東京農業大学

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自己点検・評価

序章

本章

第01章 理念・目的
第02章 教育研究組織
第03章 教員・教員組織
第04章 教育内容・方法・成果
第05章 学生の受け入れ
第06章 学生支援
第07章 教育研究等環境
第08章 社会連携・社会貢献
第09章 管理運営・財務
第10章 内部質保証

終章

第三者評価結果

第8章

1.現状の説明
(2)教育研究の成果を適切に社会に還元しているか

〈1〉教育研究の成果を基にした社会へのサービス活動
 エクステンションセンターは、オープンカレッジと公開講座を開講している。
 オープンカレッジでは、食と農・健康・環境・バイオマスエネルギーなど生活に密着した学問領域を扱ってきた本学の研究成果や教育ノウハウの蓄積を広く市民に提供しており、学ぶ楽しさを共有しながら豊かな社会づくりに貢献している。また、実習や演習、見学などを豊富に取り入れ社会貢献ができる知識や技術を身に付けた人材養成を目指しているのも特長である。開講講座数は、年間約100講座で受講生数は約3,000名を数える。
 公開講座では、大学の研究成果を広く地域社会に発信し、さらに生涯学習の場を広く市民に提供し、豊かな人生を創造する交流の場を設けることを目的として、大学の特別講義を開放している。本学の専門分野はもとより、社会、経済、政治、文化、歴史、芸術、スポーツ等の各分野にわたり、また、現代社会のキーワードである地域環境問題、都市化、国際化、情報化、高齢化等の内容を各界で活躍している著名人を講師に招き開講している。開講講座数は、年間10〜13講座であり、受講生数は約500名前後である。
 エクステンションセンターに設置するグリーンアカデミー(2010年4月本学の傘下となる。前身は東京農業大学成人学校で1975[昭和50]年開校)は、満50歳からの方を対象に毎年4月から1年間のカリキュラムを開講している。「豊かで生きがいの持てるシニアライフの創造」を教育理念とし、社会的背景や受講者のニーズを踏まえて、従来の豊かなシニアライフ実現だけではなく、地域で活躍できる人材養成にも力を入れた教育内容としている。具体的な教育目標は、@園芸・造園の知識と技能の修得、A教養の修得と健康の増進、B地域や社会で活躍できる人材の育成を目指している。また、教育理念及び目標を達成するためのカリキュラムは、学問体系に捉われることなく、目的に応じた柔軟なカリキュラムで開講している。各科の定員は、グリーンアカデミー本科80名、グリーンアカデミー専科(草花・果樹・野菜・造園・みどりの地域づくり)150名、生活健康科30名である。
 「食と農」の博物館は、企業や地域等との連携による展示(常設、企画展)、連携による各種イベントの開催(講演会、体験会、産品販売など)を行っている。年間の来館者は10万人を超えている。
 農山村支援センター(山村再生支援センター)は、企業と農山村のマッチング支援、木質バイオマスエネルギーの普及、企業セミナー開催を開催している。
 その他、本学は以下のような教育研究の成果を基にした社会へのサービス活動を展開している。
○全国20自治体との連携協定締結
 山梨県小菅村(多摩川源流大学)、長野県長和町(地域再生・活性化の担い手教育事業)、静岡県富士宮市(フードバレー構想推進)などと連携している。
 オホーツクキャンパスでは、北海道網走市、標津町、中標津町、別海町、福島町などと連携協定を締結し、教育・文化・地域振興等の相互協力を行っている。
○行政や地域との連携事業
 オホーツクものづくり・ビジネス地域創成塾((財)科学技術振興機構)、オホーツク臨海研究センター、せたがやeカレッジ、環境教育支援セミナー、リサイクル研究センター、株式会社じょうえつ東京農大など
