東京農業大学

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自己点検・評価

序章

自己点検・評価に当たって

第01章 理念・目的・目標
第02章 教育研究組織
第03章 教育内容方法等
第04章 学生の受け入れ
第05章 教員組織
第06章 研究活動環境
第07章 施設・設備等
第08章 図書館
第09章 社会貢献
第10章 学生生活
第11章 管理運営
第12章 財務
第13章 事務組織
第14章 自己点検・評価
第15章 公開・説明責任

終章

  あとがき

第三者評価結果

・東京農業大学の理念・目的・教育目標とそれに伴う人材養成等の目的の適切性

【現状】
 東京農業大学は、21世紀における地球上の最重要課題である「食料」、「環境」、「健康」、「資源エネルギー」の全てにわたり、基礎科学から応用科学、さらには具体的な技術にいたる広範な分野の教育と研究、そして実社会に目に見える貢献として人材養成を果たすべく大学全体として取り組んでいる。情報社会や国際社会が叫ばれている今、ややもすると言葉だけということも少なくない。実学主義は、社会の現実を直視した実証研究を基盤にもち、諸改革を提案できる実用的で実際的な学問のあり方を意味している。バーチャルだけの現代に疑問を感じ、心の底から真の「学び」、真の「生き方」をさがしだそうとしている若人に、「学問の真実」とは、「一生をかけて取りくみたい何かを追求し、生きている実感を体得する」大学となるよう東京農業大学は取り組み、自らの感性と体験を通じて「生きる力」を育む目的を東京農業大学は掲げている。


 翻って、東京農業大学は、これまでの拡大発展において、分野(モノ)の拡大で農学の多面性を提示し幅の広がりを達成してきた。しかし、学問分野の深化に必要な手法(コト)を十分提示してきたかについては、いくつかの課題を残している。前に述べた『新・実学』は、分野(モノ)の拡大にふさわしい、手法(コト)の拡大をこれからの課題だとするものである。バイオテクノロジーは、今や農業や畜産にとって前線技術である。先端技術の研究が進み、応用につながる実学研究が産業界の前線技術として定着する道筋を教育することがこれからの実学教育だと考えている。東京農業大学が、基礎となる教育的研究に加え、先端研究と前線的産業研究との3つのカテゴリーで研究体制を作っているのは、この認識からである。


 そのような考えから、現代社会における東京農業大学は、その目標を、
 (1)「食料」、「環境」、「健康」、「資源エネルギー」の視界360度の東京農大
 (2)グローバリゼーションにおける「実務型国際貢献力」最上の東京農大
 (3)東京農大は、企業内教育終焉時代の「実学主義キャリアパス大学」
 (4)113年の東京農大は、「地域や産業界とのつながり抜群大学」
の4点で示している。

 

【点検・評価 長所・問題点】
 大学全入と言われる平成19年度により一層近づき、大学界ではこれが最大の関心となっている。東京農業大学は、このことを全国700以上の大学の平均的な共存共栄ではなく、「選ばれる大学」と「見捨てられる大学」の二極分化であると認識している。次に、大学の質の保証に係わる新たなシステムの構築がすべての大学に問われているのが現在である。文部科学省の対応は、平成13年の「大学設置基準の大綱化」以降、入口規制から出口管理の動向が鮮明である。
 これに東京農業大学がどのように対応するかが問われている。さらに、私学にあっては、学校法人の経営戦略と共存した生き残りの準備が必要とされており、これについては、教育投資(家庭と会社の)が起こり続ける大学であるために大学改革が不可欠であるという認識を持っている。そうした背景から、本学では、グランドデザインの構築が必要であると認識し、平成15年10月に全学審議会の中にビジョン委員会を設置し、大学の目標を、以下のように設定した。


