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【図書、図書館の整備】
【現状の説明】
本学の図書館は、併設4年制大学である東京農業大学と共用している。
図書資料については、基本的に本学が教授する学問分野である広義の農学関連諸分野の専門図書を中心に収集する一方、入門書的な図書や一般教養的な図書についても受け入れを行っている。学術情報センター予算で購入する図書及び各部局の実験実習費で購入する図書については、原則として学生(大学院生を含む)の利用に供する資料を主体に選定し、教員の研究用図書については、個人研究費で購入することとしている。
学術情報センターで受け入れる図書の選択方法は複数ある。特色ある選書方法の「見計らい選書」は、各学科・課程から選出された委員が書店の持ち込んだ図書の現物に付箋を入れて購入図書を決めており、この「見計らい選書」を中心に選択を行っている。この他、学生・教職員からの「希望図書」を随時受け付け、必要性を判断し余程高額な図書でない限りは購入し、学生・教職員の要望に対応している。なお、都道府県史や大学史関係の資料の収集、江戸期・明治期の農書の収集、などが特徴として挙げられる。
一方、図書は利用者の利用に供するために収集されるものであり、形あるものである以上、利用の過程で紛失や破損などが生じ、利用に供せない状況となり得ることは当然のことである。よって、図書の除籍は急務である。2004年度より図書除籍取扱要領を策定し、除籍処理を順次行っている。
学術雑誌についても、広義の農学関連諸分野の資料を中心に和雑誌・洋雑誌を継続的に収集している。学術領域の拡大と多様化によって、購読が必要な雑誌や閲覧状況が変化している。このため各学科・課程にアンケートを行い、各雑誌(タイトル)の必要度の調査を行うと共に、雑誌(タイトル)ごとの利用状況も勘案した上で、継続取り消し対象雑誌(タイトル)をリストアップし、最終的に運営委員会の承認を得て実施している。契約については、価格交渉のためのコンソーシアムであるJUSTICEへ参加すると共に、3キャンパス一括の契約によって金額を抑制している。
電子ジャーナルは、現在購入契約しているタイトル数は約5,400タイトルである。冊子体購入の副産物として無料でアクセスできる電子ジャーナルは、極力閲覧できるようにホームページ上にリンクを作成している。これらの電子ジャーナルは、OPACへ書誌情報を提供するとともに、専用の検索ツールを用意することで利便性を高めている。
学術雑誌の範疇に入る資料として、二次資料がある。二次資料は、書誌や索引誌などの総称で、一次資料である図書や学術雑誌そのものを探すための資料である。学習研究への用途に加え、教員の業績評価に欠かせない資料である。本学の専門分野に必要な二次資料データベースを導入し、利用促進に向けて講習会を実施している。
視聴覚資料については、オリジナル資料・貴重資料電子化の過程で、長期間の保存に耐えうる媒体として、資料のマイクロ化を実施しているので、その分については今後も増加して行く予定である。
学術情報センター図書館棟は2013年度開館予定の新図書館棟(仮称)への移転準備として2011年10月から、既存の講義棟を改修した仮図書館での運用となる。
仮図書館棟の面積と資料収蔵能力は次のとおりである。
建物名称 |
種別 |
用途区分 |
面積
(u) |
資料収蔵能力(冊) |
仮図書館 |
サービス
スペース |
閲覧スペース
情報端末スペース
その他(会議室等) |
1,140
130
40 |
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管理スペース |
開架書架
*閲覧スペースと共有
事務スペース |
1,140
120 |
140,000 |
合計 |
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1,430 |
140,000 |
※面積及び資料収蔵能力は仮設につき概算
学術情報センター図書館の仮図書館における資料収蔵能力は、約14万冊である。現在57万冊の所蔵のうち仮図書館に収蔵できない図書資料約43万冊は、外部の倉庫に預け利用者の請求に応じて取り寄せて閲覧サービスを行う。
新図書館棟(仮称)は、計画では図書資料の収蔵能力が開架22万冊、自動化書庫40万冊の計62万冊である。サービススペースとして個別学習席は通常エリアと静寂エリアを用意し、グループ学習室を現状より増設し、大学史料室(大学史、本学卒業生論文収蔵、貴重書収蔵)を個別に設ける計画である。
学術情報センター図書館における2011年度の開館時間は次のとおりである。
曜日 |
行事等 |
開館時間 |
平 日 |
授業・試験期間中 |
9:00〜21:00 |
春・夏季休業期間中 |
9:00〜20:00 |
土曜日 |
授業・試験期間中 |
9:00〜17:00 |
2010年度年間開館日数は次のとおりである。
年間開館総日数 |
土曜開館日数 |
休日開館日数 |
281 |
13 |
5 |
情報基盤については、3-4年を周期とする更新を、3キャンパス合同の委員会のもと行っている。
学術情報センター図書館のネットワークシステムの管理・運営業務は、コンピュータセンターが行っており、提供ツールやコンテンツの管理・運営は、同学術情報センターが行っている。管理内容は、学生開放時の待機アルバイトの配置、ネットワーク・パソコントラブル発生時の対応、メンテナンス、更新時の計画策定等がある。
