・ 国際レベルでの教育研究交流を緊密化させるための措置の適切性
国際レベルでの教育研究交流を緊密化させるために、本学では海外高等教育機関との協定に基づく交流プログラムや外国人留学生支援を中心とした学生交流と国際共同研究を中心とした研究交流を行っている。その内容を詳述する。 (1)学生交流 近年の国際化・ボーダレス化に対応し、本学では様々な交流プログラムを運営しているが、海外での経験は異文化理解が深まる、日本の国際化を推進する、国際社会の発展に貢献できる人材を養成するなど大変意義深いことである。また、外国人留学生との交流はわが国と諸外国との相互理解、友好親善に寄与するとともに、相互の教育・研究水準を高め、開発途上国においては将来を担う人材の養成に協力することになる。さらに帰国留学生はわが国とそれぞれの母国との友好関係の発展、強化のための重要な架け橋となっている。 本学は「次世代農業者教育のグローバルネットワーク」で文部科学省の平成15年度特色ある大学教育支援プログラム(GP)に採用された。この取組みは本学の建学時の理念「人物を畑に還す」を「人物を世界に還す」というモットーに変え、食・農・環境に関する実践的オピニオンリーダーの育成をするものである。ひとつのプログラムではなく、学内外の科目教育と特別プログラムの課外教育を連携して実施していくものであり、国際交流プログラムはこのGPプログラムの中心的役割を果たすものとして、海外実習、姉妹校交流、世界学生フォーラム及び世界学生サミットを中心に実施している。本学の海外にある姉妹校は次の18カ国(地域を含む)で学生交流・研究交流を活発に行っている。 |
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【点検・評価 長所と問題点】 1・派遣プログラム @)海外短期農業実習 このプログラムは、中国・中国農業大学、タイ国・カサセート大学、台湾・国立中興大学及びメキシコ国チャピンゴ自治大学との間で実施している。 この派遣のプログラムの目的は、夏休み中の約1ヵ月間、自国と異なる環境下で営まれている農業を体験し、相手国の社会や文化を理解することにより、視野の広い国際感覚豊かな人物を育成することにある。また、学生にとって海外での体験は大きな刺激となり、帰国後の学生生活に新たな目的意識が芽生えてくる。本学から派遣する学生とタイ国、中国、台湾、メキシコの学生との交流もそれぞれの国で活発に行われ、実習終了後も親密な交流が続いている。なお、交流記録をまとめた報告書を毎年刊行している。 A)短期語学留学 a)サマープログラム このプログラムは、ブリティッシュコロンビア大学に夏休みの1ヵ月間派遣するもので、ホームステイを通じて、語学研修とカナダ農業の実態を把握させ、国際社会に対応する人材の養成を図ることを目的に行っている。ブリティッシュコロンビア大学は、カナダでも名門でブリティッシュコロンビア州内では最も歴史のある総合大学であり、3万人以上の学生が学んでいる。留学内容は、3週間のUBCの英語研究所における英語研修と一般家庭でのホームステイ、UBCの農学部学生と合同による農業関連施設視察研修旅行から成る。この他、バンクーバー市内のフィ−ルドトリップ等を取り入れ、カナダを様々な視点から理解することができる。派遣は、学部2・3・4年次生を対象とし、学生15名以内。 b)スプリングプログラム このプログラムはブリティッシュコロンビア大学に2月から3月の約2ヵ月間、語学研修を主目的に派遣するもので、ホームステイを通じて国際社会に対応する人材の養成を図っている。本学からの派遣は、全ての学年を対象とし、学生45名以内。 B)フランス研修プログラム 姉妹校の一つであるボーべ農業グランゼコールに夏休中2週間20名派遣するもので、フランスの歴史・文化・生活について体験するプログラムである。平成16年度から新たに開始した。 C)長期派遣留学 このプログラムは、本学成績優秀者に対し、奨学金として往復の航空運賃相当額と留学期間の本学授業料を免除し、姉妹校に1年間又は8ヵ月間の留学の機会を与えるものである。 本学からの派遣学生は姉妹大学において特別学生として籍を置き、正規の授業を受講し、単位を取得することができる。