東京農業大学

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自己点検・評価

序章

自己点検・評価に当たって

第01章 理念・目的・目標
第02章 教育研究組織
第03章 教育内容方法等
第04章 学生の受け入れ
第05章 教員組織
第06章 研究活動環境
第07章 施設・設備等
第08章 図書館
第09章 社会貢献
第10章 学生生活
第11章 管理運営
第12章 財務
第13章 事務組織
第14章 自己点検・評価
第15章 公開・説明責任

終章

  あとがき

第三者評価結果

・学術資料の記録・保管のための配慮の適切性

【現状】
(1)世田谷キャンパス
 世田谷キャンパスの大学院が利用する学術情報・資料の管理は、世田谷学術情報センター図書館(以下「世学情センター図書館」という)が所轄している。
 学術雑誌については、学会誌及び比較的安価な和雑誌は各研究室で購入しているものもあるが、洋雑誌はほぼ全てのタイトルを世学情センター図書館で購入している。なお、平成14年度より学術雑誌の各巻・各号の受入データを図書館システムに入力し、受入システムを稼動させたことにより、製本前の最新号の配架状況までOPAC(図書館所蔵資料データベース)上で検索が可能となった(所蔵タイトルの9割方まで入力が終了)。しかしながら、厳しい世学情センター図書館の予算状況から、毎年の出版社レベルでの洋雑誌の誌代高騰に予算措置が追いつかず、予算内に収めるため、3年に一度ぐらいのペースでやむなく継続タイトル数を削減せざるを得ない状況が続いており、現在のところ新しい学問分野に応じた新しい学術雑誌の導入は不可能な状況となっている。
 また、文献を探すための二次資料は冊子体からインターネット版のデータベースに移行し、3キャンパスの学術情報センターの予算で契約して、3キャンパスの各研究室等の端末から24時間共通に検索できる環境が整備されている。

 

 現在インターネット上で3キャンパスの共通利用を実現しているデータベースは次のとおりである。
・JDream(JST Document Retrieval System for Academic and Medical fields)
・ERL(Electronic Reference Library)インターネットサービス
 <BA,BA/RRM,FSTA>
・Current Contents Connect
・CAB Abstracts
・SciFinder scholar

 

 次に専門図書については、各学科等の選書委員による年間5回の見計らい選書によって、図書の現物展示の中から必要な図書が選択されると共に、希望図書制度により、利用者が購入希望図書を直接世学情センター図書館に申請できるシステムとなっている。なお、各専攻には部局の図書費が計上されており、世学情センター図書館でデータ入力・装備等を行った上で、担当教員に長期貸出しされるシステムとなっているが、専門的な図書はこれら部局の図書で購入されることが多いので、現実的には大学院生の利用の多くが部局図書でまかなわれていることが予想される。

 

 次に修士論文、博士論文については、原則として各専攻に保管されると共に、世学情センター図書館にも保管されており、特に博士論文については、希望により一般の利用にも供している。なお、これら論文の所蔵データについては、現在図書館システムへの登録を検討中である。
 更に、農学系の大学院として特徴的な資料として、次のいくつかを挙げることができる。
 大学の紀要である『東京農業大学農学集報』は、世学情センター図書館内に編集委員会があり、年4回発行している。創刊第1巻1号から現在の第49巻2号まで全て世学情センター図書館に保管されており、現在電子化公開を検討中である。
 農業経済学専攻が保有する『農村研究』・『農経研究報告』では、『農村研究』は東京農業大学農業経済学会が発行し、『農経研究報告』は農業経済学専攻が発行している。どちらも農業経済学専攻の資料室に保管され、希望者には閲覧を可能としている。
 研究の過程で得られたデータ、微生物株・種子などの学術サンプル等についての保管・管理は各研究室で対応しているが、微生物株については、応用生物科学部菌株保存室に寄託・保存が可能である。

 以上のように大学院で利用する学術情報・資料の大半は、世学情センター図書館に収集されているが、林学専攻には「リファレンスルーム」、造園学専攻には「造園情報センター」がそれぞれ独自の施設として整備され、学科との共用で、大学院に必要な資料の一部を集中的に保管している。
 また、3キャンパスの各教員の研究業績はデータベース化され、本学ホームページ上の「研究テーマ検索」として公開・閲覧可能となっている。

 

(2)オホーツクキャンパス
 本研究科の教員および大学院生が利用する図書・資料等の管理はオホーツク学術情報センター(以下「オ学情センター」という)が所轄している。これら図書・資料の約9割はオ学情センターに所蔵され、残り一割程度が各研究室に収容されている。オ学情センターでは殆どの図書・資料を開架式としており、利用者が直接手にとって自由に閲覧することができる。
  全般的に書架スペースの狭隘が進んでいるが、定期的に利用度等による移動、別置などを図ることで新規資料の配架スペースを確保している。

 