学術情報センターにおける利用環境は、以下のとおりである。
利用者サービスに提供しているパソコンは、デスクトップ55台、ノート型20台である。図書館の提供するコンテンツ以外にも、学内ネットワークで提供される各種サービスを利用することが可能である。デスクトップのうち5台はOPAC専用端末として、各キャンパス蔵書の横断検索システムを提供している。また、『農業センサス』電子媒体を利用するための専用端末を用意している。
図書館内の閲覧室には無線LANが配備され、貸出用ノートパソコンや利用者持込パソコンの利用に対応している。
また、平成22年度の更新においてSSL-VPNサービスが開始され、IP認証で契約したコンテンツを利用者の自宅や外出先からの利用が可能となった。
視聴覚機材の貸出は、デジタルカメラ・ビデオカメラ・プロジェクタ・スクリーンなどであり、視聴覚資料を閲覧するDVDプレーヤー2台を設置している。
【点検・評価】
図書の選択にあたっては、特色のある選書方法を取り入れており、概ね本学の教育・研究に有効活用される図書が選択されている。特に学術情報センター図書館で実施の「見計らい選書」は選書会場の確保が必要であると共に、事前準備・事後処理に多大な労力を要するが、現物を手に取り、内容を確認した上で購入の可否が判断できるという大きなメリットがある。しかしながらこの方法だけに頼ると、書店が見計らい用に選んだ本の中からしか選択できないという危険性もはらんでいる。教育及び研究に密着したオールラウンドな図書の選択・収集に比べ、特徴的なコレクションの構築があまり進んでいないのが現状である。また、蔵書点検で明らかになった不良データの処理が必要となっている。
現在学術雑誌については、冊子体から電子ジャーナルへ移行する過渡期であり、タイトルごとに「冊子体のみのもの」、「冊子体+電子ジャーナルのもの」、「電子ジャーナルのみのもの」と出版形態が異なっているため、選択・収集方針が非常に立てづらい状況となっている。また、仮に冊子体の購入を中止する場合は、製本雑誌がそこで中断することになるため、学内的なコンセンサスの構築も必要となる。
学術雑誌、特に洋雑誌の価格高騰については、海外のいくつかの独占的な出版社に頼らざるを得ない構造的な出版界の状況が存在しており、なかなか個々の大学図書館レベルでは対処しきれない状況にある。
学術情報センター図書館棟は、2013年度開館予定の新図書館棟(仮称)への移転準備として2011年10月から既存の講義棟を改修した仮図書館での運用となっている。そのため、図書館設備の規模、機器・備品の整備状況とその適切性の点検・評価について記述するには至らない。しかし、現在の利用者の要望を踏まえつつ仮図書館での整備については、適宜取り進めていきたい。
閲覧座席数については、仮図書館での運用となっているため、充分な数を確保しているとは言えない。そのため、今後は現有規模の中で適正に整備するよう努めたい。また、開館日・開館日数については、現状の実施体制においておおむね利用者の希望を満たしているが、館内に設置している質問・相談カウンターに農学を修めたレファレンスに専念できる職員を配置し利用者サービスの拡大を目指していることについては、その実施体制の構築が不十分である。
【将来の改善策】
「見計らい選書」のデメリット(書店が見計らい用に選んだ本の中からしか選択できないという危険性)を改善するために、他の選書方法(店頭選書など)を併用して補完したり、あらかじめ図書館側で様々な出版情報を収集したり、書店側に対して見計らいに展示する図書を指示するなど、図書館側主体の選書が行われるための方策を検討している。また教員・図書館員が出向く店頭選書もさらに充実させたい。
選書にあたっては、特徴的なコレクションの構築に向けた「分野またはテーマ」の設定並びにその「分野またはテーマ」に沿った重点的な収集・選択の視点も必要であり、新刊本の収集だけではなく、場合によっては古書店との連携による資料収集の必要性も検討している。
定期的な蔵書点検計画を策定・実施し、長年にわたり所在不明な本や、紛失届の出ている本については、「図書除籍取扱要領」に基づいて、除籍処理を行う。また、利用価値を失った図書についても、同要領に基づいて除籍処理を行っている。
学術雑誌については、今後も冊子体を購入してバックナンバーについても製本保存を継続するものとバックナンバーの保存は中止し、最新の電子ジャーナルでの提供をメインとするものとの区分けについて学内的にコンセンサスを得て実施し、新たな学術雑誌の選択・収集方針策定を計画している。
また現在、学術雑誌は出版形態が冊子体から電子ジャーナルへと移行する過渡期にあり、今後確実に電子ジャーナルが主体になって行く可能性が高いと思われる。この機会をとらえ、電子ジャーナルへのシフトにあたっては、単独で契約を行うのではなく、様々な大学のまとまりによるコンソーシアム(JUSTISなど)へ積極的に参加し、コンソーシアム全体として出版社との価格交渉を行うことで価格高騰に歯止めをかける努力をしている。
2013年度開館予定の新図書館棟(仮称)への移転にむけて、図書館施設の規模、機器・備品の整備状況については、その適切性を今後検討していきたい。また、学生閲覧室の座席数、開館日、開館時間、図書館ネットワークの整備等、図書館利用者に対する利用上の配慮の状況についても、その適切性を今後検討していきたい。

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