姉妹大学で取得した単位は所定の手続きにより学部30単位、大学院10単位を上限に卒業要件の単位として認定される。募集人数は各姉妹校1ないし2名、但し、ミシガン州立大学は毎年学部4名(世田谷キャンパス3名・オホーツクキャンパス1名)の留学生を派遣している。 特に、ブリティッシュコロンビア大学とは長期学生交換留学に関する別協定を平成16年2月に締結したため、平成17年8月から本学学生の派遣を交換留学で実施することになった。この派遣学生は長期学生派遣留学の条件に加えて、ブリティッシュコロンビア大学での授業料が免除される。 D)アメリカ農業実習 このプログラムは、米国法人(IFAA)を現地引受機関とし、本学からの派遣学生を米国内の農場に配属して技術的訓練を行い、各種農業を経験させるものである。その後1カ月の集中英語研修を受けた後、最後にはカナダへの研修旅行も行っている。また、相互の国の文化と生活様式を深く認識させ、両国間の友好親善関係を促進させることも目的としている。募集対象は学部3・4年次生で派遣期間は毎年3月下旬から翌4月上旬までの予定となっている。
本学では学生交流で姉妹校から短期と長期の学生を受け入れている。 @)短期農業実習受入 毎年本学では姉妹校の学生を短期農業実習生として受入れている。中興大学(7月中旬2週間)から学生20名、中国農業大学(8月中旬〜9月中旬)から学生15名、カセサ−ト大学(10月上旬〜11月上旬)から学生15名が約1ヶ月間にわたって本学に滞在し、厚木農場及び富士畜産農場での農業実習、研究室研修、学外施設・設備の見学、日本の家庭を体験するホームステイなどを行っている。本学学生と姉妹校学生との交流は実習終了後も続いている。 A)ミシガン州立大学研修グループ受入 隔年でミシガン州立大学の食品法コース(研修期間1週間、受入学生数約25名)、包装学部(2週間、約20名)研修グループを受入れている。世田谷キャンパスでの講義、富士畜産農場や厚木キャンパスを訪問する。いずれのグループも本学学生との交流の場が数多くあり、本学学生にとっても国際交流実践の良い機会となっている。 B)海外長期留学生受入 本学では姉妹校から6ヵ月から1年間程度の長期外国人留学生を受入れるため、平成15年に東京農業大学海外長期留学生受入規程を制定した。平成16年度には長期留学生の受入れはなかったが、平成17年4月からカナダ・ブリティッシュコロンビア大学、モンゴル・モンゴル国立農業大学、メキシコ・チャピンゴ自治大学から6ヵ月から1年間にわたって本学へ学制を派遣したいとの申請がきている。 なお、ブリティッシュコロンビア大学とは平成16年2月に長期学生交換留学に関する独自の協定を締結した。この協定によって、向こう5年間にわたって原則同数の学生を6ヵ月から1年間にわたって相互に派遣・受入れることになり、本学は平成17年4月から受入れを開始し、平成17年8月から本学学生の派遣を実施することにしている。派遣については長期学生派遣留学の条件に加えて、ブリティッシュコロンビア大学での授業料が免除されるなど派遣留学生にとっては有利な内容となる。 3.世界学生サミットと世界学生フォーラム 世界学生サミットは、海外姉妹校学生、外国人留学生及び日本人学生が一堂に会して、世界の食料・農業・環境問題について考え、人類の持続的発展と青年自らの役割について発表し、討論する国際会議である。第1回世界学生サミット(平成13年11月)では、食と農と環境に関する諸問題と対策および学生たちの役割について白熱した議論を展開し、成果を「東京宣言」として公表した。この「東京宣言」の具現化の為、第2回サミット(平成14年11月)では、各国・各地域の食と農と環境に関する世界的問題を検証、問題への対応策を発表し、「東京宣言」を踏まえた行動計画を作成した。そして、食・農・環境問題の改善に貢献する学生達のネットワークとして世界学生フォーラム(ISF:International Student Forum)を組織化した。第3回サミット(平成15年11月)は「安全食料の安定供給システムの推進」を共通テーマに、17カ国・地域の代表が環境保全と農業の持続性に配慮した各国の行動計画の作成推進に合意した。第4回は「農業システムの理解深化による地球的持続性の推進」を共通テーマに平成16年11月25日、26日に世田谷キャンパスで開催した。