 修士論文及び博士論文については、本研究科に保管されるとともにオ学情センターにも保管され、適切な著作権管理の下、一般利用者も利用できるよう配慮されている。
 オ学情センターでは、これら論文を含む全ての蔵書資料の書誌・所蔵情報をデータベースに登録し、Web版OPAC(Online Public Access Catalog)として公開しており、学内はもとよりインターネット上からの検索を実現している。
 このOPACサービスは24時間ノンストップで運用され、携帯電話(インターネット対応機種)からの利用(Mobile OPACサービス)が可能となっている。

 

 このほか、世学情センター図書館ならびに厚木学術情報センター(以下「厚学情センター」という)の蔵書についても同様に利用できるほか、NACSIS-ILLによる図書館間相互協力を採用することにより、本学以外の大学図書館等に保管されている図書資料の調査及び貸借、複写サービスを利用することが可能となっている。

 

(3)厚木キャンパス
 平成10年度の厚木キャンパス開設に伴い、農学専攻及び畜産学専攻の在籍大学院学生は世田谷キャンパスから平成12年度に厚木キャンパスに完全移転した。これに伴い、学術資料の利用について大きく環境が変化した。厚木キャンパス開設時に設けられた図書館厚木分室(現、厚木学生サービスセンター学術情報センター)は、世田谷キャンパスの本館の補助的役割を担ってスタートした。したがって、厚学情センターの蔵書は平成15年度時点で3万冊余と多くはない。また、学術雑誌は基本的に世学情センター図書館で購読中のものは、厚学情センターでは購読しておらず、全雑誌タイトル数も84(購入和雑誌69、購入洋雑誌15)と少なく、多くは学部学生を対象とした啓蒙的な雑誌が多く、大学院学生が最新情報を雑誌から得るようにするには不足している。これらの書籍、資料等は厚学情センターで記録・管理しており、パソコンにより容易に検索できるシステムが構築されている。また、利用したい書籍、文献のタイトル、範囲が既知であれば厚学情センターを通して世田谷から厚木に配送するサービスが利用できる。しかし、最新刊の雑誌を閲覧して情報を集めようとするには世田谷に出向かなければならない。その不便さの一部を補う方策として、農学専攻の園芸分野については教員が協議し、平成12年度から情報資料室を設けて園芸関係の学術雑誌を中心に最新号を購入、開架して情報提供を図っている。

 

 また、農学専攻・畜産学専攻の修士論文・博士論文については、各専攻にて保管・管理されると共に、同じ農学研究科の論文ということで、世学情センターにも保管されている。
 なお、各教員が発表した学術論文の概要は、本学ホームページ上の自己点検システムに定期的に入力することが義務付けられている。
 一方、標本等実物資料については、研究室ごとに保管しているが、公共性の高い資料については、「農の博物館」に保管されている。

 

【点検・評価 長所と問題点】

(1)世田谷キャンパス
 今年度所蔵調査を行った結果、世学情センターと各専攻・研究室との間及び各専攻・研究室間においては、洋雑誌の重複はほとんどないが、和雑誌及び学会誌ではかなり重複して所蔵している状況があり、限られた予算を少しでも有効活用する上で、重複購入の見直しを行う余地がある。
 受入システムの稼動により、最新号の雑誌の配架状況まで各研究室の端末から確認できるようになったことは、利用者サービス上大きな進歩である。
 世学情センター図書館の厳しい予算状況と洋雑誌の価格高騰により、新しい学問分野に対応した新しい学術雑誌の導入が不可能となっていることは、特にバイオサイエンス専攻、国際バイオビジネス専攻など新設の専攻にとっては、深刻な問題であり、大学院の学生教育にとって大きな障害となっている。
 研究の過程で得られたデータや微生物株等の学術サンプルの保管・管理は各専攻やキャンパス全体で、統一されて管理されているとは言い難く、各研究室で独自に行われている。
 修士論文、博士論文については、OPAC上で検索できる環境を整える方向で検討しており、実現すれば非常に便利になる。

 

(2)オホーツクキャンパス
オ学情センターでは、従来型の図書館サービスと合わせ、インターネットや各種電子情報等を縦横に駆使し得るような学習・教育環境を実現させるとともに、研究面での適切な情報支援サービスの実現を目指している。
平成15年度に実施された全学的な情報関連設備整備事業では、学内LANやインターネット接続環境が大幅に強化されたほか、持込PCが利用可能な無線LANエリアや常設PCを自由に使えるインターネットラウンジが新設されている。現在、オ学情センター所管のエンドユーザー向け常設PCは約270台となり、学内の情報インフラ環境はかなり整備されている。
 こうした情報インフラを活かすべくソフト面の充実にも注力しており、前述のWeb版OPACのほか次項のようなWebサービスも展開されている。


