(1)教育内容等【学科・専攻科の教育課程】
〔全体〕
【現状の説明】
社会が高度化、情報化、複雑化する中、短期大学生が卒業時に有する資質についても、専門性と教養力のバランス、社会適応力がより求められるようになった。このため本学ではこれらのニーズに対応するため2010年度より新カリキュラムへ移行した。
各学科とも関連分野の知識・技術の習得のために幅広く教科目を配置し、学校教育法や短期大学設置基準を満たしている。リメディアル教育、初年次教育、学科横断的専門教育およびキャリア教育を充実し、学生の学力較差を縮め専門教育科目への移行の円滑化を図る共に、体験学習により専門分野の興味を引き出し修学目標の明確化を図り、学びに対し目的意識を持たせている。4学科ともインターンシップを取り入れ、多様な考え方、多様な年齢の人々との交流を通してキャリアデザインと教科目と関連付けさせている。
各学科とも実学主義に基づいた使命感のある即戦力の技術者養成のための適切なカリキュラムで運営されている。
教養・倫理性の教育は、入学時に行われるオリエンテーションと前期または通年で開講されるフレッシュマンセミナー、フレッシュマンセミナー演習で、本学学生としての意識付けとともに行われている。従来、専門科目の理解度の低下を招く要因となっていた高等学校における生物学や化学等の未履修を補うために、リメディアル科目としての基礎生物、基礎化学および文章表現を開講し、基礎学力に応じてこれらの基礎科目を受講させ、専門科目の理解度をより高めるようにカリキュラムを変更した。
【点検・評価】
学生が、教職員と緊密に接触しながら各分野の知識や技術を学ぶことで、学生の授業、学生生活に対する満足度も高く、教育課程および内容は適切と判断している。
しかし、入学時に80%の学生が4年制大学への編入を希望する状況から、実践的な技術者の養成を教育目的とする短大教育の原点に沿った短大か、編入前教育を目的とする短大かの選択に迫られている。
それぞれの分野で即戦力の技術者養成のための科目は網羅されている。2010年度語学教育の重要性が高まっている中、2010年度新カリキュラムにより英語科目を増加したが、必修は英語(一)のみとなっている。今後は短期大学として、引き続き英語の必修化と総単位数について検討を行う必要がある。
【将来の改善策】
全学改革改善委員会に設置される短期大学部会において、カリキュラムのありかたについても検討を行っていく。
〔生物生産技術学科〕
【現状の説明】
生物生産技術学科は全59科目を開設し、その内総合教育科目として27(46%)科目を開講している。専門教育科目としては、学部専門5科目(8%)、学科専門27科目(46%)を開講している。卒業要件として、総合教育科目4科目、専門教育科目17科目の必修科目および必修選択科目を41単位のほか、選択科目を21単位以上を修得する必要がある。
作物生産・園芸生産・植物資源・動物資源とその関連分野を幅広く網羅した教育を行うための講義・実験・実習・卒業論文を配当している。また、「環境共生型農業論」、「農業技術開発論」、「生物産業マイスターセミナー」や「インターンシップ」なども必修として取り入れ、さらに農業関連の学部共通科目も開講し、広い知識が得られるよう工夫している。
教養基礎科目の充実により、専門科目の開講数が減少したことから、学科独自の科目を履修させるために、選択科目の一部を選択必修とした。
学科専門科目27科目は、専門基礎科目は必修のみで7科目、専門コア科目として17科目、総合化科目が3科目で構成されている。専門コア科目は必修として2科目、選択必修Aとして6科目、選択必修Bとして9科目開講し、選択必修A・Bそれぞれ3科目以上を修得させるとともに、選択科目として教養的科目、専門科目、総合化科目から学習できるよう配慮している。
【点検・評価】
社会ニーズに配慮して幅広い知識を得られるよう科目を配当し、学生の多様な勉学意欲を満たし、教育課程として適切と判断している。しかし、より専門的な技術を学べる科目の開講の要望もみられる。
【将来の改善策】
より専門的な技術を学びたいという要望に対し、卒業生を含む外部講師による「マイスターセミナー」や特別講義等を増やすことで対応する。
〔環境緑地学科〕
【現状の説明】
環境緑地学科は全67科目を開設し、その内総合教育科目として27科目(40%)を開講している。専門教育科目としては、学部専門5科目(8%)、学科専門35科目(52%)を開講している。卒業要件として、総合教育科目4科目、専門教育科目14科目の必修科目から35単位のほか、選択科目を27単位以上修得する必要がある。
少人数での実習・演習の強化、現場やフィールドでの教育研究を重視した研究室活動、1965(昭和40)年以来の伝統あるインターンシップ教育の実施、キャリアデザインを磨く関連資格の支援教育のほか、正規のカリキュラム以外にもガーデンコンテスト、庭園や公園のデザインコンペ、農山村の地域活性化などの社会的活動への参加および卒業研究による課題発見・問題解決能力の習得等の教育・研究を行っている。