厚木キャンパス、オホーツクキャンパスでもマルチメディアで会議内容を放映している。 世界学生フォーラムは、各国の食・農・環境に強い関心を持つ学生たちのネットワークで、人類共通の課題の解決に向けて、学生間の情報交換・共同討議などを推進する国際組織である。活動は主にホームページ上で行われ、参加国の学生代表が世界学生サミットに集まって活動結果を発表する。本学在学生で食・農・環境に関心があれば、誰でも委員になり活動することができる。 世界学生サミットと世界学生フォーラムは、本学が平成14年に認証取得したISO14001(ISOは国際標準化機構の略)の取組みに必要な方針の一つである「海外の姉妹校などを拠点として、国際的な環境及び農業関連研究、教育ネットワークを構築する」ことを具体的に推進するプログラムであるとともにGPでの評価も高いものとなっている。 (2)外国人留学生支援 本学全体の外国人留学生は23カ国・地域、約300名である。この留学生たちを支援するために、世田谷キャンパス(厚木キャンパスの学生も世田谷でカバーする)で以下のような業務を行っている。オホーツクキャンパスでは外国人留学生が現在1名のため、学生サービス課で個別に対応している。 ■留学生ガイダンス 入学式当日に開催し、日本における日常生活や農大における学生生活、各種奨学金の案内および学内の諸施設を巡るキャンパスツアーを実施している。 ■外国人留学生懇談会 今年入学した新入留学生の紹介を兼ね、また留学生相互の交流及び教職員並びに日本人学生との交流を図っている。毎年、300名以上の参加者を数え、各国のお国自慢料理や歌も披露され、大変友好的な中で交流を深めている。 ■外国人留学生見学旅行 日本の文化、歴史、農業などを理解し、自国の農業発展の一助になるよう企画している。また、留学生相互の交流の場ともなっている。 ■卒業する外国人留学生を祝う会 当該年度に卒業する外国人留学生を対象に懇親会を開催している。 ■外国人留学生からの各種相談・手続 外国人登録、在留資格・在留期間等の手続きやアパート借用時の身元保証人の問題、各種奨学金の応募、医療費関係の手続きなど、日本に滞在するために生じてくる諸問題について相談を受け、対応している。 ■外国人研究生の受入 本学において、一定期間特定分野を研究しようとする外国人を厳正な審査の上、研究生として受け入れている。 ■奨学金制度 本学は経済的に困窮し成績が優秀な留学生に対して外国人留学生奨学生規程に基づいて、月学45,000円の奨学金を支給している。平成16年10月1日現在の受給者数は153名である。 ■生物企業情報学科特別留学生 平成10年度に新設した国際食料情報学部生物企業情報学科は120名の定員中40名を留学生枠に当てている。毎年20名を生物企業情報学科特別留学生規程に基づいて入学させ、一切の学費を免除し、学生寮を無償で提供し、ささらに月学45,000円の奨学金を支給している。特別留学生は発展途上国に位置する本学の姉妹校の学長および海外校友会支部の支部長の推薦をもって入学させ、「人物を世界に還す」のモットーで国際的教育を実施している。平成16年10月1日現在の特別留学生数は70名である。 (3)研究交流 本学は平成16年4月に、姉妹校(学術交流協定締結校)交流の中の研究者交流、国内外の諸機関からの派遣要請、受入要請、世界銀行・アジア開発銀行、国際協力機構(JICA)、国際協力銀行(JBIC)などが行う開発途上国向けの国際協力開発プロジェクトへの参加などを通じて積極的な国際協力事業を展開することを目的として、総合研究所に国際協力部をおいた。現在行っている主な研究交流を以下に説明する。 ■研究者の派遣・受入 国際協力機構(JICA)、農林水産省、海外農業開発協会などの依頼により、毎年本学研究者の派遣や諸外国からの研究者の受入を行い、学術交流を積極的に進め、各国農業の発展に寄与している。毎年20〜30名近い研究者を派遣し、10組前後の研究者・グループを受入、指導している。このほかに帰国した留学生が研究者となり、本学で再度研究する場合や日本学術振興会の研究者交流事業による研究者交流を実施している。 ■国際機関・組織との連携 本学は次の国際団体にいち早く参加し、国際的な農学ネットーク作りを推進している。 