東京農業大学

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自己点検・評価

序章

自己点検・評価に当たって

第01章 理念・目的・目標
第02章 教育研究組織
第03章 教育内容方法等
第04章 学生の受け入れ
第05章 教員組織
第06章 研究活動環境
第07章 施設・設備等
第08章 図書館
第09章 社会貢献
第10章 学生生活
第11章 管理運営
第12章 財務
第13章 事務組織
第14章 自己点検・評価
第15章 公開・説明責任

終章

  あとがき

第三者評価結果

・東京農業大学の学生募集の方法、入学者選抜方法、殊に複数の入学者選抜方法を採用している場合には、その各々の選抜方法の位置づけ等の適切性

【現状】
 本学の一般入試における志願者総数は、平成15年度18,468人から平成16年度17,126人と7.2%の減少となった。大学界全体をみると、年々減少する18歳人口と不況による大学受験率の伸び悩み、私大離れのダブルパンチで受験生の総枠も年々減少する状況である。本学にとってもこの影響を大きく受けている。また、大学間格差は、同一大学内の学部あるいは学科間の格差にまで波及している。本学でも受験者総数の約40%が応用生物科学部の受験生で、残りを農学部など4学部で分け合っており、特に食料環境経済学科、生物企業情報学科(平成17年度から国際バイオビジネス学科に名称変更)、産業経営学科の社会科学系学科の志願者減少が目立っている。さらに、平成16年度入試を終えて、本学が特に問題視しているのは、実志願者数が短期大学部を含めて1万人を割って9,658人となったことである。

 

 こうした状況の中で、本学が将来に向けて継続的に自ら課した社会的使命を達成していくには、高等教育機関として教育・研究の中身の充実を図り、出口である卒業まで学生を社会が求める規格以上に育て上げて社会に送り出す一貫した教育体制を構築していくこと以外、確固たる方策はない。同時に、入り口としての入学者選抜は、本学が求める出口の学生像を達成できることを前提とした学生の選抜でなくてはならない。

 

 本学における入試制度は、
(1)建学の精神(アドミッション・ポリシー)である「人物を畑に還す」に根ざした教育・研究の延長上での入試制度でなければならない。
(2)かつ、各学部学科のアドミッション・ポリシーにより求める学生像を実現させるための前提としての受験生選抜の入試制度でなければならない。
(3)本学は、めざす教育・研究の目的、目標が、将来においても持続的に発展、進化できる母体でなければならない。その母体を維持、存続できる入試制度でなければならない。
(4)本学の作り上げてきた伝統と実績、将来に渡っての社会貢献、社会への責任が広く社会や人々に理解される入試制度でなければならない。

 

 以上を前提に制度化されてきた。
 本学では、前記の(1)〜(4)を前提に、「学力と人格」基準、「興味と目標」基準、「履歴と自覚」基準の三つの違った入り口による入学者選抜を実施している。
 「学力と人格」基準は、一般入試A日程(地方試験:地方に受験地を置く)とB日程(世田谷キャンパス:本部が受験地)による基礎学力重視で選考し、専門的研究の醍醐味を満喫させる教育を行う方針で受け入れるものである。
 「興味と目標」基準は、一般(公募と指定校)推薦入試、併設高校優先入試、校友会支部長推薦入試、毎日農業記録賞受賞者優先入試、外国人入試などで選考し、本学に抱いた夢を大事に育て確かな目標に向かわせる丁寧な教育を前提に受け入れるグループである。
 「履歴と自覚」基準は、大学入学までの色々なキャリア(運動選手推薦入試、帰国子女入試、技術練習生優先入試、校友子弟自己推薦入試、その他)を自負でき、それを糧に向上する導きの教育を前提に受け入れるグループである。

 

 以上三つのグループによるそれぞれの入学者選抜試験においては、本学が求める学生を、質の水準を維持向上させつつ、継続的に「定員数に見合う充分な志願者数」として確保すること、言い換えると「適切な競争下で選抜ができる入学者選抜の制度」を維持していけるよう最大限の努力を注いでいる。

