東京農業大学

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自己点検・評価

序章

本章

第01章 理念・目的
第02章 教育研究組織
第03章 教員・教員組織
第04章 教育内容・方法・成果
第05章 学生の受け入れ
第06章 学生支援
第07章 教育研究等環境
第08章 社会連携・社会貢献
第09章 管理運営・財務
第10章 内部質保証

終章

第三者評価結果

第7章

2.点検・評価

<1>効果が上がっている事項

(1)教育研究等環境の整備に関する方針を明確に定めているか
 本学の教育研究理念を実現するため、「安全で快適なキャンパス環境」の整備方針が理事会で定められ、その方針に従い各キャンパスで中期的な整備計画が検討されている。具体的には、世田谷キャンパスでは、講義棟の完成後、図書館・事務棟、研究棟の建築整備および憩いの場や農大の理念を具体的に示す緑地整備が計画されている。厚木は当初農場として整備されていたため、学生生活に必要なグラウンド、学生会館の整備が遅れていたが、新たに購入した伊勢原農場への農場機能移設が進行中であり、厚木キャンパスの再整備を進めることが決定されている。オホーツクキャンパスについては、開学23年を経て、経年劣化の補修を進めると共に、学科増設により学生会館など一部施設が手狭になるなどしている。このため、その改善の方策が検討されている。
 整備方針や計画は学部長会、学科長会、教授会のほか説明会などを通じ、教職員および学生にも周知し、理解と協力のもと計画の一部が進行している。

(2)十分な校地・校舎および施設・設備を整備しているか
〈1〉世田谷キャンパス
 建物の老朽化による建替やインフラの再整備により、学生の憩いの場や学生生活環境の改善を図っている。
 第1駐輪場(約3千台収容)を設置したことによってキャンパス内に分散していた駐輪スペースが集約された。2011年7月には新1号館(講義棟)が完成し、自由に利用できるスペースや多目的スペースが設置され、安心安全で快適な教室が整備された。
〈2〉厚木キャンパス
 学生ボランティアと研究室の協力で芝生広場や植栽の維持管理が行われて、「緑豊かな公園キャンパス」として地域住民に開放し豊な自然環境を提供している。
 建物の経年劣化調査結果に基づき、2009年度から年次計画を実施して大きな事故等が発生する前に適切な対応を行っている。また、有機性廃棄物処理プラントを利用して、家畜糞尿、食堂の生ごみの肥料化や汚水の浄化など環境に配慮している。
〈3〉オホーツクキャンパス
 校舎の経年劣化対策により、漏水やタイルの剥離による落下などの防止対策を行っている。また、トイレ改修により、学生のアメニティが向上した。第6駐車場拡大により学生の駐車場不足が解消され指定外区域駐車が減少した。

(3)図書館・学術情報サービスは十分機能しているか
・図書資料
 図書の選択にあたっては、3キャンパスで特色のある選書方法を取り入れており、概ね本学の教育・研究に有効活用される図書が選択されている。特に世田谷学術情報センター図書館で実施され、厚木学術情報センターも参加している「見計らい選書」は選書会場の確保が必要であると共に、事前準備・事後処理に多大な労力を要するが、現物を手に取り、内容を確認した上で購入の可否が判断できるという大きなメリットがある。
 また、大学史関係の資料の収集、江戸期・明治期の農学書の収集については、大学の独自性を内外に知らしめる最良の材料である。
・学術雑誌資料・電子資料
 大学・法人の理解を得て一定の継続した予算を確保し、学習・研究に必要とされる質量の提供を実現しており、利用者である教職員・学生からの評価も得ている。
 また、3キャンパス一括契約については相応の効果をあげている。
・情報検索設備などの利用環境
 新図書館棟(仮称)開設までの過渡期として仮施設で図書館運営を行っているが、限られた条件の中で可能な範囲の改修を行い、学習・研究機能の維持を実現している。
 また、3キャンパス合同で更新される情報基盤については、図書館単独では成し得ないスケールメリットをあげている。

(4)教育研究等を支援する環境や条件は適切に整備されているか
〈農学部〉
 キャンパス内にあった厚木農場は、起伏の多い農場で機械管理も難しく、また各部門が散らばって存在し、決して条件の良い実習農場ではなかった。伊勢原農場の新設・移転により、各部門の集約化が図れ、機械化の導入も可能になった。
〈応用生物科学部〉
 どの学科においても、適切な環境の中で教育研究ができるよう努めている。その結果、バイオサイエンス学科および生物応用化学科においては、大学院に多数進学する点で効果が上がっている。醸造科学科では、学部附置機関、併設短大醸造学科および醸造関連産業との連携により、実学教育の効果を上げている。栄養科学科では、わが国の政策の一つである食育への支援を行っている。
〈地域環境科学部〉
 多摩川源流大学での実学教育は、年間約1,800名の学生が参加しており、源流域の森林・林業体験や農業体験あるいは源流文化体験などの実践教育が展開しているとともに、卒業論文や修士論文などの場としても使われるなど、本学の教育・研究に大きく貢献している。
〈生物産業学部〉
 全学的および学部に配分されている学内の研究費は、透明性が高く適切に運用されている。
 地域の特色を活かした大規模農業生産の場としての寒冷地農場、世界の4大漁場のオホーツク海に面した臨海研究センター、ビールの試験醸造免許を持つ食品加工センター等、学部特有の施設として存在する意義は大きい。