GCHERA:農学分野の高等教育研究に寄与する世界的規模の団体。132カ国260大学が加盟。 SEARCA:東南アジアにおける持続的農業を推進する指導的団体であり、農業分野における大学院教育のための地域センター。東南アジア諸国の著名な農学系大学が加盟。 AAACU:アジア農学系大学15カ国49大学が協力し、メンバー間の交流事業も推進する団体。 ISSAAS:東南アジア国際農学会。昭和53年から約20年間にわたって日本学術振興会東南アジア諸国との学術交流事業の拠点大学(農学分野)として機能した実績を踏まえて、平成6年に設立した国際学会。本学は本部事務局を担当し、東南アジア地域での農学研究・農業開発の推進に貢献している。 ■論博事業 日本学術振興会が行う論文博士号取得希望者への支援事業(論博事業)は、発展途上国における学位取得を希望する若い優れた研究者に対し、学位取得のための研究指導を行い、発展途上国研究者の拡充と学術水準の向上に寄与しているもので、本学はこの制度発足当初から協力している。 ■姉妹校からの受入 毎年、入学式・卒業式に姉妹校の学長を来賓として招き、祝辞をお願いしている。平成15年度卒業式はマレーシアプトラ大学の学長、平成16年度入学式はウクライナ国立農業大学の学長が出席された。この他に姉妹校の教職員が毎年来日し、交流を深めている。 ■国際開発協力 平成16年7月に国際協力銀行の新設事業「提案型調査」にインドネシアの「コメリン灌漑地域における農業生産力と所得の向上に向けた基礎調査」プロポーザルを提出した。残念ながら、今回は不採択であったが、今後もこのようなプロジェクト案件への積極的な対応を進めて行く。 |
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【点検・評価 長所と問題点】 (1)学生交流 本学の学生交流は姉妹校との短期学生交流派遣が中心となっているが、派遣国数は農業実習で6カ国、語学留学1カ国、文化交流1カ国となっている。派遣だけでなく、本学で3カ国の農業実習を受け入れ、他に1カ国の教育をサポートし本学学生との交流を推進している。このことにより、学生交流による教育の国際化が推進されている。 長期派遣留学、アメリカ農業実習で1年程度学生を海外に派遣している。海外留学で本学学生は先進国だけでなく、開発途上国も選択し留学するケースが多い。また、国際食料情報学部国際農業開発学科が開講する海外実習科目では、他学科聴講で国際農業開発学科以外の学生にも単位を認定している。 これらのプログラムによって、通常の観光では体験できないことを体験できる。これにより、異文化理解が深まり、日本の国際化を推進し、国際社会の発展に貢献できる人材を養成できるプログラムとなっている。 問題は海外旅行が一般化した今日、教育的派遣プログラムに関し学生の興味を如何に開発させ、意義を見出させるかにある。前年度の派遣学生による体験報告会、ホームページでの報告書閲覧など興味を持たせるように努力をしている。また、保護者の経費負担軽減にも配慮している。 安全面の配慮も不可欠な時代となっている。短期派遣では原則2名の教職員を引率として学生と一緒に派遣している。外務省の海外安全情報を配慮するだけでなく、大学として海外留学生安全対策協議会に加盟し、万一の事故に対処する体制を整え、さらに「海外派遣・受入学生 弔慰見舞金要領」を制定して、事故に備えている。 派遣国の増大は派遣受入担当者の業務増大をも意味している。さらに受入れも増加傾向にあり、業務の簡素化を推進しているが、職員の絶対数の不足は否めない。教職員の間でも国際交流委員以外の教職員の国際交流に対する理解不足も否めない。 (2)外国人留学生の支援 これは先進国である日本国の義務であると同時に、本学にとっては外国人留学生と日本人学生との交流を推進する機会になっている。本学の外国人留学生は存在意義が大きいので、できる限りの支援を実施している。これはわが国と諸外国との相互理解、友好親善に寄与するとともに、相互の教育・研究水準を高め、開発途上国においては将来を担う人材の養成に協力することになる。さらに帰国留学生はわが国とそれぞれの母国との友好関係の発展、強化のための重要な架け橋である。