東京農業大学

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自己点検・評価

序章

本章

第01章 理念・目的
第02章 教育研究組織
第03章 教員・教員組織
第04章 教育内容・方法・成果
第05章 学生の受け入れ
第06章 学生支援
第07章 教育研究等環境
第08章 社会連携・社会貢献
第09章 管理運営・財務
第10章 内部質保証

終章

第三者評価結果

第7章

1.現状の説明
(4)教育研究等を支援する環境や条件は適切に整備されているか。

〈大学全体〉
 本学では、講義が行われる教室だけでなく、教育研究の理念である実学主義を具現化するため、農場、実験室、実習室、演習室および研究室などの必要な施設を適切に整備している。各施設の設備は、教育研究のニーズ、経年劣化などに対応し改善が絶えず行われている。特に世田谷キャンパスでは、老朽化した講義棟、図書館棟および研究棟の改築計画が進められ、講義棟は1号館が本年7月に完成し、後学期から使用され講義環境は格段に改善された。また、図書館・事務棟の建設も2012年1月から開始され、2014年度には使用が開始される予定である。その後、同キャンパス内で分散している研究施設を集約化すると共に、その教育研究機能を向上させ、本学の教育研究の理念の達成を図る。また、建物の計画的な配置により生じた空間は、学生の憩いの場、緑地、研究圃場などとして整備し、安全で快適なキャンパスを目指し、整備する計画である。
 学生の教育指導の補助するため、学生実験、実習および演習では大学院生によるティーチング・アシスタント(TA)を配置している。各学科へは学生実験、実習、演習の単位数と受講者数を勘案して配当し、当該科目の安全、教育効果の向上と共に大学院生の実践力向上に寄与している。リサーチ・アシスタント(RA)については、制度の整備を進め、総合研究所の先端研究プロジェクトAおよび外部資金研究などで採用され、成果を上げている。
 教員には一人35万円の研究費を支給し、教員の研究活動を支援している。2011年度までは博士後期課程の学生を指導する大学院指導教授に対し10万円加算されている。また、若手教員の科研費への応募を推奨するため、申請した科研費が不採択の場合、その評価の高い課題に対し1課題50万円を支援し、科研費採択率が向上している。さらに、学部研究所プロジェクト(各学部900万円)を公募し、教員間の研究連携を促進すると共に、総合研究所による科研費等外部資金の獲得を図る説明会やWebで情報を公開し、外部資金の獲得を勧めている。
 学生は当該学科の研究室に所属して卒論研究の指導を受け、同研究および指導を通じ科学的思考力、問題発見および解決力、論理力、社会人マナーを身につける。研究室は本学の教育研究を実践する場所のひとつであり、その整備と充実、研究室における教育研究の推進に対し力を注ぎ、私大平均を上回る教育研究費を支出している。また、教員の研究時間の確保は学生教育への対応とのバランスがあり、私大特有の問題と認識している。
 本学では、研究室は年代の異なる複数(2〜3人)の教員で構成し、それぞれの能力と経験で相互に協力し合い、学生教育および研究、それぞれの時間とバランスを確保している。

