序章
自己点検・評価に当たって
終章
あとがき
第三者評価結果
〔農学研究科〕 【現状】 研究時間を確保させるには、授業時間との関係が問題となる。本学では教員の研究時間を確保させる方途並びに方策はとられておらず、教員の研究時間は極めて乏しく、このような状況下で研究成果をあげている教員の多くは早朝から夜遅くまで、また土日祝日もなく勤務している。特に若手教員が雑用を引き受けざるを得ないことから、助教授以下の教員は常に雑用に振り回されている。加えて事務職員の協力はあまりなく、むしろ時間割編成業務、授業料督促など本来事務職員の仕事であるべきものまでが教員の仕事として位置づけられている。また、近時、体調を崩す教員も多く、その背景には研究時間確保のための肉体的精神的な疲労の蓄積が考えられる。農学専攻における平均的と思われる授業担当教員(助教授)を例にとると、週に学部の講義2コマ、実験2コマ、演習2コマ、隔年で大学院特論実験1コマを取り扱い、クラブ活動の顧問をつとめ、カレッジ講座を開設し、地域との交流としてイベントなどにも参加している。また、校務として学内委員会や学外委員会の委員にも就任し、少ない時間を学会関係の会務に費やしている。また研究室には学部20数名、大学院数名の学生を抱えて、日常としてこれらの学生に対応している。専任教授では毎月、世田谷キャンパスで開催される合同教授会や大学院農学研究科本委員会・同小委員会などに出席しなければならないし、他の校務もより多く、研究時間の確保はより困難である。また林学専攻では教員の年間での週授業時間数合計の平均は、7.4時間である。最も時間数の多い教員は12時間、最も少ない教員は4時間と一部の教員に差はあるものの、約半数の教員はほぼ平均的な時間である。授業計画の必要上、週12時間の授業担当時間を超えて学部や大学院の授業を担当する場合には、超過勤務手当が支給される。 また、大学の各種委員会、および学生の課外活動等の教育に割かれる時間が年々多くなってきているのも大きな問題である。
【点検・評価 長所と問題点】 上記のような環境の下で研究時間を確保するのは至難と言わざるを得ない。しかしながらほとんどの教員が持続的に教育に専念し、学会の動向を把握しながら研究を続けその公表の努力を怠らないことは、高く評価できる。多くの教員の意識は、教育、研究、事務、雑事を一体とした職務として捉えているようである。しかし、そのため研究、教育への時間投入が目減りし、教育研究成果にも影響がでていることが懸念される。豊かな教育と研究は潤沢な教育研究時間によってもたらされるのであり、思考思索のための時間の確保が問題である。
【将来の改善・改革に向けた方策】 研究と教育の比重及びその他の任務における積極性には大きな個人差がある。基本的には事務仕事、雑務等を教員の手から離し、適切な場所におくこと。それから適切な授業時間数を厳守すること、このことによって当面の対応は可能であると思料される。全体的なバランスを考え、校務などの責務が個人に偏らないような方策を検討している。