東京農業大学

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自己点検・評価

序章

本章

第01章 理念・目的
第02章 教育研究組織
第03章 教員・教員組織
第04章 教育内容・方法・成果
第05章 学生の受け入れ
第06章 学生支援
第07章 教育研究等環境
第08章 社会連携・社会貢献
第09章 管理運営・財務
第10章 内部質保証

終章

第三者評価結果

第1章

1.現状の説明
(1)大学・学部・研究科等の理念・目的は、適切に設定されているか。

〈大学全体〉
 東京農業大学の理念・目的は、東京農業大学学則第2条に「本大学は、その伝統及び私立大学の特性を活かしつつ、教育基本法の精神に則り、生命科学、環境科学、情報科学、生物産業学等を含む広義の農学の理論及び応用を教授し、有能な人材を育成すると共に、前記の学術分野に関する研究及び研究者の養成をなすことを使命とする」と明記されている。
 こうした東京農業大学の理念・目的は、大学の原点であり、徳川育英会を母体に1891(明治24)年に明治の英傑榎本武揚によって創立された「育英黌農業科」の実学を重んじた精神に帰着する。日本農業の近代化のために西欧農学の導入と近代農学の実践を支える人材育成が急務とされた時代である。その後、1893(明治26)年には東京農学校と改称し、翌年には建学理念を確立する明治農学の第一人者である横井時敬を評議員に迎えるとともに、1911(明治44)年には東京農業大学の初代学長に任じた。横井は、東京農業大学の建学の理念を、農業問題を多様な条件下で総合的・科学的に把握・評価・分析して、解決のための技術・方法・理論を追求する合理的な精神として「実学主義」を掲げた。この実学主義の下で、農業の現場で問題解決に当たる人材の育成教育の重要性を「人物を畑に還す」、問題発生の現場に学ぶ帰納法的な研究方法の重要性を「稲のことは稲に聞け、農業のことは農民に聞け」という教育理念の形で表した。横井が目指した理想的な農業・農村の形成と東京農業大学の貢献は、科学に裏付けられた実践的な農業技術の開発と普及、文化豊かな農村の創造、食料自給の確保と国土の保全であり、21世紀の現在も色あせることなく東京農業大学の教育理念として継承されている。
 1949(昭和24)年には学校教育法、私立学校法による東京農業大学となり、翌1950(昭和25)年には東京農業大学短期大学を併設、1953(昭和28)年には大学院農学研究科を設置するとともに、実学主義の教育を徹底するため厚木農場、富士農場、網走寒冷地農場、宮古亜熱帯農場、奥多摩演習林等、多数の農場、演習林を整備し、実習を重視する教育理念を創造した。1978(昭和53)年には文部省「発展途上国との学術交流事業」の拠点校に選定され、東京農業大学における研究教育の国際化が全学を挙げて推進され、「人物を地球に還す」とも表現される国際的に活躍できる人材の育成が教育研究の目的の大きな柱となっていった。
 さらに、1998年には東京農業大学の組織の全面的な再編が行われ、農学部、応用生物科学部、地域環境科学部、国際食料情報学部及び生物産業学部の5学部に15学科(現在は17学科)を配置した新しい組織体制が整備され、社会が農学に求める期待やニーズに、あらゆる角度から対応できる教育研究体制が確立された。それに伴い、建学の理念である実学主義を堅持しながら新たな問題解決に挑戦する教育研究の方向を、「食料」「環境」「健康」「バイオマスエネルギー」の分野であることを明確に設定しながら、今日まで東京農業大学は、大学の理念・目的に則って、有為な人材を輩出するための教育研究を展開・推進している。
 各学部と学科の目的についても大学の理念・目的に基づき適切に設定されている。