(5)研究倫理を遵守するために必要な措置をとっているか。
 研究者からの研究計画書の申請に基づいて、それぞれの委員会は実質的な活動を行っており、本学の研究の安全面・倫理面でのチェック機関としての機能を十分に果たしていると言える。

 

<2>改善すべき事項

(2)十分な校地・校舎および施設・設備を整備しているか
〈1〉世田谷キャンパス
 食堂の座席の絶対数及び学生の憩いの場が不足している。駐輪場は駐輪スペースを確保したが、駐輪場としての施設整備を必要としている。
〈2〉厚木キャンパス
 食堂は農場実習で来ている世田谷キャンパスの学生の利用などもあり、昼食時は混雑が激しく利用限度を超えている。
〈3〉オホーツクキャンパス
 学生の憩いの場が不足しており、休憩スペースの増設が望まれている。また、大講義室の拡張が必要である。

(3)図書館・学術情報サービスは十分機能しているか
・図書資料
 見計らい選書においては、書店が見計らい用に選んだ本の中からしか選択できないという危険性も孕んでいる。教育・研究に密着したオールラウンドな図書の選択・収集に比べ、各キャンパスに特徴的なコレクションの構築があまり進んでいないのが現状である。また、蔵書点検で明らかになった不良データの修正作業が課題となっている。
・学術雑誌資料、電子資料
 学術雑誌においては、タイトルごとに「冊子体のみのもの」「冊子体+電子ジャーナルのもの」「電子ジャーナルのみのもの」と契約形態が異なっているため、管理作業が煩雑になっている。また、仮に冊子体の購入を中止する場合は、製本雑誌がそこで中断することになるため、学内的なコンセンサスの構築も必要となる。一方、毎年の洋雑誌及びデータベースの誌代高騰により、同一タイトルを維持するだけでも雑誌資料費は増大する一方であり、このままでは雑誌のタイトル数を毎年減らして行くか、図書費を削減するか、どちらかの選択をせざるを得ない予算状況になっている。
・図書館の司書資格等の専門能力を有する職員の配置
 2011年4月に、将来計画として図書館の専任職員を現在より半減し、2013年度を目途に業務委託を中心にする方針がある。図書館業務を委託する請負業者に対して、委託スタッフの条件に司書資格を持つ者という条件を付与することで(2011年度19名すべて司書資格保有)、司書としての資質の低下を、ひいてはサービスの低下を起こさないよう留意して実施する必要がある。

(4)教育研究等を支援する環境や条件は適切に整備されているか
〈全体〉
 キャンパスの地理的環境が異なるため、必要な教育研究等を支援する環境や条件は多少異なるが、適切に整備されていると判断している。しかし、入学する学生における能力および入学目的の多様化による教育への負担の増加、研究に対するニーズの高度化などへの対応が必要である。また、教育と研究のバランスを適切にするため、教員の事務負担の軽減や教員間および教職員間のさらなる相互協力が必要である。

〈教職・学術情報課程〉
 世田谷キャンパス、厚木キャンパスとも、実験・実習室は複数の授業で共用しているため、授業で一部不便が生じている。教職課程の技術科の専用実習施設が無く、学科の施設を借用している。また、学術情報課程では学芸員課程の実習授業の教材の収納場所が不便である。
〈農学研究科〉
 大学院生の増加が顕著な生命科学・化学系の専攻(バイオサイエンス専攻、農芸化学専攻、醸造学専攻)などでは、大学院生の居室、最先端の実験設備の確保が大きな問題となっている。また、RA制度の充実と活用も大きな課題である。
 大学院専用の講義室については、2011年9月に完成した新講義棟で確保しており、授業のスムーズかつ効率的な実施が期待される。大学院生の居室については、各専攻、研究室それぞれで努力をしているが、絶対的なスペースが限られており、努力の限界がある。
〈生物産業学研究科〉
 大学院生は学部研究室の施設・設備を共用するため、設備拡充が必要な部門もある。
 本研究科の教員居室は他の教員と同室になっている場合がほとんどで手狭で教育研究に悪影響を与える面が多々ある。また教員居室は、それぞれの教員の研究の場だけではなく、学生との個別的指導・相談または教員間での情報交換の場、部外者との面談などの場として有効に利用されるべきであり、スペースの拡張等の改善を考慮すべきである。

(5)研究倫理を遵守するために必要な措置をとっているか。
 各委員会には、学内委員の他に1〜数名の学外者を招聘することとしているが、充足できていない委員会がある。

 

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