〈農学部〉
 本学部における施設設備の内、学科研究棟(14,428u)の内、教員個室、非常勤教員室、共有スペース(ピロティー、廊下、トイレ等)及び事務スペース(作業室・ミーティングルームを含む)を除く約7割は、実験室(実験機能を備えた研究室を含む)、演習室及び資料室が占め、学生・教員の教育研究活動に充て、実験・演習科目にも十分に対応できる。
 また、農学教育に欠かせない実習農場も充実している。キャンパス内にある厚木農場は花卉園芸、果樹園芸及び工芸作物の実習に、棚沢水田は作物(水稲)実習に、静岡県富士宮市にある富士農場は畜産実習及び野生動物実習等にそれぞれ充てている。この内、厚木農場は新設した伊勢原農場に移転中で、すでに移転を終了した野菜園芸、農業機械及び造園の各部門の実習は伊勢原農場で行っている。花卉園芸及び果樹園芸部門も2013年までには伊勢原農場に移転し、工芸作物部門は棚沢水田に移転する計画である。ただし、工芸作物の内、キャンパスの景観や移転の困難さを考慮し、茶畑をキャンパス内に残す予定である。
 講義棟(7,216u)及び第2講義棟(2,571u)に大・中・小教室及び講堂(トリニティーホール)を配し、カリキュラムの遂行に何ら支障はない。各教室にAVシステムを整備し、パワーポイントなどコンピュータを介した資料の提示やビデオの再生などに対応している。また、1102教室は、世田谷・オホーツク両キャンパスとマルチメディアで接続され、3キャンパス同時開講の全学共通科目が実施可能である。教室の一部(第2講義棟2階)にコンピュータ演習室(パーソナル・コンピュータ約140台を設置)を設置し、さらに本部棟2階にはコンピュータ自習室(パーソナル・コンピュータ約40台を設置)を設けるなど、情報教育環境も整っている。しかし、スポーツ・レクリエーション(一・二)に対しては体育館が設置されているものの、野外運動場がなく、屋外スポーツは厚木市の施設を借りて実施している。
 教育支援体制としてティーチング・アシスタント(TA)制度を導入している。主に大学院生が務め、実験科目の補助として雇用している。年間の予算規模は、農学科300万円、畜産学科240万円、バイオセラピー学科180万円である。実績(TA人数、活用延べコマ数)は過去2年(2009年と2010年)それぞれ、農学科27名1,236コマ、22名1,199コマ、畜産学科は23名1,061コマ、20名893コマ、バイオセラピー学科は13名725コマ、26名719コマであり、予算のほぼ100%を使用した。
 実習教育に関しては、技術職員による教育支援体制を確立している。厚木農場、伊勢原農場、棚沢水田においては13名(1名は植物園兼務、また内1名は臨時雇)が在籍し、実習圃場及び植物園の管理や実習の補助をしている。富士農場には5名(内2名は臨時雇)が在籍し、家畜や牧草の管理及び実習の補助をしている。バイオセラピーセンターには2名が在籍し、馬や伴侶動物の管理及び実習の補助をしている。
 外部資金(科学研究費補助金、受託研究、各省庁が公募する競争的資金等)や農学研究所のプロジェクト研究費等については、各教員が各自申請してその目的に沿って使用している。
 教員の居室は、間取りにより多少の大小はあるものの、ほぼ1人20uを確保している。教員の研究室は、学生の実験室と兼用で相応の面積が確保されており、特に問題はない。

〈応用生物科学部〉
 本学部では、学外実習を除き実験、実習および演習などは室内で行われるため、研究室および学生実験室が整備されている。研究室および学生実験室の設備については、各学科で整備充実を図り、同分野の他大学に比べて遜色ないものと判断している。また、応用生物科学研究所、食品加工技術センター、アイソトープセンター、高次生命機能解析センターおよび菌株保存室の5施設が設置され、本学部および他学部の教育研究を支援している。
 バイオサイエンス学科は、学科の理念、目的に基づき、基礎から先端分野までを包括的に習得できるように特徴づけた教育課程を学科として設定している。そのなかではTAによるサポートシステムが活用されている。
 生物応用化学科は、食料生産のための土壌環境、植物の育成、生産性に関わる病害虫制御から安全・安心な食品加工、製造とそれに関わる微生物さらには最終消費の場となる人の栄養と健康まで一貫したサイクルシステムの全容を環境との共存の中で理解、社会が要求している教育・研究に対応できる適切な学科体制をとっている。 200名程度まで収容可能な実験室2室を他学科と共有し、無機化学実験、有機化学実験をはじめ本学科の6基礎実験と6専門実験(6つの研究室に対応している)をそれぞれ一斉に実験が実施できる設備を整えている。基礎実験や専門実験それぞれには、担当教員が複数で当たると同時に、数名のTAが学生の実験指導補助に当たっている。本学科の6つの研究室はほぼ同面積で、1つのフロアに配置されている。各専任教員は研究室内に占有スペースを持ち、直接顔が見える距離で学生指導に当たっている。専任教員の研究費は大学から配分される研究費の他、競争的資金や受託研究費を獲得し、個人研究費に充てている。
 醸造科学科では、教育研究支援体制の整備に関して、実験実習科目が必修6科目(+選択1科目)あり、教員の研究費・研究室及び研究専念時間の確保に関して、教員研究費の多くは、旅費交通費、消耗品費、会費・助成金等に支出されている。本学科は2号館1階に2,024m2の面積を専有している。これを所属の6研究室がほぼ均等になるよう部屋割りを行い1研究室当たり約330m2の床面積を有している。教員室が学生実験室と同居しているものから、完全個室までその形態はさまざまである。
 栄養科学科は、食品栄養学専攻と管理栄養士専攻の2専攻で構成し、その教育課程の違いはあるものの、栄養士・管理栄養士養成に直接的に関わる設備環境は栄養士法施行規則に従い適正に設置および整備されている。さらに、同規則により助手が8人配置され、学生の教育研究の補助業務を行っている。そして、教員は5〜10の学術登録団体に所属し、研究費の多くは年会費および大会参加への旅費交通費に支出されている。

