施されました。講師は、長年の実務経験を持つ大場造園の大場淳一先生(東京農業大学非常勤講師)および同社出身の先生2名でした。受講者13名(うち留学生3名)が3班に分かれ、世田谷キャンパス内のサザンカ(常緑樹)3本を次の手順で移植する技術を学びました。

  1. 移植の下準備として、葉の水分蒸発を減らすために地上部を剪定します。幹を保護するために「幹巻」を行い、倒れないようにロープで周辺の樹木に固定します。「幹巻」は現在、緑化テープを使うのが主流ですが、1班が昔の技法を再現し,「わら」を使って行いました。
  2. 移植工の本番・「溝掘り」に入ります。根元直径により根鉢の大きさを決め、スコップで土を掘ります。土に石や根系が多いため、2~3時間かかりました。太い根があったので「環状剥皮」を行いました。小刀で根の白い部分まで形成層を丁寧に剥ぎ取ります。来年に切口から細い根系が生え、土から栄養や水分を吸収できるようにします。この時,殺菌剤も塗布しました。
  3. 土に発根促進効果を持つピートモスを加え、埋め戻します。水を根回り全体に行き届くように水鉢を作って灌水します(水極め」。最後は竹材や丸太で支柱を立て、枝に結束して樹木を固定して、完成です。

この手順を通して、日本の造園技術として長く培ってきた高度な移植技術を体で覚えることができました。また、先生方の丁寧な指導の下で、「幹巻」のワラの巻き方から、転倒防止用のロープの結び方、竹材の支柱の針金の固定方法まで、材料の機能性と美観性を極める知恵を習得し、日本の伝統的造園技術の伝承とその原理を学習する大切さを改めて実感しました。

(報告:張平星 東京農業大学地域環境科学部造園科学科助教)

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作業手順と安全事項の確認をしている受講者

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わらの繊維を整え、先端を下に幹に巻き付ける

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根鉢の大きさを決め、掘り始める

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太い根の環状剥皮を頑張っている受講者

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波板シートを使った「水極め」

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竹材の支柱を針金で固定する

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シュロ縄で支柱を添える  

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薄暮の中でまとめを聞く受講者

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