○教育研究機関との連携
 連携大学院協定、首都圏西部大学単位互換協定、網走支庁管内大学互換に関する協定および(財)北海道科学技術総合振興センター、東京農業大学教育者会議の運営など
○企業との連携事業
 潟鴻Cヤルホールディング産学連携事業、潟Tッポロビール、網走信用金庫、大分の香りの博物館、磐田市香りの博物館との包括連携協定など
○一般社会向けの事業
 東京農大経営者フォーラム、潟<泣Jード東京農大、鞄結梍_大バイオインダストリー
○東日本大震災復興支援プロジェクト
 福島県相馬市を対象とした農業・農村分野の震災復興支援事業
○研究成果の実用化推進
 研究成果の社会への還元の具体的方策として重要なことは、実用化される技術を特許権で保護して、企業を通じて社会還元して行くことである(実用化を担当する企業は、競争者の出現を抑えるため、特許権で新しい技術を保護していなければ、使用する意欲が湧いてこない)。このようなTLO活動は知的財産保護活動の一環として位置付けられ、総合研究所が担当している。
 本学における知的財産の取扱いについては、知的財産管理規程を2003年4月1日に制定し、本学帰属の知的財産が第三者に譲渡、分譲、使用許諾又は実施許諾された場合の収入についての配分方法等も含め、詳細に規定している。また、知的財産の権利化、出願及び管理に関する事項を審議するため、知的財産管理委員会を設置し、年3回程度開催している。
○総合研究所研究会の活動
 総合研究所研究会は、歴代の会長を実業界から招き<初代:三井物産(株)相談役 水上達三氏、第2代:住友化学(株)会長 土方 武氏、第3代:(株)ニチレイ会長 金田幸三氏、第4代:キッコーマン(株)会長 茂木友三郎氏、第5代:三井物産(株)顧問 大橋信夫氏(現会長)>、年1回総会を開催すると共に、会員向けの情報提供の場として、講演会、フォーラム等を年数回程度開催している。また現在、総合研究所研究会には本学教員と一般会員とで構成する23の部会があり、研究会からの一部助成を受けて独自に産官公学連携の共同研究活動等を行っている。現在の会員数は、法人会員約150社、個人会員約60名である。
○レンタル・ラボの提供
 本学では、2005年度から、大学・民間企業開発事業として、本学の研究者との共同研究を行う企業等に実験室を貸し出し、産官公学連携の高度化を目指す活動を行っている。現在、総合研究所の事務部がある15号館に2つのラボ、11号館に1つのラボがあり、3社に対し共同開発契約を交わした上で施設を提供している。
○一般社会向けシンポジウムの開催
 本学では、我々の生活にとって身近な「食と農」をとりまく様々な問題が社会的にも大きな関心事となっていることを踏まえ、社会貢献の一環として、「日本の食と農はこれでよいのか?」、「日本の農業をどのように変えればいいのか?」といった重要な政策課題について、一般の方々にわかりやすく問いかけ、考えていただく契機を提供することを目的に、2009年度から、「食料の安全保障と日本農業の活性化を考える」と題するシンポジウムを都内で開催しており、2011年度で3回目(最終回)を迎える。このシンポジウムは毎日農業記録賞など、農業における人材育成の分野で協力関係にある毎日新聞社との共催で開催しているが、一般市民、学生、農政関係者、農業関係者等からも注目を集め、毎回会場の定員を上回る申し込みがある(約350名)。 
 オホーツクキャンパスにおいても、地域資源を活用し、魅力あるまちづくりを更に進めるために「オホーツク地域の再生とまちのにぎわいづくりをめざして」として公開シンポジウムを開催し、一般、学生、商工会議所関係者等300名以上の参加を得て行われた。