〈地域環境科学部〉
 本学部では、教員の国外留学や特別研究期間制度を積極的に支援し、研究・教育環境の改善に努めている。
 また、教育後援会(保護者会)や校友会との連携に努めている。さらに、2006年度の文科省現代GP採択による多摩川源流大学が山梨県小菅村に設置されており、源流学を通しての実学教育の支援が進められている。

〈国際食料情報学部〉
 本学部には学部共通の課題を総合的に研究する国際食料情報研究所、実学教育の実践の場として沖縄県宮古島に宮古亜熱帯農業を設置し、教員、学生並びに大学院生の教育研究に利用している。
 国際農業開発学科の教育は、時代の変化と社会的ニーズを考慮に入れた改正カリキュラムによって、学生の期待に対応できる内容になっている。また実習や実験に伴う予算の配分も十分に考慮している。また演習においては、卒業論文の作成につながるように、学生の取り上げるテーマに沿って教員各自が丁寧な指導を心掛けている。特に実習については、学生の希望に沿って学外及び海外で活動ができるような条件と環境を整えている。
 学生の研究については、学科に開設している7つの研究室のどこかに所属しており、各自の学生が興味・関心をもつ研究テーマを深めている。また必要に応じて学外での研修活動にも熱心に取り組んでいる。また、国際食料情報学研究所の学部プロジェクトの予算を用いて、特にフィールド調査が可能となるよう配慮している。 
 食料環境経済学科に在籍する学生1,129名に対して、2号館4階に研究室ならびに演習室・事務室等を設置している。教員数20名に対して教員個人研究室20部屋のほか、各教員に付随した学生研究室19部屋、演習室の8部屋のほか、書庫、資料室、会議室、学科事務室、演習準備室、コンピュータ演習室、農経会等を施設がある。TAは、2005年度より採用し、実績は、2005年度と2006年度は4枠、2007年度3枠、2008年度当初2.5枠、変更後1.5枠、2010年度2.0枠(1枠=1人当たり60万円)である。教員の研究費について、個人研究費は図書費、旅費交通費、消耗品費などで構成されている。個人研究費の科目別内訳に関する配分方法は、原則として教員個人の自由である。教員1人に対して研究室を設け、予算もそれぞれに配分している。また、研究専念時間の確保について、講義・演習・視察研修のほか、各種行事、入学試験、各種文書の配布・回収、学生への面談などの教育に必要とされる労働時間と負担が多い。したがって、教員の研究時間を適切に確保するためには、教員間の労働負担の調整及び各教員の研究時間の確保に関する自覚がきわめて重要になる。
 国際バイオビジネス学科は、演習科目(主にゼミ演習)の実施のために各研究室に演習室を設け、さらに30名程度収容可能な共通演習室を8室設けている。1学年の学生定員数は170名であるので、1ゼミ当たり15名前後の人数でゼミ演習を行うことができる。また、共通演習室については、2部屋を除き無線LANのアクセスポイントを設置して自由にインターネットに接続できる環境を整えている。共通の廊下部分には20台のPCと2台のプリンターを設置して、学生が自由にPCを利用できるスペースも設けている。演習科目は、教員1名では教育効果が上がらない場合があるため、大学院生のTAを積極的に採用して、授業支援を行っている。通常のゼミ演習ばかりでなく、バイオビジネス実践論やビジネスゲーム演習などでもTAによる支援効果が顕著に表れている。教員の研究費は、研究室の実験実習費(教員1名当たり)は、基礎配分25万円と、担当ゼミ学生数(1名2万円)によって配分している。1教員1研究室制度が廃止され、現在は2名以上の教員で1研究室を構成しているが、この分配の方法はそのまま踏襲しており、特に問題はない。実験実習費の使い方は所属教員の協議で決めている。