〈農学部〉
 農学部の理念・目的については、「植物・動物の生命に関する基礎から応用までを科学し、それらを農学の発展に資することを目的としている。同時に動植物の育種、生産、加工など生産領域ならびに人と動植物との共生や生物介在療法など学際的領域を教育研究し、豊かな心と実学的知力を養い国内外において地域リーダーとして活躍できる意欲と能力を持った人材を養成する。」と定めている。

 東京農業大学及び農学部の理念・目的を踏まえ、各学科の目的は学則により以下のとおり設定されている。
 農学科:安全で信頼性の高い、安心、安定した農業生産のため、農作物の特質、栽培技術等の学理を教育・研究し、実学的な教育と積極的な課外活動を通して、自己の適性を発見し、持続可能な次世代型農業を開拓、国内はもとより世界の農業を中心とした広範囲な分野で羽ばたくことのできる人材を養成する。
 畜産学科:動物の生命現象の本質を追究する生命科学と生産物の生産から流通までの食料生産を追求する生産科学の2領域を包含している。課程を通じて生命の尊厳や倫理を学び、豊かな心を持ち、医・薬・理学領域まで広がりを見せる生命科学関連及び良質で安全な食料を生産する生産科学領域で貢献し得る人材を養成する。
 バイオセラピー学科:人と動植物とのかかわり、すなわち動植物との共生、動植物の活用による生活の質の向上、動植物を介しての癒し、さらに動植物を介在させた療法にまで及ぶ学際的領域に関する教育と研究並びに実践を行い、国内外においてこれらの領域で活躍できる意欲と能力を持った人材を養成する。

〈応用生物科学部〉
 応用生物科学部の理念・目的については、「動植物・微生物等が営む生命現象について理解と解析能力を高め、人と環境との共生の上に成り立つ生活を真に考究し、実践出来る人材育成を教育理念としている。本理念の達成に向け、生物と化学を基礎学問に据え、講義と実験・実習さらには卒業論文実験を通じて、学力の向上と国際的研究を目指す。」と定めている。

 東京農業大学及び応用生物科学部の理念・目的を踏まえ、各学科の目的は学則により以下のとおり設定されている。
 バイオサイエンス学科:基礎から最先端の生命科学の知識と技術を習得し、生命現象を本質的に理解し、生命科学を利用して社会貢献できる人材及び研究や開発等生命科学領域で幅広く活躍するための礎となる深い洞察力と問題解決能力を身につけた個性豊かな人材を養成する。
 生物応用化学科:化学と生物学の素養と知識を基礎に生命現象から環境問題までを多元的に理解・解析できる人材を養成する。その目的を達成するため、食料・健康・環境・資源エネルギーにかかわる諸問題を対象として、基礎から応用にわたる実学的教育・研究プログラムに基づいた教育をする。
 醸造科学科:わが国唯一の醸造・発酵技術関連の高等教育研究機関である。微生物利用産業における、伝統技術から最新のバイオテクノロジーに至る幅広い分野の教育研究を行なっている。当該分野の基礎知識及び総合的技能を有する醸造・食品・微生物利用産業の発展に寄与する人材を養成する。
 栄養科学科:2専攻からなる。食品栄養学専攻は、食品の品質、安全性、生理機能等、食品に関する高度な専門知識・技術を身につけた「食の研究者や技術者」を養成する。また管理栄養士専攻は、食による健康の保持増進並びに傷病者療養のための栄養管理や栄養指導のできる「管理栄養士」を養成する。

〈地域環境科学部〉
 地域環境科学部の理念・目的については、「生物に対する深い理解を基調とし、自然と人間の調和ある地域環境と生物資源の保全・利用・管理のための科学技術を確立することを目指す。さらに、ミクロな地域環境問題の解決はもとより、マクロな広域環境問題、さらにはグローバルな地球環境問題の解決に貢献する人材を養成する。」と定めている。