〈2〉学外組織との連携協力による教育研究の推進
○せたがやeカレッジ
 世田谷区内の大学(東京農業大学、国士舘大学、駒澤大学、昭和女子大学)と世田谷区教育委員会が協働でインターネットを通じて全国に向けて発信する、文化創造型の新しい学習サービスである。学習コンテンツ数は約80講座であり、登録者数は5,000名を超える。
○6大学コンソーシアム
 世田谷区内の6大学(東京農業大学、国士舘大学、駒澤大学、昭和女子大学、成城大学、武蔵工業大学《当時》)の研究・教育資源を地域社会に還元することをとおして、地域社会に貢献することを目的として合同公開講座を開講していた。しかし、2008年度を最後にそれ以降は開講していない。
○厚木市と市内5大学との連携
 2008年6月30日に厚木市と市内5大学との連携協定を締結し、2011年度は厚木市と5大学連携事業が7事業、厚木市と各大学との個別連携事業33事業、審議会等委員派遣関係5大学で45事業が行われている。この中で、あつぎ協働大学は厚木市民18歳以上を対象に厚木市と5大学がテーマを決定し、共同で運営するものである。2009年度から実施し、2011年度は146名の市民が申し込みをしている。2011年9月30日に新たに災害時の相互協力及び相互支援の覚書を締結した。これらのさまざまな協力関係により地域貢献をしている。
○「みどりの講座」の開講
 平成元年から厚木市民大学講座として「みどりの講座」を厚木農場を中心に実施してきた。現在は厚木市から財団法人厚木市環境みどり公社に実施主体が移ったが、協力関係は続いている。毎年10月中に厚木市民80名を上限に実施している。
○世田谷区委託事業(才能の芽を育てる体験学習)
 世田谷区立の小学校5・6年生を対象に、自らの興味・関心を広げ、深め、その才能をさらに伸ばすきっかけづくりとして、自然環境・食・農をテーマとし、日常の授業等では触れることが出来ない体験学習を開講している。年4回開講し、約140名の児童が参加している。
○世田谷区委託事業(環境教育支援セミナー)
 世田谷区立の小・中学校教諭を対象に、自然体験や環境学習を通じ、総合的学習のカリキュラム開発や実践の進め方について開講している。年1回の開催で、約50名の教諭が参加している。
○世田谷区委託事業(土と農の交流園講座)
 世田谷区民を対象に、幅広く園芸を学べる要素を組み込むとともに、グループ等による実践体験等を通じて、健康の増進と仲間づくりや受講後の生きがいづくりに寄与することを目的に開講している。1年間のカリキュラムで定員は180名であり、常に定員を満たしている。
○受託研究・共同研究の推進
 本学における2010年度の受託研究・共同研究の受入件数は134件、受入額は約2億2,200万円となっている。総合研究所が研究者ごとに契約締結から予算管理までを全面的にサポートしている。
○アグリビジネスフォーラムの運営
 2005年度から、首都圏の私立農学系5大学(明治大学・日本大学・玉川大学・東海大学・東京農業大学)が協力して、農学分野の最先端の研究成果を結集し、産業界との連携により新しいアグリビジネスを創出することを目的として、毎年1回フォーラムを開催している。内容は、各大学の最新の研究テーマのパネル展示及び研究者によるプレゼンテーションを主体としている。
○実践総合農学会のサポート
 実践総合農学会は、現代の専門・細分化した諸学の領域を横断的に連携・統合させ、食料、環境、バイオマスエネルギー、健康に関わる問題を実践的・総合的に解明しようとする新学問分野である「実践総合農学」に関する研究・啓蒙活動を目的として、2004年に設立された学会である。農業の現場を研究対象とすることから、毎年地域を定めて地方大会(第1回:熊本県熊本市、第2回:静岡県富士宮市、第3回:宮城県角田市、第4回:岩手県久慈市、第5回:新潟県佐渡市、第6回:福島県鮫川村)を実施し、地元の研究者や生産者参加型で実践的なテーマでの研究交流を行い、地域おこしにも一役買っている。学会の事務局は本学の総合研究所内にあって、学会運営のサポートを行っている。
○網走市との連携事業
 その時々の興味あるテーマを中心に一般市民を対象にした東京農業大学市民講座、農業従事者等を対象にした網走市農業大学講座を毎年開催し、大学関連情報の発信・地域貢献している。

〈3〉地域交流・国際交流事業への積極的参加
 地域社会への協力については、本学の特質性から32ヵ国317人もの留学生が世田谷・厚木・オホーツクキャンパスで学び、日々、キャンパス内では日本人学生への刺激に、キャンパス外では多様な民族・文化を持った留学生が生活することで、地域社会の国際化に貢献している。
 一方、本学にあるエコテクゾーン教育研究施設では「環境・バイオマスエネルギー」に関する研究と実証試験を実施しており、その一環として、下記の施設を使って地域社会との交流事業を実現している。
○リサイクル研究センター
 川崎市からの生ごみ、近隣のスーパーマーケットから出る生ごみ、近隣の中学校から出る給食の残飯などを原料にして「生ごみ肥料」を製造し、近隣の農家や中学校の菜園に実証試験の材料として供給しており、一部地域社会における物質の循環を実現させている。なお、2010年にはこの「生ごみ肥料」が農林水産大臣より肥料として仮登録承認された。
○バイオマスエネルギーセンター
 同じく地域の生ごみから、微生物の発酵作用を利用して、エタノールや水素・メタンを製造している。これらの施設は、一般からの見学希望にも対応しており、研究に携わっている大学院生が施設の説明に一役買っている。

 

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