〈生物産業学部〉
 生物産業学部では、教員の個室は全員には配置していない。産業経営学科は教員1人1研究室体制を取っている。生物生産学科、アクアバイオ学科及び食品香粧学科は、原則として1研究室に教員室が1つ併置されており、多くの場合2名で1室を使っている。教員室、研究室ともに手狭であるが、分野・教室を越えて使用できる分析室や培養室を整備しており、面積的にはほぼ十分である。教室や学生実験室等では、多様な授業に対応できようにOA機器を整備した。
 本学部では、個人研究費は専任教員1人当たり35万円、学会旅費は1人当たり30万円配分(35才までは満額、50歳までは10万円支給;2009年度から改正し、残り原資は推薦系入試合格学生への奨学金として使用)している。これらの研究費・旅費は既得権として無条件で支給するわけではなく、年間の研究業績や教育的活動の状況によって査定され、若手教員に傾斜配分される。研究費、旅費共に決して潤沢な金額ではないが、外部資金を調達することが基本であるので、研究活動費としては妥当な金額と言える。
 また、本学部に付置されている生物資源開発研究所は地域社会・産業と学部を結ぶ窓口としての役割を担う研究施設である。学部の戦略的研究企画としてのプロジェクト研究「寒地農学に関する国際学術交流」を全学的な研究組織によって展開しており、外部からの委託研究は毎年40件以上である。網走寒冷地農場には営農畑、試験圃場及び分析室を備えており、実習や研究に利用している。また生物生産学科には複合家畜舎、植物温室が、食品香粧学科には食品加工技術センターを、アクアバイオ学科にはオホーツク臨海研究センターを整備しており、実験・実習や研究施設として共同利用に供されている。この他に、大学敷地内の林間地に本学部特有の施設としてファイントレールと称する散策路を整備・維持している。野外の実習・実験の場あるいは野生動植物の研究場所として共同利用されると同時に、市民の憩いの場としても開放されている。
 学内における共同研究は、大学の総合研究所で募集する「私立大学教育研究高度化推進特別補助」「東京農業大学先端研究プロジェクトA・B」「若手研究者支援プロジェクト」がある。いずれも先端研究の育成が目的で、総合研究所で管理運用され、本学部教員も応募できる。また、本学部生物資源開発研究所が募集する「学術研究推進特別経費」がある。これは「寒地農学の国際交流研究」の課題を募集するもので、全学に向けて公募している。いずれも全学的な研究費で適切性は高い。
 教職員の業務は、研究、教育、学務の全てであり、これをバランスよく遂行することが求められる。したがって、一般的には、教員は自分の裁量で時間の配分を調整して研究の時間を確保することになる。即ち、学生に対する学習支援や生活支援、あるいは学生確保のための業務等に費やされる時間が多いが、研究は教員達の連携により支障少なく実施されている。実験・実習をサポートするスタッフは、大学院生の全員がTAとして配置されている。 RAは人件費を伴う外部資金を獲得した時には博士後期課程の院生等を配置している。

〈教職・学術情報課程〉
 世田谷キャンパスには、教職・学術情報課程専用の講義室、実験室、実習室ならびに演習室を設置しているが、厚木キャンパスでは実験・実習・演習授業は共通施設を利用している。研究室は世田谷キャンパス及びオホーツクキャンパスに各教員用の研究室があり、研究室では研究活動を行う他に、学生に対する個別指導を行っている。厚木キャンパスの学生に対する個別指導は、本課程の教員が共用する準備室で行っている。

〈農学研究科〉
 農学研究科の世田谷キャンパスでは,大学院専用の居室として20室で約900uがある。
 なお,本学では,大学院の居室,実験室,実験機器については,その多くが学部と共用で活用している。
 なお,2011年9月から使用予定の新講義棟には,大学院で優先的に使用可能な講義室が5室,約357u確保しており,授業環境の改善を図っている。
 また,博士前期課程の学生に対しては,学部学生の実験,演習等をサポートするTA制度を整備し,有効に活用している(表7)。博士後期課程の大学院生を対象としては,バイオサインエンス専攻では,科学技術振興機構のCREST研究資金により3名の博士後期課程の大学院生とRA契約を結んでいる。また,2011年度からは学内資金(大学院高度化予算)を利用して,博士後期課程の大学院生とRA契約を結んでいる。
 なお,大学院では大学院高度化事業を推進して,専攻単位で戦略的な研究課題を立てて教員と大学院生が一体で研究を推進するための予算を確保し活用している。予算規模は約6,000万円である。この資金制度の導入により,大学院生の研究費,国内学会,国際学会での研究発表が可能となり,多くの研究成果が生まれている。

〈生物産業学研究科〉
 生物産業学研究科では、大学院生の教育研究等の支援体制として、学術情報センターを整備しており、文献検索のサポートが充実している。また研究室間及び全学的にコンピュータネットワークを構築し、教育・研究情報等の共有、受け渡しが容易である。また大学院生を使ったTAおよびRA制度を活用し、研究支援体制の充実を図っている。

【表7】TA活用実態PDF

 

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