・留年者に対する教育上の配慮措置の適切性
〔国際食料情報学部〕
【現状】
留年生が出ないように進級判定(節制度)を設けているが、国際農業開発学科のように休学して長期の海外実習のために留年する学生に対しては、帰国し復学後に学科内で「帰国者報告会」を開催し、学生および教員を対象に休学中の現地での活動報告を行う場を学科が提供している。学科自体が実践的な場に出ることを奨励し、体験を積んだ学生による報告会は、下級学年への教育的効果が大きい。
一方、学生の取得単位数による進級判定制度により、所定の単位数を取得していない場合は、上級学年へ進級できないことになっている。このため毎年、各学年数名の原級者が出ることになる。原級・留年生の多くは健康上の理由や経済的な理由から単位不足となり原級・留年する。通常の場合は、本人、場合によっては保護者を含めて原級・留年した原因を明らかにし、それを学生本人が自覚し、卒業時期(9月または3月)に関する相談を含めた単位修得に関する教育的指導は、所属研究室、担任、ゼミナールの担当教員が日常的に学生指導を行っている。原級・留年生に対する組織上の対応は、学科会議で報告、検討した上で、ケースバイケースで指導方針を定めている。また、年度始めには学習支援課が原級・留年生に対してガイダンスを行い、履修に関する指導を行っている。
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【点検・評価 長所と問題点】
原級・留年した学生については、同一の担任教員、研究室あるいはゼミに所属するため、教員が随時、当該学生の学習態度や学習意欲を確認、把握できるような仕組みになっている。そのため、一貫した指導が可能であると共に、教員と学生との信頼関係も築きやすいといえる。こうした仕組みがうまく機能する場合、早い段階で不足した単位を取得し、可能な限り順調に進級し、卒業することが可能となることを想定している。しかし、原級・留年した学生の場合、次第に欠席が目立つようになるケースも少なくない。そのような場合、講義や演習の内容についていけなくなり、また教員との関係もスムーズに築かれず、他の学生たちとの関係も気まずいものとなってしまう。
専門科目は年次配当になっているため、例えば3年次で原級した場合、在籍4年目であっても3年次の科目を履修することにより、時間重複の問題はない。
ただし再履修する科目がある場合、前年度の配当科目と当該年度の配当科目の開講時間が重複することがあり得る。ゼミナールに関しては他ゼミナールへの移籍で対応するが、講義科目ではその対処ができないため、次年度の履修にまわることがある。
国際農業開発学科では海外実習のために休学した学生は、従来、休学費として授業料の半額分の納入が義務付けられており、海外実習先での滞在費の工面など、学生および保護者の負担は大きくならざるを得なかったが、海外実習を人材教育の一環として単位化しているため、学科の強い要請により、平成16年度からは海外実習中の納入金は授業料の1割に低減されることとなり、休学中の経済的負担が減じた。
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【将来の改善・改革に向けた方策】
学生が単位の履修においてつまずくのは、学科のカリキュラムの全体像をよく理解できておらず、とくに必修科目や選択必修科目を落としてしまうことによっておこることが多い。こうした科目では講義や演習を欠席しないことが第一条件である。このことをしっかり認識していれば、ほとんどの学生が順調に進級できる。したがって、出席日数が不足している学生に対して、早い段階でしかるべき適切な対応を行うことが必要である。
また、本学では成績表を保護者へ直接送付することを決定したが、成績配布や教育後援会(保護者会)など、クラスないしゼミナールの単位で、保護者との連絡、情報交換の機会をさらに模索することも検討している。
また、授業内容についていけない学生や、興味・関心を持てない学生がいることも事実であるから、それらの学生を見分け、かれらに適切に対応することも必要になる。例えば、正規履修科目の英語はすべて能力別クラス制を採用していることから、再履修クラスの開講を中止し、4月の授業開始前に行う新入生向けレベル分け試験を原級・留年生も受験させ、能力にあったクラスでの履修を行うことにした。それにより、能力のある学生は自分のレベルにあったクラスでの受講となり、苦手な学生もレベルにあったクラスでの受講が可能となるため、授業レベルに関する学生からの不満は少なくなるものと考えられる。
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