1年次には基本的専門実習の必修科目として「緑地環境計画学分野」では環境デザイン実習、C A D 設計・G I S 実習、測量実習、環境緑地管理実習および環境緑地施工実習、「緑地環境保全学分野」ではフィールド観察実習およびフィールド調査実習を設けている。そして1年次と2年次との間の春季休暇中には緑化企業実習(必修科目)があり、学生全員が造園業、樹木・草花生産業、環境調査業、環境NGO等の各企業で活躍している専門家から直接、最新の技術や知識を学ぶ。さらに2年次には選択コースに分かれ、環境緑地専攻演習において緑地計画設計、環境植栽、環境調査の専攻コースごとに、より深く専門技術を習得する。
【点検・評価】
環境緑地学の理念や現代的意味、役割の検討・考察など専門的研究領域の教授とともに、学科関連分野の職種において必要な能力・技能を育成する即戦力となる実学的応用力が身につくよう編成されている。さらに資格取得のための学習や技能習得を含めた専門的なカリキュラムを2年間で修得する指導に力を入れている。以上のように、環境緑地学科の教育目標を達成するため教育課程として適切と判断している。
【将来の改善策】
カリキュラム体系を考えるに当たって、環境緑地学科に関連する専門資格、目標とする就職先を考慮し、より充実した実学専門教育を整えるため検討を進めている。
社会的ニーズをふまえ、カリキュラムでは、学んだ知識をどう生かすのかといったリベラルアーツ教育、課題発見・問題解決能力を高める教育の充実を図り、2年に1度、カリキュラムを見直し、4年に1度、カリキュラムの大幅な改革を目指していく。
〔醸造学科〕
【現状の説明】
醸造学科は全59科目を開設し、その内総合教育科目として27科目(46%)を開講している。専門教育科目としては、学部専門5科目(8%)、学科専門27科目(46%)を開講している。卒業要件としては、総合教育科目4科目、専門教育科目1科目8の必修科目47単位以外に選択科目を15単位以上修得する必要がある。
醸造学科では醸造学分野について体系的に学べるカリキュラムを組んでおり、醸造および食品関連分野で生かすことのできる学力および実技能力を身につけることができる。社会に出たときに即戦力となる技術者養成のため、実験実習および専門科目に重点を置いたカリキュラム編成となっている。
【点検・評価】
専門の醸造関連分野を体系的に学ばせると共に、学生実験を4科目12単位課し、基礎的な実技能力を取得させている。また、醸造特別実習(一)、(二)では工場実習およびインターンシップを行い、官能検査演習では各種酒類や発酵食品の官能検査の実技演習を行い、より実践的な知識を身につけさせている。教育課程として適切と判断している。しかし、併設大学への編入希望者が増加し、基礎学力の涵養や教養科目の充実も求められている。
【将来の改善策】
醸造学科は学生数の約半数が4年制大学への編入学希望者で、卒業後に直ちに社会に出て行くのは約半数である。両者をカバーするためにはさらに必修科目の増加が必要だが、カリキュラムの硬直化を招くので、必修科目の増加は難しい。そこで、両者に対し個別に授業選択の指導で対応していく。
〔栄養学科〕
【現状の説明】
栄養学科は全71科目を開設し、そのうち総合教育科目として27科目(38%)を開講している。専門教育科目としては、学部専門5科目(7%)、学科専門39科目(55%)を開講している。卒業要件は、総合教育科目4科目、専門教育科目10科目の必修科目27単位以外に選択科目を35単位以上修得する必要がある。なお、栄養士資格を取って卒業するほとんどの学生にとっては、学科専門教育科目39科目のうち36科目を履修しなければならない。
栄養士養成施設として必要な授業科目とともに関連の専門科目、および本学の特徴を生かした学部横断的な講義、実習科目を一般教養科目として開講し体系的に教育課程を編成している。
教育目標である「栄養士養成」に必要な講義、実験実習、演習科目を授業科目として開講している。また、「栄養学」全体を科学的にとらえる思考を養成することを目的として「化学」、「有機化学」、「基礎化学実験」に特に力を入れて、全員に履修させることで学力の向上を図っている。
【点検・評価】
栄養士資格を取得して卒業するだけでも最低80単位を取得する必要があり、教養・学部専門科目を履修する余裕が少ない。栄養士必修科目の他に全員に卒業論文を課し、研究室単位でのきめ細かい指導によって、学生の学習意欲の向上を図り、社会人としてのマナーの涵養はもとより心のケアを行い、効果を上げており、教育課程として適切と判断している。
【将来の改善策】
特に無し。

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