ラオス 再訪 その
2月14日

ねずみが天井裏で運動会を開催してくれたおかげにより午前3時に起床する。

トイレのドアノブが完全に壊れ、またも閉じ込められる。伴君、ごめんなさい。

朝食後、鉄塔のある山で採集を開始。かなり低い鉄塔で電気の射程距離に注意しながら
採集をする。射程は、
7mと言われる。・・・・・・・手にしているカーボンの長竿は7.2m。

山頂付近まで登るがあまりよくないので、下山してゾウムシを捜す。山頂付近は戦時中の爆撃痕が
残っていた。

ラオスでは、爆撃痕は普通に見ることができる。

まったく、虫が居ないわけではない。

焼畑。端の方はまだ燻ぶっていた。

嬉しそうになぜかベニボシの標本写真を撮る伴君。

もとは、モスグリーンの服はパープルに変色していた((笑))

樹液には、何も来ていなかった。残念。

地元の人も遊びに来る滝の公園。

酒臭い林道と・・・・・。

綺麗なコノハチョウ。

2地点目は、ゲンゴロウの池が近くにあるアベマキ林で採集。山頂を目指すが道がなく断念。
Ban先生が池にゲンゴロウ狙いでTrapをかける。
焼畑で虫を捜すが前回、訪れたときのようにどの材からもカミキリなどの甲虫がたくさん採れるような
状況はなかった。
ほとんど虫が居ない。クモゾウムシもタマムシもいない。

低い鉄塔。長竿をフルに伸ばせば感電してしまう。

Trapを仕掛ける伴君と小島さん。この後、悲劇は起きた。

伴先生が「ベニボシ採りました~」と戻ってくる。なかなか戻ってこなかったわけだ。

先に車へ戻っていた小島さんが道路の向かいにあるアベマキ林で採集をしていたので、真似をして
入ってみると樹液の出ている木を発見する。よく見ると
フタオチョウコノハチョウが集まっている
ではないか!。コノハチョウだけ採集する・・・・・・というかフタオには逃げられました。
シルエットからして
Polyura eudamippus の雌。う~ん、残念。
3番目の採集地は、山の上が岩場になっていた。正直なところ、山頂を目指すのは面倒であった
ため、ふもとで採集することにした。
焼畑でゴミムシダマシやクロツヤムシ、アトバアトキリゴミムシなどを採集する。
気がつくと全身が煤で真っ黒になっていた。

休耕田でチビゾウムシを採集するが吸虫管の蓋を落としてしまい逃げられてしまう。

山頂へ向かった伴先生と小島さんを待っていると箒の材料にする草とヒラタクワガタを持った
親子連れに出会う。どうやら、この近くまで業者が買い付けに来ているらしい。

 この採集記は、筆者の視点から作成しています。ページの大きさは940×1200で作成しています。

明日は、アタプーへ移動するので荷物をまとめる。広げた荷物を整理するのは・・・面倒である。
2月15日

朝、キリギリスが窓(内側)についているのを見て悲鳴を上げそうになる。
若原さんが昨日採集してきたのを三角紙に入れたまま伴の寝床に放置したのをすっかり忘れていたのが
原因。どうやら、食い破って逃げたようだ。

ランドリーサービスに出していた服が返ってくる。自分のシャツがないと思っていたら変色しているだけ
だった。我々の服は汚れがひどかったから頑張ってくれたらしい。
朝食後アタプーへ向かって出発。道すがら採集をする。

まずは、Trap回収のためにアベマキ林による。ゲンゴロウは無し。テナガエビだけだったらしい。
残念。待っている間に樹液を見に行くが何も居なかった。気温が上がっていないと駄目なのかな。

山頂付近は、このような感じ。

麓には水田が広がる。現在は休耕中。

ノボタンに集るチョッキリゾウムシの仲間。

2地点目の川沿いの森では、フタバガキにたくさんの実がついていたので、すくうが何も採れなかった。
他の植物をすくうとShiva属とNanophyes属のチビゾウムシが2種ずつ採れる。

