東京農業大学

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自己点検・評価

序章

本章

第01章 理念・目的・教育目標
第02章 教育研究組織
第03章
  学科・専攻科の教育内容・方法
第04章 学生の受入れ
第05章 学生生活
第06章 研究活動と研究環境
第07章 社会貢献
第08章 教員組織
第09章 事務組織
第10章 施設・設備等
第11章
  図書館および図書・電子媒体等
第12章 管理運用
第13章 財務
第14章 自己点検・評価
第15章 情報公開・説明責任
第16章 特色ある取り組み

終章

第三者評価結果

第5章

【進路選択支援】

【現状の説明】
 本学は、併設する東京農業大学が歴史的経過の中で、社会情勢に呼応した形で、戦後設立された。それゆえ、東京農業大学と同じく、建学の精神を「人物を畑に還す」におき、4年制大学より短期間で技術を身につけた学生を社会に送り出す機関であった。4年制大学に匹敵する実習、演習、学問内容を標榜し学生の教育にあたってきた経緯がある。それゆえ、当初は全国からの農業後継者の入学が大きな割合を占めていた。また、高度成長期の日本経済においては、短期大学生の求人需要は4年制大学生とは異なり、位置づけも明快で、確固たる地位を築いていた。ところが、その後日本経済は成長が停滞し、円高の進展とともに産業構造が大きく変化し、短大生の社会的価値も変化してきた。特にバブルの崩壊と同時に18歳人口は減少し、4年制大学への進学率の上昇とともに、全国的に短大生の数が大きく減少した。
 そうした状況下で、現在の本学の学生は、入学時8割以上が4年制大学への編入を希望している。言い方を変えると、編入を前提として入学してくる学生が8割以上いるということである。教員は4年制大学に何ら遜色のない学問内容を自負し教育にあたっているが、そこからもっと深化した学びを多くの学生が目指している。
 このような中での進路支援は、本学卒業後、編入等進学か就職かを問わず、本学の特徴ある専門教育を学び、「人物を畑に還す」をその基本方針とし、将来社会のあらゆる分野で活躍、貢献できる人材を社会に送ることを目的としている。
 本学卒業生の進路については、圧倒的に編入学での進路選択が多い。2010年度では、卒業生473名のうち大学、専門学校への進学が216名で約46%を占める。特に併設4年制大学への編入は169名と進学先の約80%を占める。併設4年制大学へ編入した学生は、引き続いてキャリアセンターで学部生としてキャリア支援を受けることになる。
 しかしながら、本学を卒業後就職する学生も一定数いることから、現在の厳しい就職状況のなかで、キャリア支援、就職支援を実施している。また少数であるが農業後継者もおり、就職支援と違った指導も実施している。
 本学のキャリア支援は、特にリーマンショックの景気低迷による就職状況の悪化もあって、従来からの支援策を見直し、次の6つを大きな柱にして実施している。
 〈1〉編入学への支援
 ・圧倒的に併設大学への編入希望が多く、編入試験での面接対策等スキルアップの指導もしているが、編入先で何を学ぶかなど目標を定めることなど進路設定の指導を基本として支援している。
 ・併設大学以外への編入については、進路設定の指導とともに、編入学のある大学の情報、指定推薦枠などの情報を的確に伝える体制を整えている。
 〈2〉就職範囲の拡大としての支援
 (1)業界研究について広範な企業を招聘して実施している。
 ・就職状況が悪化する中、幅広い職業選択ができるよう、招聘する企業の見直し等を行っている。
 ・これまで、食品関連産業でも圧倒的に製造業、小売り販売への就職先が多かったが流通、卸、商社への関心を高めるためそれらの大手企業を招聘した講演を実施した。
 ・技術系の職業だけでなく、一般職、営業職への就職も選択肢として幅を拡げる支援を行っている。一般職、営業職では、幅広い業界の情報を提供している。
 〈3〉就労への意識高揚、就職採用試験のスキルアップのためのキャリア支援の低学年からの段階的支援策の展開
 (1)1年次では、フレッシュマンセミナーでの導入教育、「基礎的人間力」強化のためのキャリアデザイン・ビジネスマナー講座等の開講
 (2)2年次では、各種就職採用試験スキルアップ講座の開講、個別相談、個人面接練習の対応強化、特に個別対策を強化するため4人の企業経験者(参与)による個別指導体制を取っている。
 (3)戦略的採用試験対策講座の実施
