東京農業大学

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自己点検・評価

序章

自己点検・評価に当たって

第01章 理念・目的・目標
第02章 教育研究組織
第03章 教育内容方法等
第04章 学生の受け入れ
第05章 教員組織
第06章 研究活動環境
第07章 施設・設備等
第08章 図書館
第09章 社会貢献
第10章 学生生活
第11章 管理運営
第12章 財務
第13章 事務組織
第14章 自己点検・評価
第15章 公開・説明責任

終章

  あとがき

第三者評価結果

・国際食料情報学部の理念・目的・教育目標とそれに伴う人材養成等の目的の適切性

〔国際食料情報学部〕
【現状】
 平成10年に、全国農学系大学で唯一の国際学部として留学生を積極的に受け入れし、農学系大学ではじめて夜間主コースを設け、社会人に広く門戸を開いた学部を設置した。本学部は社会科学系の2学科と自然科学系と社会科学系を総合する1学科の合計3学科から構成されている。
 本学部は経済社会のグローバリゼーションが進展するなかで、地球規模での食糧問題、環境問題が21世紀の人類の最大の課題となっていることから、人類全体の食料需給と地域環境との関係、地域内の食糧需給と環境のバランス、地域ごとの生物系企業経営の成立条件、国際農産物流通の諸問題、途上国を中心にした国際農業開発・国際協力のあり方などを総合的に教育研究することを目的として設置した学部である。
 学科構成は、国際農業開発学科、食料環境経済学科、生物企業情報学科の3学科から構成されている。国際農業開発学科は主として自然科学と社会科学の両領域を総合した教育研究を行い、食料環境経済学科はフードシステム(生物生産−加工−流通−消費−リサイクル)の経済や環境問題を、生物企業情報学科は生物系企業の成立条件や生物企業情報について教育研究している。3学科によって「環境保全型国際農業・食料システム」の構築を目指してきた。


 本学部はこうした教育研究をとおして国際協力、国際経済、国際的企業感覚を身につけた有能な人材の養成を目標に、国際協力の専門家、食料問題と環境問題に精通したエコノミスト、バイオビジネスのエキスパートの育成に関わってきたが、急速に変化する高等教育研究環境に対応することを重視して学部・学科の自己点検を行うために、平成14年11月に全学審議会に設置された「国際食料情報学部・産業経営学科(生物産業学部)における教育と研究の持続的発展に向けた改革戦略委員会」と、これを踏まえた「国際食料情報学部改革戦略策定委員会」における"学部改革答申"に基づいて学部・学科の具体的方向を精力的に議論し、学部・学科の理念・目標、学部・学科の教育の仕組み(少人数教育・コース制、学生のニーズに対応したフレックス型授業時間割)、カリキュラム改正を決定し、平成17年度から実施することとした。同時に「生物企業情報学科」の名称を大学院の国際バイオビジネス学専攻と同じ「国際バイオビジネス学科」に変更することにして文部科学省に届出し、受理された。


 新たな学部の教育研究の理念は、次の4つである。
(1)わが国と世界の国々における「新たな食料需給システムの構築」への教育と研究による貢献。
(2)人と自然、農村と都市、世界の国々の間の「新たな共生の確立」への教育と研究による貢献。
(3)小地域、広域地域、国域、地球規模における「新たな循環型社会の構築」への教育と研究による貢献。
(4)わが国と世界の国々における「新たな持続的社会の構築」への教育と研究による貢献である。


 教育目標は、わが国の学生を対象とするものの、欧米等先進国、熱帯地域、アジア地域・南米地域等の途上国から優秀な留学生を積極的に受け入れて、「国際色豊かな学部」、「国際貢献できる学部」を目指し、そうした学生教育を目標にする。
 こうした人材養成のために学部教養科目には英語を中心に外国語学科目(90単位)を多く用意している。また、留学生や社会人を積極的に受け入れ、特に生物企業情報学科は入学定員の3分の1を留学生枠としている。また、食料環境経済学科と生物企業情報学科に夜間主コースを開設し、社会人に広く門戸を開いている。

 

【点検・評価 長所と問題点】
 本学部では、18歳人口の減少、国立大学の独立行政法人化、規制緩和等に伴う大学間競争の激化、社会科学系の学部・学科間における学生確保の格差の顕在化から脱却し、魅力ある学部間の連携を検討することを目的に、先述のように全学審議会に「国際食料情報学部・生物産業学部産業経営学科における教育と研究の持続的発展に向けた改革戦略委員会」を設置し、社会科学系分野を中心に同学部・同学科について現状の問題点を多面的に分析し、改革の基本方向を提案した。このうち国際食料情報学部における改革の基本方向を検討するために全学審議会に「国際食料情報学部改革戦略策定委員会」(平成14年11月)を設置して次の7項目について検討し、平成16年1月27日に答申が提案された。


 (1)学部の理念・名称の見直しについて
 (2)学科の構成と理念・名称の見直しについて
 (3)学科における「コース」制について
 (4)「少人数規模教育」方式について
 (5)カリキュラムの編成について
 (6)「夜間主」の廃止について
 (7)大学院体制の再編について(特に「長期戦略」の観点から)


 問題点は、社会科学系学科においては、学科の基盤である産業的、地域的背景である食料、農業、農村、環境をめぐる諸状況が大幅に変わり、学科の教育・研究の目標に修正が不可欠となってきたことである。また、少子化に伴い基礎的能力と勉学意欲の低下が深刻な問題になってきたため、学生に対する日常の個別指導的教育に多大の時間を割かざるを得なくなり、教員が高い水準の研究を持続することが困難になってきたことである。加えて、学生の要求は「総合性」からより専門的な知識や技能の修得と資格の取得を求める「専門性」へと大きく変化してきたことである。
 一方で、「生物企業情報学科」という学科名称からは学ぶことを明確にイメージできないといった問題から、受験生へのアピール不足が発生し、学科名称の変更と学科教育の再編が大きな課題となった。

 

【将来の改善・改革に向けた方策】
 前述の「国際食料情報学部改革戦略策定委員会」の答申について数度にわたる学部全教員会議を開催して意見を集約し、基本方向を決定した。その内容を要約すると次のようである。
 本学部は、人類の生存に最も重要な関わりを持つ「食料需給システム」(「フードのシステム」、「農業・農村のシステム」、「資源のシステム」、「環境のシステム」)の構築に向けて、「共生の確立」、「循環型社会の構築」を重要な視角に据えて、総合的に教育・研究することを目的とし、この活動の過程から、以下に要約される人材を育てる。


(1)問題意識と問題解決の能力が高く、明確な目的意識とポリシーを持ち、幅広い教養と高度な専門知識・技術、豊かな国際感覚を身につけた、社会的使命と倫理観に裏打ちされて、以上の諸分野の最前線で活躍できる専門的かつ中枢的な人材。
(2)問題意識と問題解決の能力が高く、明確な目的意識とポリシーを持ち、幅広い教養と高度な専門知識・技術、豊かな国際感覚を身につけた、社会的使命と倫理観に裏打ちされて、社会の諸分野でコーディネーター、ジェネラリストとして活躍できる人材。
(3)「東京農大卒業生」として誇りを抱き、社会から「東京農大生」として大いに期待される人材等の養成を図る。また、前述の2学科に設けられている夜間主コースは、学生の生活スタイルやニーズが多様化してきていることから定員を昼間主に振替えて、昼間主の教育システムをコース制にして授業時間を夜間主に近い形態で開講し、昼間主であるけれども夜間主の経験を活かして昼間型学生、夜間型学生に対応するスタイルに改革した。

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