 東京農業大学及び地域環境科学部の理念・目的を踏まえ、各学科の目的は学則により以下のとおり設定されている。
 森林総合科学科:人間と森林の共生に貢献できる人材の育成が、教育・研究目標である。森林そのものと環境循環について科学的に理解することからはじまり、森林のもつ資源生産的機能と環境循環機能を総合的に考究するなかで、これからの循環型社会の創造に貢献できる専門知識を養う。
 生産環境工学科:農業生産の場における土・水・施設・機械に関する技術を応用し、地域から地球規模まで考慮した環境保全に資する新たな農業生産技術とエコ・テクノロジーの開発を行うとともに、生産性向上のみでなく、環境・資源・エネルギーに配慮した計画・設計・施工・管理を行える倫理観を持った技術者を養成する。
 造園科学科:庭園文化を踏まえ、人間と自然の調和共生社会の実現をめざし、都市から田園、自然地域にわたる国土の環境と景観を保全・活用し創造するための、調査・計画・設計・施工・管理・運営及び材料に関する理論と応用を教授し、豊かな感性とデザイン力、確かな倫理観を持つ造園家、造園技術者を養成する。

〈国際食料情報学部〉
 国際食料情報学部の理念・目的は、「日本と世界の食料・農業・農村問題の解決に向けて、国際的情報網の活用のもと総合的・実践的に挑戦する」をモットーに、農業・農村開発と国際協力の推進、持続可能な食料・農業システムと循環型社会の構築および資源・環境保全と産業発展の共生を図る新しいバイオビジネスの展開等の分野で活躍できる人材を養成する。」と定めている。

 東京農業大学及び国際食料情報学部の理念・目的を踏まえ、各学科の目的は学則により以下のとおり設定されている。
 国際農業開発学科:自然科学と社会科学の両領域からなる科目を配し、さらに、国内外の農業実習・研修を積極的に取り入れ、「専門性を活かした総合的アプローチ」をモットーに、農業・農村開発協力を通じて国際貢献のできる人材を養成する。
 食料環境経済学科:社会科学、とりわけ経済学の手法を用いて、「農業」「食料」及び「環境」を取り巻く課題を地域的・国民的視点、さらには国際的視点から究明し、もって「新たなフードシステムの構築」及び自然と人間の共生を軸とした「持続的な循環型社会の構築」に資する人材を養成する。
 国際バイオビジネス学科:人類の生存に最も重要な食料・環境にかかわるビジネスの教育・研究を行う。食料の生産、加工、流通、支援サービス、さらには生態系を踏まえた地域環境・資源の分野において持続的な経営発展を推進するバイオビジネスの専門的知識と技術を身につけた国際的人材を養成する。

〈生物産業学部〉
 生物産業学部の理念・目的としては、「人類生存の基である生物産業にかかわる生産、加工、流通、経営を取り巻く自然科学的・社会経済的現象を教育研究の対象とした生物産業学を基盤として、文理融合の教育体系のもとで、生命・食料・資源・環境問題に関する深い知識を持ち、その解決方向を示すことの出来る地域社会・国際社会に貢献しうる人材を養成する。」と定めている。

 東京農業大学及び生物産業学部の理念・目的を踏まえ、各学科の目的は学則により以下のとおり設定されている。
 生物生産学科:多様な陸圏領域の教育・研究が実践できるように配置した植物系、動物系、資源・環境系の分野において、新しい生物資源の開発や多様な環境に配慮した生物生産力の拡大、生物資源機能の新しい応用等にかかわる理論と技術を教育研究し、国際的な視点で地域産業の発展に貢献できる人材を養成する。
 アクアバイオ学科:豊かな生態系と高い生産性に恵まれたオホーツク海を主たる場として、資源の生物学的知見と、それを育む水圏の環境及び生態系にかかわる知見とを統合的に理解させることを教育研究の目標とし、水圏環境の保全、水産資源の増養殖、解析、管理、未利用資源の開発、漁獲物の利用加工や流通等に資する人材を養成する。
 食品香粧学科:フードサイエンスコースとコスメティックサイエンスコースからなる。前者ではオホーツク地域の農水畜産資源を活用した食品の製造・加工法、食の安全・安心や微生物に関して、後者では機能性食品や香粧品の資源、機能および生物化学的研究に関して、基礎から応用まで総合的な教育・研究を行い、産業界で即戦力として対応できる人材を養成する。
 産業経営学科:地域社会の再生・環境問題・食料問題・資源エネルギー問題など現代社会が直面している重要な課題に対して、オホーツクのフィールドを活用して経済・経営・会計・情報技術・農業経営・環境科学の諸分野から総合的にアプローチし、持続的な環境共生型社会を担う21世紀型の地域リーダーを養成する。