 

【点検・評価 長所と問題点】
(1)一般入試
(制度の内容)
@)A日程(地方試験)とB日程(世田谷キャンパス)10日間で実施
 学科ごとの試験で、試験日が異なれば複数学科の受験が可能である。併願を考えた総志願者数増を意識した入試制度である。学問領域の重なる学科が多く併願に誘導しやすいことがあげられる。
A)入試科目は3科目で、幅広い科目選択として受験しやすくしている。
B)入試問題はマークシート方式で問題内容も、他大より比較的やさしいレベルで出題されており、平均点の高い選 抜試験で、これも受験生に受験を促す問題の作り方になっている。

(問題点)
@)10日間の実施は、教職員、特に出題者の負担が大きい。また近年問題になっている出題ミスも発生し易く、その防止に多大な労力と費用が必要となっている。また、入試期間が長期にわたるため授業日程等への影響も大きい。
A)試験科目の軽減が入学後の教育に大きな影響を与えている。
B)3科目入試は、首都圏の私大専願の受験生に有利で、国公立型の受験生、特に地方の受験生には不利となっている。

 

(2)推薦入試(公募制推薦入試)
(制度の内容)
@)作文と面接により実施している。学力評定値の基準を設け、各学科の推薦要件を満たす受験生から選抜する。
A)学力ではなく、学科で学ぶことへの本人のモチベーションの高さや将来の明確な姿勢などを総合的に評価して選抜する。

(問題点)
@)一度の作文・面接では、各学科の推薦要件に合致する人物の評価が困難である。
A)各学科の専門性の高い教育研究に対応できる基礎学力が、高校の調査書だけでは充分に計れない。 

 

(3)併設高校優先入試(制度の内容)
@)併設高校から優先的に入学を認める。
A)併設高校の校内選考で選抜した生徒が受験する。大学は作文と面接を課すがおおむね全員が合格する。

(問題点)
@)臨定期間中の定員に対して策定した優先枠を継続しており、全体の定員からの比率が大きい。 
A)優先枠が充足する学科と充足しない学科が顕著である。
B)本入試による入学者が各学科の推薦要件に合致する人物として資質に欠ける者が一部に存在し、本入試の質を問う学科からのきびしい声がある。

 

(4)外国人・帰国子女入試
(制度)
@)外国籍の者、海外在住の帰国子女に門戸を開放する試験である
A)日本語、英語および面接で選抜

(問題点)
@)試験科目に専門科目を課していない。
A)本学は独自の試験で実施しているが、留学生統一試験の利用を求める外国人留学生の要求が多くなっている。専門科目の試験の実施を求める声もある。
B)優秀な外国人の入学を促すには、国内だけの試験の実施でよいのか。直接国外での試験実施を求める声もある。

 

(5)毎日農業記録賞受賞者優先入試
(制度)
@)毎日新聞社が主催する毎日農業記録賞の高校生部門で優秀賞および優良賞を受賞した高校生で本学への入学を希望する者を優先的に選抜する。
A)本人の将来に対する目標がはっきりしており、本学で学ぶモチベーションがきわめて高い学生が確保できる。

(問題点)
@)毎日農業記録賞の優良賞については各県1名選出ということになっている。県によっては、出品が1〜2名でも選んでおり、優良賞としてふさわしくない内容のレベルのものもある。はたして、優良賞の推薦入試も必要かという声もある。
A)今後校友入試の志願増が見込まれるが、合格者枠を設定することも検討しなければならない。

 

(6)校友推薦入試支部長推薦
(制度)
@)本学、百十有余年の歴史と「実学主義」「人物を畑に還す」という建学の精神に従い、本学の教育方針に強く共鳴し、本学の伝統と校風を継承し、広く世界に貢献し、または地域社会のリーダーとして全国各地で活躍が期待できる人材を選抜するためのものである。
A)本学校友により都道府県単位に組織されている校友会支部の支部長(推薦委員会)が将来、地域社会のリーダーとなりうる人物を推薦し、選抜する。

