【点検・評価 長所と問題点】
本研究科博士前期課程への進学者数は毎年度ほぼ安定しており、高度な専門的知識と広い視野を持った研究者、技術者などとして社会のニーズに応えうるに足る十分な人材を育成出来る状況にある。したがって、学生の能力と資質に適合し偏りがないように研究指導を行うための方策を立てる必要がある。現在研究科・各専攻のスタッフは、総力を挙げて学生の指導に当たっている。
博士前期課程修了者の現在までの就職状況は、わが国の厳しい経済状況下にあっても概ね良好であり、さまざまな分野において活躍している。主として出身分野に関係する職種に就く傾向が見られ、このような状況は特徴的であるといえる。その他の職種からの要請に即応する進路指導も望まれる。
これに対して、博士後期課程への進学者数もほぼ一定しており、学位取得者の総数は毎年度20名内外で、これに加えて専攻に論文を提出した学位取得者の総数も毎年20名程度おり、全専攻に後期課程の増設が完了した事を受け課程博士、論文博士とも今後さらに増加することが予想される。
現在のわが国における経済状況はきわめて厳しいものであるにもかかわらず、なお博士前期課程学生の就職状況は他の分野のそれに比較して恵まれている方であるが、増加する学生の就職支援活動のためキャリアセンター職員を含めた委員会を早急に設置する予定である。
本研究科における外国人留学生の対応は、本学が農学系拠点大学であったころと同様に広く門戸を開き受け入れている。前期課程には56名、後期課程には20名が在籍し、入学した外国人留学生は積極的に勉学・研究活動を進めていることは評価できる。特に優秀な留学生の場合には、日本人大学院学生のみならず、研究室に所属する学部学生にも良い刺激を与えており、後期課程修了後(博士の学位取得後)助手として勤務している者もいる。
本研究科は、その沿革から推察されるように設置以来十分な歴史と実績が未だ積み上げられていない専攻もあり、博士後期課程における人材の育成に関しても目標の達成にはまだ時間を要することは事実である。今日のように激動する世界情勢の中で、社会に貢献できる人材の育成を目指し将来を見据えた適切な教育研究の指導方針を検討・策定することは容易なことではない。本研究科としては、現有の人的資源でこの課題に的確に対処するための対策が必要である。現在ではさまざまな新しい形態の企業が誕生しており、これらの職種からの要請に即応する進路指導を行うための最新の情報を収集する体制を整備する必要がある。
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