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在学生の海外教育機関への派遣
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派遣先 |
平成14年 |
平成15年 |
平成16年 |
種類 |
カナダ |
2名 |
2名 |
− |
短期語学研修 |
アメリカ |
1名 |
− |
− |
長期農業実習 |
タイ |
− |
1名 |
− |
短期農業実習 |
中国 |
1名 |
− |
− |
短期農業実習 |
台湾 |
1名 |
− |
− |
短期農業実習 |
フランス |
制度なし |
制度なし |
3名 |
短期研修 |
計 |
5名 |
3名 |
3名 |
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本学の国際交流は、東京農業大学の姉妹校との間を中心に行われており、一国一大学主義を堅持し、名目だけの協力提携を避け、実質的に交流できる各地域を代表する名門農学系大学と提携している。それでも、平成16年12月現在、姉妹校は18校を数え、アジア9カ国、南北アメリカ5カ国、ヨーロッパ3カ国、中近東1カ国と着実に範囲を広げてきた。学生・教員を研修に送り出すだけでなく、本学の教職員・学生が積極的にこれら大学からの訪問団を受入れ、活発な交流を行っている。
本学が海外姉妹校との間に実施している学生交流プログラムについては次の通りで、このプログラムに参加した派遣学生には帰国後所定の手続きを取ると卒業要件の単位として認定される。
(1)派遣プログラム
(海外短期農業実習)
このプログラムは、中国・中国農業大学、タイ国・カセサ−ト大学、台湾・国立中興大学及びメキシコ国チャピンゴ自治大学との間で実施している。
この派遣のプログラムの目的は、夏休みの期間約1ヵ月間、自国と異なる環境下で営まれている農業を体験し、相手国の社会や異文化を理解することにより、視野の広い国際感覚豊かな人物を育成することにある。また、学生にとって海外での体験は大きな刺激となり、帰国後の学生生活に新たな目的意識が芽生えてくる。本学から派遣する学生とタイ国、中国、台湾、メキシコの学生との交流もそれぞれの国で活発に行われ、実習後も活発に交流が続いている。なお、交流記録をまとめた報告書が刊行されている。
(短期語学留学)(スプリングプログラム)
このプログラムはブリティッシュコロンビア大学に2月から3月の約2ヵ月間、語学研修を主目的に派遣するもので、ホ−ムステイを通じて国際社会に対応する人材の養成を図っている。本学からの派遣は、全ての学年を対象とし、学生45名以内。
(フランス研修プログラム)
姉妹校の一つであるボーべ農業グランゼコールに夏期休暇中2週間20名派遣するもので、フランスの歴史・文化・生活について体験するプログラムである。平成16年度から新たに開始した。
(2)受入プログラム
本学では学生交流で姉妹校から短期と長期の学生を受け入れている。
(短期農業実習受入)
毎年本学では姉妹校の学生を短期農業実習生として受入れている。中興大学(7月中旬2週間)から学生20名、中国農業大学(8月中旬〜9月中旬)から学生15名、カセサ−ト大学(10月上旬〜11月上旬)から学生15名が本学に滞在し、厚木農場及び富士農場の農業実習、研究室研修、学外施設・設備の見学、日本の家庭を体験するホームステイを行っている。本学学生と姉妹校学生との交流は実習後も続いていることが特徴である。
(ミシガン州立大学研修グループ受入)
隔年でミシガン州立大学の食品法コース(研修期間1週間、受入学生数約25名)、包装学部(2週間、約20名)研修グループを受入れている。世田谷キャンパスでの講義、富士農場や厚木キャンパスを訪問する。いずれのグループも本学学生との交流の場が数多くあり、本学学生にとっても国際交流実践の良い機会となっている。
(3)世界学生サミットと世界学生フォーラム
世界学生サミットは、海外姉妹校学生、外国人留学生及び日本人学生が一堂に会して、世界の食料・農業・環境問題について考え、人類の持続的発展と青年自らの役割について発表し、討論する国際会議である。第1回世界学生サミット(平成13年11月)では、食と農と環境に関する諸問題と対策および学生たちの役割について白熱した議論を展開し、成果を「東京宣言」として公表した。この「東京宣言」の具現化の為、第2回サミット(平成14年11月)では、各国・各地域の食と農と環境に関する世界的問題を検証、問題への対応策を発表し、「東京宣言」を踏まえた行動計画を作成した。そして、食・農・環境問題の改善に貢献する学生達のネットワークとして世界学生フォーラム(ISF:International Student Forum)を組織化した。第3回サミット(平成15年11月)は「安全食料の安定供給システムの推進」を共通テーマに、17カ国・地域の代表が環境保全と農業の持続性に配慮した各国の行動計画の作成推進に合意した。第4回は「農業システムの理解深化による地球的持続性の推進」を共通テーマに平成16年11月25日、26日に世田谷キャンパスで開催した。厚木キャンパス、オホーツクキャンパスでもマルチメディアで会議内容を放映している。
世界学生フォーラムは、各国の食・農・環境に強い関心を持つ学生たちのネットワークで、人類共通の課題の解決に向けて、学生間の情報交換・共同討議などを推進する国際組織である。活動は主にホームページ上で行われ、参加国の学生代表が世界学生サミットに集まって活動結果を発表する。本学在学生で食・農・環境に関心があれば、誰でも委員になり活動することができる。
世界学生サミットと世界学生フォーラムは、本学が平成14年に認証取得したISO14001(ISOは国際標準化機構の略)の取組みに必要な方針の一つである「海外の姉妹校などを拠点として、国際的な環境及び農業関連研究、教育ネットワークを構築する」ことを具体的に推進するプログラムであるとともにGPでの評価も高いものとなっている。
本学の学生交流は姉妹校との短期学生交流派遣が中心となっているが、派遣国数は農業実習で6カ国、語学留学1カ国、文化交流1カ国となっている。派遣だけでなく、本学で3カ国の農業実習を受け入れ、他に1カ国の教育をサポートし本学学生との交流を推進している。このことにより、学生交流による教育の国際化が推進されている。
問題は海外旅行が一般化した今日、教育的派遣プログラムに関し学生の興味を如何に開発させ、意義を見出させるかにある。前年度の派遣学生による体験報告会、ホームページでの報告書閲覧など興味を持たせるように努力をしている。また、保護者の経費負担軽減にも配慮している。安全面の配慮も不可欠な時代となっている。短期派遣では原則2名の教職員を引率として学生と一緒に派遣している。外務省の海外安全情報を配慮するだけでなく、大学として海外留学生安全対策協議会に加盟し、万一の事故に対処する体制を整え、さらに「海外派遣・受入学生 弔慰見舞金要領」を制定して、事故に備えている。
派遣国の増大は派遣受入担当者の業務増大をも意味している。さらに受入れも増加傾向にあり、業務の簡素化を推進しているが、職員の絶対数の不足は否めない。教職員の間でも国際交流委員以外の教職員の国際交流に対する理解不足も否めない。
今後は、英語教育方法の改善による学生の語学力の向上を進めることが、一層の活発化へ向けた第一歩である。同時に国際的意識の醸成を図る必要がある。語学力はカリキュラムに語学のウェイトの増大と英語による専門教育科目の更なる充実を行う必要がある。また、全学的なコンセンサスの下で世界学生フォーラムと世界学生サミットに1年時からフレッシュマンセミナーを利用して参加させることにより、興味を引き出すように計画すべきである。