・貸出ベストランキング〜資料種別月単位で館外貸出回数のランキングを参照
・新着資料情報案内 〜資料種別月単位で新たに受入れた資料を参照
・利用登録情報照会 〜各個人の利用者登録情報・自身の利用状況を参照
・学外文献借用申込 〜学外文献の借用申込みを画面上から申込み
・学外文献複写申込 〜学外文献の複写申込みを画面上から申込み

 

 また、全学的なE-Mailアドレス配布を背景に、資料予約や文献依頼等に関する連絡にはE-Mail自動配信システムが導入され、場所や時間に拘束されない迅速かつ適確な通知サービスが提供されている。
 学内LANから利用可能な電子化資料の導入も図られており、種々の電子ジャーナルや雑誌記事文献データベース、新聞記事情報データベース等の利用が可能とされている。このほか、ネットワークとコンピュータを利用して利用者が、いつでもどこでも、必要なことを学べる「オンデマンド型学習システム」としてeラーニングサービスが導入されており、学内LANに接続しWebブラウザが動作する環境があれば、時間と場所に拘束されず、自分のペースで利用できる環境が整えられている。

 

 情報インフラ面の整備は概ね需要を満足するものとなっているが、無線LANについては一部未整備の棟エリアが残され、全域でのサービスは実現されていない。
また、効果的な蔵書の構築と運用を図るために不可欠な除籍・移管制度の整備や保管スペースの確保が大きな課題である。

 

(3)厚木キャンパス
 大学全体としては充分多くの雑誌資料を購読し、充分な蔵書をもち、それらの利用のための記録、保管は世学情センターで適切に行われている。その結果、オンライン上での検索が容易に実施可能なシステムが構築され、情報検索はキャンパス間の距離感を感じることなく利用出来ている点は評価される。しかし、センター機能のある世田谷に比べると、実際の情報利用に関しては厚木のもつ学術資料は脆弱なことは否めない。
 なお本学は、学科に配置された各研究室に大学院の各専修が併設されているため、学術資料の記録・保管の大半は従来より研究室単位で行われている。したがって専攻として各専修が持つ学術資料を明確には把握していない面がある。

 

【将来の改善・改革に向けた方策】
(1)世田谷キャンパス
 世学情センター図書館と各専攻・研究室との間での学術雑誌の重複については、今年度実施した所蔵調査の結果を精査し、少しでも経費節減、資料の有効活用に資するよう、各専攻・研究室で重複購入している和雑誌や学会誌を利用後、世学情センター図書館に寄贈してもらうなどの方策を検討する。また、継続して寄贈してもらえるようなシステムの構築について検討する計画を進めている。

 

 研究室にいながら情報を入手できるシステムの充実についても、学術雑誌の電子ジャーナル化についても、コンソーシアムへの参加などを検討している。
 世学情センター図書館の予算だけでは、学術雑誌特に洋雑誌の継続購入は不可能なところまで来ているので、各専攻の実験実習費や研究費等の一部を一定の基準の下、新規の学術雑誌購入のための補填費用に充てるなど、受益者負担的な考え方の導入も視野に入れて、新たな財源の確保を真剣に検討している。
 研究の過程で得られたデータは、著作権やセキュリティ上の問題点もあるので、基本的には現状どおり各研究室での保管・管理対応のままでよいと思われるが、学術サンプルについては、所有権を明確にした上で、知的財産の分散を防ぐ意味から、一箇所での集中管理を検討している。

 

 博士論文は公開が条件となっているので問題ないが、修士論文の公開については、著作権上の問題等、少なくとも今後提出される修士論文については、公開を条件にする確約を著者との間で取り交わしておくなど、今後の学術情報の公開に向けた具体的な方策を検討している。

 

(2)オホーツクキャンパス
 大学院教育に対する社会的要請は年々高まる傾向にあり、それに伴い入学希望者も増えてきている。入学者の学術情報に対する要望も、より高度・多様化しつつある。これらの状況に応えるためにも、漸次施設・整備の充実を図り社会情勢変化を捉えた情報インフラの継続的な整備を検討している。
 書架スペース確保も急務となっている。残存スペースは約20%であり開架制維持の限界に達しつつある。オ学情センター棟の増床、集密書架導入による収容能力の増強や、資料的価値等による除籍・移管の制度整備、電子化資料への媒体変更などの対策を行っている。

 

(3)厚木キャンパス
 専門的な研究を推進する上で、過去の研究例や最新の学術情報の閲覧は欠くことができない。最近では学生が文献を読む量が少ないと指摘する教員が多いが、学術情報を利用する環境が整っていないこともその一因となっているかもしれない。現在の厚学情センターが所有する機器類では直ぐに環境を改善することは難しいが、主要な雑誌のコンテンツをPDFファイルにしてWeb上で閲覧できるようなことは可能かもしれない。そのようなサービスの実施について検討している。
 また、修士論文、学位論文の保管・管理については、当面現状のままで差し支えないと思われる。

 

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