乾季なので水量は少ない。

この植物からチビゾウが採れるが真の寄主ではない。

3地点目は滝がある川原で採集した。一本の木にチビタマムシやハムシ、カマキリモドキ、サシガメなどの
さまざまな昆虫が集中しており、それに混じってチビゾウムシを複数属、採集できた。しかし、研究室に
持ち帰った標本を顕鏡したところ1属につき数頭しか採れておらず、改めてチビゾウ採集の難しさを痛感
する。乾季の川原なので、蝶は多かったようだ。

この樹には、様々な昆虫が集まっていた。

4地点目はアタプーへ到着した後、近くの川原へ出かけた。ハンミョウを追っかけるが3頭しか
採れず。大小2種居たのだが大きい方の種しか採れなかった。ツノゼミやナガカメムシなど半翅類は
多かった。

旅もそろそろ折り返し地点。少々、お疲れ気味。

夜、ソーティングのあと飲む。そして、Ban先生が酔っ払いになる。先に部屋へ戻るというので鍵を
渡すように言うと部屋へ取りに戻って行った。しばらくすると戻ってきたが手ぶら。
見つからなかったという。
仕方がないので、ドアの
を開けておいてくれと頼む。会がお開きになり戻るとドア全開で寝ている
伴先生を発見する。ちなみに、鍵は伴先生の枕元にあった。相当酔っていたのだろうか・・・・・。
2月16日

アタプーから東方へ採集に向かう。最初の採集地はフタバガキの疎林であったちびぞう採れず。
種子はたくさんある・・・・・このフタバガキにはつかないのか、それとも時期が悪いのか。
2地点目は蝶の採集を目的に川原へ行く。昨日、飲みすぎたBan大先生がダウンする。
大量に飲んだLaocaoが原因。酒は飲んでも飲まれるなとはよく言ったものだ。ちなみに私は大丈夫でした
川原には、チャイロフタオやシロチョウなど数多くの蝶飛んでいたので採集を手伝う。どの蝶も吸水に集ま
ってきているのだが身体が温まっている分、動きも早い。高速で飛んでいたチャイロフタオは、捕獲できな
かった。bernardusだからまあいいか。

3地点目では、コノハチョウの珍種を狙う。お酒のTrapが有効とのことなのでLao caoを使用。
林道の草木美佳ちゃんにLaocaoを振り掛けて、しばらく待つと目的の蝶が飛んできた。

いつもは、怪しげなスイングをするMikaさまは逃がしてはいけないと思ったのかスパッとお手本どおりの
網振りで、見事に捕獲に成功。(振り逃がすのを期待して動画を撮影していたのに・・・・残念。)

採集の喜びは全身で表現します。

↑の自分の行為にうけるMika様。

※上に掲載した写真は動画を切り抜いたものなので画質が悪いです。動画を載せて良いか、ご本人様に確認を取っ
たら殺気を放ったので断念しました。

4地点目は、アタプー近郊の休耕田脇にあるフタバガキ林で採集。運良く昆虫の集まっている樹を発見する
ことができ、Meregallia属などフタバガキにつくチビゾウムシを複数属採集できた。
しかし、例によって一属あたりの採集個体数はあがらなかった。
5地点目は水田で調査。時期が悪いのか、あまり種数をあげることはできなかった。(乾季は、水のある場
所でしか耕作できないので休耕田ばかりです。)

ラオスの水田は無農薬水田の多く、天敵と害虫の関係を調べるのに都合が良い。これからの日本の農業を
考える上でも参考となるだろう。

ちなみに調査した水田は、害虫が大量発生すると農薬をまいているとのこと。最近は、農薬が普及しつつ
あるようだ。









つづきは、こちら。



一話目は、こちら。



二話目は、こちら。