〈教職・学術情報課程〉
 教職・学術情報課程の理念・目的は学則により、「知識・品位・技能を兼ね備えた熱意あふれる教員並びに博物館・図書館等における各種情報の調査・収集・整理・保管・検索・提供等の実務に取り組む実践的かつ専門的知識を身につけた学芸員及び司書を養成する。」と定めている。

〈農学研究科〉
 大学院農学研究科は、農学の諸分野にわたるフロンティアとして、健全で調和のとれた見識と実力を有する研究者及び高度専門技術者の人材育成を目指し、実学主義教育のもと論理的思考力と問題解決能力の獲得向上を図り、生物資源、先端生命、環境科学、アグリビジネス並びに生物介在療法分野の教育・研究を行うことを目的としている(「東京農業大学大学院学則」)。大学院における教育・研究の基本理念は、問題解決に不可欠な基礎的・科学的な知識と技術を身につけ、困難な問題解決に独創的に取り組む実学主義にある。
 農学研究科は4学部13学科の上に博士前期課程、修士課程並びに博士後期課程が設置され、最先端の学術的な研究成果が常に学部教育にフィードバックできる仕組みを形成している。すなわち、分子生物学・基礎農学などの農を支え、その応用分野の拡大を目指す専攻(農学専攻、畜産学専攻、バイオセラピー学専攻、バイオサイエンス専攻)、食品、土地・水などの環境資源を化学的に解明する専攻(農芸化学専攻、醸造学専攻)、人間の栄養管理に関する専攻(食品栄養学専攻)、森林・農地・生活空間などの人類の生存を支える地域環境に関わる専攻(林学専攻、農業工学専攻、造園学専攻)、食料問題や開発途上国の問題解決、世界の食・農ビジネスの解明を目指す専攻(国際農業開発学専攻、農業経済学専攻、国際バイオビジネス学専攻)、さらには実社会で一定のキャリアを蓄積した社会人が働きながら指導を受けられ博士論文の作成が目指せる専攻(環境共生学専攻)が設置され、農学分野をリードしてグローバルに活躍できる研究者、高度な技術・創造性を持った専門職業人の育成を目指している。

〈生物産業学研究科〉
 生物産業学研究科は、幅広い学問領域の知識を備え、高度な専門知識と能力及び創造性豊かな優れた研究・開発能力を持つ人材の育成を目指し、生物産業学に関する実学の精神と文理融合の教育体系に基づき、北方圏の地域性を活用した農林水産に関わる生物資源、バイオテクノロジー、経営経済分野の教育・研究を行うことを目的としている(「東京農業大学大学院学則」)。本研究科には、生物生産学専攻、アクアバイオ学専攻、食品科学専攻及び産業経営学専攻の博士前期課程4専攻及び博士後期課程の生物産業学専攻を配置し、生物系と経営経済系が相互に補完しあう文理融合の教育体系を整備している。これによって北方圏の地域性を活かした、農林畜水産業の生産、食品産業における加工製造、技術開発及びそれら産業の経営、流通、情報に関する教育研究を通して、持続的な生物産業及び関連産業の発展に寄与する能力を修得した人材の育成を目指している。

 

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