東京農業大学

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自己点検・評価

序章

本章

第01章 理念・目的
第02章 教育研究組織
第03章 教員・教員組織
第04章 教育内容・方法・成果
第05章 学生の受け入れ
第06章 学生支援
第07章 教育研究等環境
第08章 社会連携・社会貢献
第09章 管理運営・財務
第10章 内部質保証

終章

第三者評価結果

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終章
 人類の現在の繁栄は、動植物を飼育・栽培することにより、狩猟・採集時代に比べて食料を安定的に確保する技術を手にしたことが端緒となっている。農業生産は、その後の人類の小さな弛まぬ努力と叡智の結集によって現在に至っており、日々の気象変化、年ごとの気候変動などの自然を理解し、対応・克服が積み重ねられてきた。すなわち、農業自体が人智の及ばない自然との長年にわたる共生の中で、絶えず点検評価し改善されて現在に至っている。本学はこのような農の精神に基づき、「建学の精神」「教育研究の理念」に照らし、日々教育研究およびその支援のあり方について検証を行い、改善を進めている。
 本学では、今回の自己点検評価へ向けて、過去の(財)大学基準協会からの指摘事項を改善すると共に、「建学の精神」「教育研究理念」に基づき、施設、教育課程、教員組織、学生の受け入れならびに財政をはじめ教育研究を支援する組織および活動などについて検証し、改善を行ってきた。以下にその概要を記述した。
1.教育研究施設
 学校法人東京農業大学による中長期整備計画によって、世田谷キャンパスの再整備を進め、2011 年7 月に講義棟(新1 号館)が完成し、10 月から本格使用が始まり講義環境が改善された。さらに、仮称図書館棟(図書館および事務管理機能)の建設が開始(2013 年10 月完成予定)され、その後運動部寮および研究棟などの整備を行い、緑地および圃場を中心とした「建学の精神」「研究教育理念」を具現化した安全で快適なキャンパス整備を目指している。厚木キャンパスでは、農場機能を新規に整備している伊勢原農場へ移転することによって、整備が遅れていたグラウンド、学生会館等の施設の具体的な建設計画が進んでいる。オホーツクキャンパスでは、農場機能を充実するため農場用地を新たに購入し、さらに学生寮の整備を進めると共に学部独自の奨学金制度を設けて支援を行っている。
2.教育課程
 農学の進展によってカバーすべき学問領域が拡大し、時代の要請に対応するため、2006 年4 月に農学部(厚木キャンパス)にバイオセラピー学科を、生物産業学部(オホーツクキャンパス)にアクアバイオ学科を新設した。前者は生産科学を基盤とする農学部が生活科学分野へも展開を図る意欲的な取り組みである。また、後者はオホーツク圏の産業の柱のひとつである水産ならびに海洋資源・環境分野への展開で、地域産業としての水産およびその周辺産業にかかわる人材養成と学術研究への貢献を目指したものである。さらに、日本食および日本食文化に対する海外の評価が高まる中、食品産業界のニーズを先取りして食品づくりの視点を変え、食品の2 次機能開発能力を持った人材を養成するため2010 年4 月に食品科学科を食品香粧学科へ名称変更し、地域の活性化の担い手を養成するため2012 年4 月に産業経営学科を地域産業経営学科へ名称変更することを文部科学省へ届 け出て承認されている。また、大学院農学研究科では2010 年バイオセラピー学専攻修士課程を設置し、さらに2012 年の同博士課程設置が文部科学省の届出承認を受けた。大学院生物産業学研究科では、2010 年度から博士前期課程を学部組織に合わせ4 専攻とし、博士後期課程は総合農学の立場から1 専攻の体制とし、社会ニーズに対応した大学院教育の充実と当該領域における学術研究の進展を図っている。
3.教育方法
 カリキュラム改正を2010 年度に行い、専門力を活かせる教養力の充実を図るため教養教育の比重を高めた。また、同改正では全学部にリメディアル科目を導入し、入学者の学力の多様化に対応すると共に、キャリアデザイン関連科目を設置し学生の職業 意識およびマナー教育の充実を図っている。2006 年度からGPA を導入し、学生自身が学修の位置づけを理解できるようにすると共に、教員による成績評価のバラツキの抑制や成績不良学生の把握、指導に活用し効果を上げている。
4.教員組織
 本学教員の具備すべき能力を定めると共に新しい採用および昇格基準を策定し、教員に開示し運用を開始した。任期制を導入し、採用時に専任化に向けての目標を設定してその達成度および学科・課程の推薦に基づき専任化を判定している。採用時には研修を行い「建学の精神」「教育研究の理念」「学風」「教員としての姿勢」「ハラスメント・教員倫理」などについて啓発を図っている。また、図1 のように本学とその教員に求められる貢献を示し周知している。

図1
図1 大学と教員に求められている貢献


5.学生の受け入れ
 入学者数および在籍者数については、入学および収容定員の許容率に関わる文部科学省と(財)大学基準協会の基準に違いがあるが、入学時の手続き率算出の精度を高め、入学者数の適正化を図っている。
6.財政および教育研究の支援組織
 本学では「健全な財政なくして、良い教育研究はない」を基に財政の運営がなされ、学生の教育研究の向上を支援している。支援部門である各事務組織は学生サービスセンターとして、3 キャンパスの学生が同様なサービス支援が得られるよう学生サービスセンター長(教員、学長指名)および学生サービスセンター事務局長(事務職員)の一括指揮の下、学事、学習支援、学生生活支援、キャリアセンターなどの連携を強化し、学生生活の満足度の向上に努めている。
 以上、前回の第三者評価から7 年間に進めた改善の概要を述べた。
 18 歳人口の減少、経済不況など、大学を取り巻く環境は厳しく、次世代において社会ニーズに応えられる体制の構築と整備が急務である。本学では、今回の自己点検・評価における検証を基に、学長の指示で2011 年11 月に各学部長をヘッドとして関連する産業界の消長、国内産業の空洞化、18 歳人口の減少、国際社会の流動化と言った現状を把握し、これらの現象に伴う教育ニーズの変化に対応するため、各学科のあり方と教育研究内容を再検討する将来検討委員会が学部ごとに設置され、本学の展開する方向性が検討されている。
 本自己点検評価報告書は、本学が掲げる「建学の精神」および「教育研究理念」を旗印に社会と時代の付託に応えるべく自律的改善を進めてきた成果とその検証をまとめたものである。しかし、改善は未だ道半ばであり、本学は第三者による評価を真摯に受け止め、真に実社会が求める人材を養成し「人物を畑に還す」教育機関として、また真に社会が求める学術教育を進める「実学主義」の研究機関を実現することを目標とする。前進する本学の姿を見守り、ご支援を頂きたい。

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