東京農業大学

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自己点検・評価

序章

自己点検・評価に当たって

第01章 理念・目的・目標
第02章 教育研究組織
第03章 教育内容方法等
第04章 学生の受け入れ
第05章 教員組織
第06章 研究活動環境
第07章 施設・設備等
第08章 図書館
第09章 社会貢献
第10章 学生生活
第11章 管理運営
第12章 財務
第13章 事務組織
第14章 自己点検・評価
第15章 公開・説明責任

終章

  あとがき

第三者評価結果

Closing chapter

終章
あとがき】

−現時点での点検・評価と今後の取り組み−

これまでの各章において、東京農業大学総体の、あるいは農学部、応用生物科学部、地域環境科学部、国際食料情報学部、生物産業学部といった学部単位で、さらには教職課程や学術情報課程としての切り口で、また大学院の二つの研究科、農学研究科と生物産業学研究科について、順次15の項目について詳細な自己点検・評価を行ってきた。

1.今回の自己点検・評価を省みて東京農大の個性と長所が描き出された

第1は、理念・目的・教育目標のことについての点検・評価であったが、ここでは、本学における教育の狙いが現代的なニーズに適合し、価値あるものに定まっているかの点検・評価作業であった。また、第2の教育研究組織では、狙いとする教育研究を推進する体制の適合性を中心に点検した。第3の教育内容方法は具体的教育効果を問うものであった。ここについては、本学にあっては大学がその全体としての組織力を行使して効果が上がる状況に達していると判断した。また、第4の学生の受け入れ、そして教員組織、さらに中盤においては、研究活動と研究環境について、さらに学生生活については、教育研究の詳細単位である学部や学科での綿密な自己点検の実行こそが、その平常的な改善に最も効果的であると判断した。そして、施設・設備等、図書館他、大学の社会貢献、管理運営、財務、事務組織、情報公開・説明責任については、教学サイドの学部・学科の点検・評価に加え学校法人の自己点検・評価の成果に負うところ大であった。

自己点検・評価実施概念図word29KB)

 

2.改善・改革への取り組み、―その伝統と新規性―

第1章でも述べたように、東京農大はこれまでの114年の中で、たゆまぬ改善と改良を進め、あるときは大きな改革を断行してきた。特に戦後の新制大学以降の東京農大は、ひたすら拡大路線であったが、その拡大は産業界との関連を密にし、いわば「一学科一業界」を背景としていた。その連続が、100周年の農学部改組まで産業界の右肩上がり現象と相対して続き、平成10年にきて短期大学部を含め6学部19学科体制を標榜し、3キャンパスの東京農大の組織改革の断行に至った。

この20世紀末の東京農大組織改革は、「食料・健康・環境・資源エネルギー」という本学の目標に対する達成度評価を常に問うものであった。今回の自己点検・評価は、4年制の学士課程5学部15学科と大学院2研究科14専攻の組織単位に教員個々人の自己点検・評価に始まり、学科組織から学部組織として、専攻から研究科組織として積み上げられたものである。本学が掲げた目標に対し、教育研究組織が有効に機能しているかについて、できる限り客観的なデータを示しながら点検してきた結果、大方において達成されている現状を確認すると共に、幾つかの改善課題を提示することができた。教育については、学部別の個性ある教育方針の確立が課題である。従来、教育は東京農大一律としての方針であったが、今後は、エンジニアリング系の学部においては、積極的にJABEEプログラムとの連携を深めるなど、また、学問の高度化が特に求められる学部にあっては、学士課程と修士や博士課程との連結教育の方針を打ち出すなど、個性ある学部教育の方向を見定めるべきである。続いて、研究については、競争的研究環境を構築する手立てが重要である。現状における教育的研究環境の優位性は、東京農大の大きな個性である。これに加え、産業的研究や先端的研究への取り組みが一層拡大するような起爆性のある施策が待たれる。そして人材養成については、卒業直後の就職時点に始まり、周年期(例えば卒業3年後や5年後)のタスクアナリシス(実社会における仕事の内容分析)を実施することにより、現代実学の内容確認に勤めるべきである。

3.不断の自己点検・評価が東京農大の将来を左右する

なお、今回の東京農大の自己点検・評価において導入された学内予備審査システムは、学科単位、大学院専攻単位でなされた自己点検・評価結果報告書を審査委員が通読する中で、その文書からは十分読み取れない詳細な事項を質問し、これに答えるなかで、記述の不完全さを補うと言う形でなされたものである。

このような自己点検・評価の手続きをとったのは、形式的に終わるのではなく実効性のある自己点検の推進こそが、本学の将来にとって最も重要と判断したためである。東京農大がこれから目指す大学の使命は、世界18カ国の姉妹校との連携等を通じて国際的に知名度のある「世界の東京農業大学」への礎を築くところにあり、そしてこれからの18歳人口激減期において、本学伝統の実学主義をさらに発展させたキャリアパス大学としての地位を確実なものにし、高校生にとって、本学は、キャリア形成が第一目的だとして選ぶ大学と成すためである。

4.自己点検・評価と同時に進む、幾つかの改革

この自己点検・評価作業の進捗と平行して、東京農大ではダイナミックな大学改革が動きつつある。18年度の開設を目標にした、農学部(厚木キャンパス)と生物産業学部(オホーツクキャンパス)における各々新学科増設を含む学部再編・再生の議論である。農学部の自己点検・評価からは、東京農大農学部への社会的使命が、従来の生産農学に加え、生活農学への期待が高まっていることから、バイオセラピー学科を新設しようと言うものである。また、生物産業学部、並びに東京農大総体の自己点検・評価からは、陸の東京農大に対し、海の東京農大への拡張の期待があり、これは、「食料・健康・環境・資源エネルギー」のすべてにおいて可能性を秘めた海への挑戦であり、陸と海との連携による生物産業学の展開の意義を達成する鍵として、アクアバイオ学科を新設し、この展開を機に、生物産業学部を地域貢献型のオホーツク学部に大変革しようと言う提案である。

今回の自己点検・評価によって、東京農大が意識するに至った諸問題や選別された課題を一つずつ着実に解決して行く戦略が何よりも必要である。教育内容の改善は、組織の問題でもあるが、その多くは個人の教員の努力改善に負うものである。教育研究環境の改善は、大学や学部といった組織体の力が結集されないと具体的成果を見ることができない。大学改革には、ガバナンスが必要であると同時に、一人ひとりの自己改革意識の相乗も求めるものである。ややもすると当事者意識に欠ける集団となりやすい大学社会をこれ以上もう必要ないと思うほどまで意識することが、これからも存在し続ける大学にとってもっとも必要な要件であろう。東京農業大学は、将来にわたり、自己点検・評価を継続し続ける大学であることを、ここで確認したい。自己点検・評価からフィードバックされた改革こそが、本当の改革と言えるのだと実感できる日を早く迎えたい。

平成17年3月31日

全学自己点検・評価委員長

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