しかし、留学生帰国後のサポートが不充分である。校友会海外支部は現在10カ国・地域にあるが、一層の組織化が望まれる。 (3)研究交流 研究交流の主体は教員と大学院生である。姉妹校とのプロジェクト研究に教職員の他に大学院生が協力している。本学の研究機関との連携状況を鑑みるにほとんどの地域をカバーしていることがわかるが、学生交流に比較して研究交流は一部の姉妹校に限定されており、全体としてはやや停滞気味である。本学教職員の留学機会は確保され、規程の整備は終了しているが、今後は教職員が留学しやすい学内環境(たとえば留学中の講義、実験、論文指導の代行制度など)を整備するとともに留学前の語学力の改善を図る必要がある。 国際組織・団体との連携は随時推進してきたが、未だ全学的規模の支持・協力を得ているとは言い難い。教職員は国内学会・協会などの社会的活動で手一杯のところがあり、国際組織・団体で活動する余裕がない。また語学力による制限も大きい。国際開発協力活動(文科省)への参加は登録済みであるが、具体的な協力活動は今後の課題である。 |
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【将来の改善・改革に向けた方策】 英語教育方法の改善による学生の語学力の向上を進めることが、一層の活発化へ向けた第一歩である。同時に国際的意識の醸成を図る必要がある。語学力はカリキュラムに語学のウエイトの増大と英語による専門教育科目の更なる充実を行う必要がある。また、全学的なコンセンサスの下で世界学生フォーラムと世界学生サミットに1年時から「フレッシュマンセミナー」を利用して参加させることにより、興味を引き出すように計画すべきである。 (2)外国人留学生支援 外国人留学生は優秀な者の確保が最優先であるので、入試制度の見直しと同時に経済的なサポート体制が取れるように、留学生会館・寮の建設または充実を計画する必要がある。現在外国人留学生も日本人のように精神的なダメージを受けるので、専用のカウンセラーをおく必要がある。また、大学院にあっては国費外国人留学生の確保のための受入体制を整備する必要がある。なお、卒業後のサポートのために海外OBのネットワーク化(日本人・留学生を含む)を計画すべきである。インターネットを利用して海外から東京農業大学の情報が入手できれば帰属意識が高まり、ネットワーク化が容易であると思われる。また、英文ホームページの改善が早急に必要である。 (3)研究交流 姉妹校の増加は一段落したが、ヨーロッパ地域での充実(ドイツ、イギリス)、アフリカ・大洋州の新規策定が必要である。国際交流を推進する教職員の大幅な増加を考える必要がある。 依命留学制度・特別研究期間制度の見直しを平成15年度行ったが、今後も教職員が利用しやすいように検討が必要である。また、その際に、教職員と本学の国際貢献を高度化するため、国際機関、開発協力プロジェクトなどへの特別出向制度の新設を提案したが、時期尚早とのことでペンディングになっている。若手教員の育成、ベテラン教員の再生と多くの課題があるが、本学の国際交流推進役の多くは教職員が担っている。国際研究のためにも教員に研究時間を自由に使用できるように策定する必要があると同時に、依命留学においては姉妹校への留学を最優先させ国際共同研究への発展を図ることが肝要である。 国際組織・団体での活動は本学のみならず日本の国際貢献を高める重要な手段となるべきもので、学内の支援基盤を強化する必要がある。国際活動をより積極的に推進するためには留学経験のある教職員の一層の意識改革とネットワーク化が不可欠である。さらに、語学力のある事務員を発掘し適材適所で配置する必要があるだけでなく、事務職員は留学フェア、短期農業実習・語学研修の引率補助などの機会を利用して海外研修の機会を増大させることが重要である。さらに、ISSAAS本部機能を一部教職員に任せるのではなく、本学の国際戦略の一部に位置付けて、より積極的な東南アジア農学研究への協力を推進する必要がある。援助的発想ではなく共同研究あるいは開発協力の一部と見なすことが重要である。総合研究所に設置した国際協力部に専門スタッフを配置し、国際協力諸事業の事務局機能を強化することが緊急の課題である。 |