(問題点)
@)各支部長からの推薦であるが、入学後、学生の資質に大きな差が生じている。

 

(7)校友推薦入試校友推薦
(制度)
@)地域または産業社会で実践的に活躍する本学校友の子弟で、本学を敬愛し、本学の建学の精神に則り、将来国際的かつ社会的に貢献が期待できる者を選抜する。

(問題点)
@)志願者が多くなり、他の推薦入試等との定員枠での受入数のバランスを考えなくてはならない。

 

【将来の改善・改革に向けた方策】
(1)センター入学試験の導入
 本学では、まだセンター試験利用入試を実施していない。しかし、前にも述べたように本学の一般入試による入学者選抜の志願者の減少に歯止めをかけるには、もはやセンター試験を利用した入試の導入以外に確固たる方策は見当たらない。本学におけるセンター試験導入は、単に志願者増を目的とするものではない。最近のセンター試験の動向と本学の志願者の動向を分析した結果、本学におけるセンター試験導入の必要性がより鮮明になってきた。

 

 本学の一般入試受験生の傾向の分析からは、次のことが言える。

・国立農学系大学の受験生にとって、本学は、私大で1位、2位の併願先となってきた。


・本学の難易度序列は上昇し、これが次第に社会に認知されてきたことで、受験生の動向が変化してきた。

 

・受験生の出身校が一定ランク以上の高校に絞られてきている。特に、この傾向は、地方の県で顕著であり、県内上位10校以外の高校からの志願者はごく少数なのが現状である。

 

・本学の建学の理念は「人物を畑に還す」である。現在、全入学者の70%が、静岡県を含む首都圏エリアの高校出身者である。全国ネットを自認してきた本学としては、この数字を軽く見過ごすことはできない。地方入試会場を増やすことについては、費用対効果の議論があることは承知であるが、更に地方からの学生を迎え入れる工夫が必要である。なお、残りの30%のほとんどは推薦入試の入学者で占めているので、一般入試に限ればもっと低い割合になる。

 

・地方からの一般入試受験者が少なくなっている理由として、長引く不況が影響しているからだけではない。地方の進学校のほとんどは県立高校であるが、そのすべてが大学入試センター試験を意識したカリキュラム下で教育をしている。来年度からは、国立大学の大半が5教科6科目から5教科7科目へと移行することから、首都圏、地方を問わず進学校のほとんどが、それにあわせた授業編成に移行してきているのが実情である。つまり、国立大学の入試科目増加の動向を、本学も充分考えに入れ、対処すべきである。

・学部、学科により多少の違いはあるが、本学一般入試志願者全体の約60%がセンター試験を受験している。

・平成18年度に新学科増設を予定しているが、それには新規志願者の開拓がどうしても必要である。農学系の中での競争ならまだしも、本学内での受験生の取り合いを回避しなければならない。農学の周辺領域から広く志願者を確保するために、センター入試導入は不可欠である。
 以上によりセンター試験の導入を準備している。

 

(2)AO入試導入の検討
 本学の入試制度は、前述した三つの基準を前提に制度化されている。その中で「興味と目標」基準での一般推薦入試や各優先入試等については、これも前述した各入試の問題点で指摘している。AO入試の導入については、それら問題点とした内容を改善する方策として検討している。つまり、一般推薦入試や各優先入試はその目的において、本学のアドミッション・ポリシーを取り入れたきわめて合理的な入学者選抜であるが、実際の選抜方法においてきわめて問題がある。本学は農学系というきわめて特徴的で、かつ高度の専門性を要求した教育、研究がモットーである。基礎学力はやはり重視しなければならない。また本学で学ぶモチベーションの高さも、一度の作文と15分程度の面接では充分な審査ができているかが問われてきた。以上の解決の手段の一つの方策として、AO入試の導入を検討している。

 

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