 ・公務員対策講座を集中講義で年数回実施している。
 ・農業関連団体への就職のための「農協」特別講座を実施し、合格者増を目指している。
 〈4〉整理した有益な就職情報の提供
 インターネットの発展で、ほとんどの企業がいわゆる「リクナビ」・「マイナビ」・「日経ナビ」等多数の就職情報サイトで、採用情報を流し、募集、エントリーからWeb試験での選抜まで実施している実態がある。しかし、学生にとってはあまりにも大量な未整理情報であり、的確な進路決定には役立っていない。本学では、学内キャリアナビによる情報、独自の企業紹介ソフト、本学の専門教育と関連の深い企業との個別情報の提供など、学生が要求する企業情報、求人情報を的確に提供することに重点を置いている。
 〈5〉全国校友との連携、および保護者との連携
 各都道府県の校友会支部との連携において、各地域の就職情報の提供や学生への指導をいただき、Uターン就職の強化を図る。
 本学は、地方出身の学生の割合が多く、地方出身者の保護者の心配も高い。進路決定については、保護者と学生の充分な意思疎通も必要な時代である。保護者にも就職に関する情報を直接提供することによって、大学のキャリア支援の援護射撃をしていただく取り組みを実施している。
 〈6〉各学科教員との連携によるキャリア支援
 本学は、2年次にも多数の科目の授業があり、就職活動が長期化、早期化している実態の中では、授業と就職活動が重なる事態が相当数ある。実際の就職試験と授業が重なり思うような就職活動ができないといった事例が数多くある。そうした対策は、キャリアセンターと各学科教員との連携が欠かせない。授業優先の中にも学生の側に立った配慮ができるように取り組んでいる。
 以上6つの柱をもとに、世田谷キャンパスキャリアセンターが進路支援にあたっている。
 また、こうした支援策は、毎年、キャリアセンターで計画し、試案として提出したものを全学組織である就職委員会において、協議し決定している。また、就職委員会では各就職委員から出された意見や提案を協議し、新たな施策や計画に盛り込んでいる。 さらに、年度を超えた継続的内容の施策は、年度ごとに評価点検し、新たな年度での計画、試案に反映させている。
 各学科には教員の就職担当者を置き、キャリアセンターと情報共有をはかりながら学生個々の指導にあたっている。
 2010年度から、副学長を委員長とする就職戦略委員会が設置され、厳しい社会状況においても対応できる長期的なキャリア支援のあり方、戦略的計画については、この委員会で決定することとなった。
【点検・評価】
・就職範囲の拡大支援により、食品流通、卸、商社の各企業への採用試験エントリーが大幅に増加し、大手企業を含め就職実績が向上した。
・公務員・農業団体の対策講座の実績として、公務員、農業団体採用者数は2009年度12名から2010年度15名とそれ以前の年度から比べると二けた台に増加してきた。
・教員との連携により、授業と就職試験との競合を配慮することができるようになったことは、教員の就職への関心の高さの向上とともに、就職試験受験機会を増加させ就職率の向上につながった。本学の就職率は2009年度は78.9%であったが2010年度は85.9%にアップした。
・就職を取り巻く厳しい社会情勢の中で、本学の就職率は併設大学より低い。その状況について、より効果的な対策が必要である。
・キャリア支援ガイダンス、セミナーは授業科目ではないため、学生全員に参加の機会が与えられているわけではなく、支援が行きわたらなかったが、2010年度入学者からキャリア支援の一環として、1年次に「キャリアデザイン」、「インターンシップ」および「ビジネスマナー」を授業科目として配置した。2012年3月卒業者の進路状況が確定した段階で、3科目の効果を検証する。
【将来の改善策】
・現在実施している支援内容の評価を行って内容を充実させ、さらに幅広い業界への進出のため、それら業界大手への採用実績を作る。
・公務員対策について、過去の実施内容と効果を検証し、内容のより一層の充実をはかる。
・キャリア支援の講座、ガイダンス、セミナーは基本的に放課後開講している。段階的に実施しており、学生に継続して参加することを促しているが、本学は実験、実習が多く、授業優先のため、学生にとって全講座の継続参加が非常に難しい。学生が参加しやすい開講方法を検討する。

 

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