 これまでの大学は、「知識と技術の伝授、ならびに学生の自主的なクラブ活動を支援するかたちで、幅広い教養主義に基づく人格の形成」程度で良かった。しかし、社会は今、大学に課題発見能力から、それを解く課題解決能力を支える研究開発能力、さらにスキルの習得までを求めている。しかも、教育の水準は、JABEEに見られるようにグローバルスタンダード化する傾向が極めて強い。そうした中で、平凡な中に埋没させず、どのように個性を輝かせ続けるかが肝要である。そのためには、常に自己改革能力を有する大学という目標を持つことが重要で、そのための自己点検評価を怠らないようにしてきた。今後は従来に増して、大学院の高度化多様化を図り、専門職大学院をも想定し、大学院レベルでの研究協力体制と連動した大学でなければならないと考えている。幸い東京農業大学は、すべての学士課程学部に属する学科を基礎に持つ大学院(博士前後期課程)が揃い、そこで、大学の目標を、「個性ある大学の個性ある教育・研究・人材育成」とした。いささか平凡な表現ともみえようが、東京農業大学が個性ある大学であることは、誰もが認めてくれるところであろう。しかし、その東京農業大学が平凡な取り組みでは困る。その東京農業大学が、個性ある教育と研究、そして人材養成をするなら、共感を憶える人は少なくないと考えている。


 その上で、東京農業大学が全学的に求める学生像を、
 (1)食料・環境・健康・資源エネルギーの視界360度を学びたいひと
 (2)東京農大で学ぶモチベーションができているひと
 (3)社会に強いキャリアパスを求めているひと
 (4)東京農大のDNAと広い価値観に共感をもつひと
 (5)自分の能力を一層高められる大学を希望しているひと
 の5つで表現している。


 これらのことを東京農業大学の教職員がまずは共有するために、平成16年度初頭から都合8回のキャンパスミーティングを重ねてきた。また、短期大学部を含む6学部について、各々の学部アドミッション・ポリシーを作成提示した上で、19の学科(短期大学部4学科を含む)に学科単位のアドミッション・ポリシーの検討を依頼し、その全体を取りまとめた。
 この点検作業を進めてきたことにより、
 (1)高校教育との接続教育を意識した教科「フレッシュマンセミナー」を設けての、丁寧な導入教育の実施
 (2)ISO14001を取得している東京農業大学における全学的環境教育の実施
 (3)国際情勢から日本の食料・農業・農村事情に関するまでの幅広い教養教育を目的とした特別講義の実施
 (4)インターンシップへの誘いを含むキャリアデザイン教育を通じた人材養成教育の実施
 (5)課外活動をクラブ活動として読み替え、努めて人格教育活動として評価しようという試みの着手

 

【将来の改善・改革に向けた方策】
 以上のようなことから、本学における改善事項と改革の課題は、次のように整理できる。入学希望人口減少の時代を迎えて、東京農業大学は、その適正規模を十分検討して、入学者受け入れと、十分な教育、そして人材養成を目指すべきである。
 現在、学士課程として5学部、準学士課程として短期大学部を有するが、この中で短期大学部については、遠からず再編の必要性が浮かび上がると想定し、これを新しい学士課程の学部とするか、あるいは既存の学部に吸収する形をとるかについては、重要な将来改革の一つであると考え、現在、学内委員会で具体的方向についての検討をしている。


 また、既存の学部についても、東京農業大学全体の教育研究範囲の充実のため、あるいは、当該学部の進化のため、再編を検討する時期に来ていると認識している。すでに、厚木キャンパスの農学部とオホーツクキャンパスの生物産業学部については、高度教育研究機関としての魅力をより高めることを目標に、全学審議会の中に学部再編委員会を設け、新学科増設を含め検討を進めているところである。具体的には、オホーツクキャンパスの場合、生物系総合大学としての東京農業大学の研究教育領域の完全化を目指して、水圏・水産系の新学科増設の準備をしている。また、厚木キャンパスの農学部については、旧来の生産農学を生活農学にまで広げることを目標に、生物セラピー系の新学科増設を準備している。


 また、地域環境科学部を構成する森林総合科学科、生産環境工学科、造園科学科は、いずれもその教育研究内容にエンジニアリング教育の比重が高い。このことから、当学部の3学科はJABEE認定校の手続きを進めている。生産環境工学科は、平成15年に試行をし、平成16年に認定校となり、造園科学科は、平成15年の試行で、平成16年の本申請である。そして、森林総合科学科は、現在試行に向けて準備中である。
 応用生物科学部にあっては、構成学科の学問的性格から先端的科学研究が中軸であるため、大学院教育までを希望する学生が大変多い。そこで、受け入れ大学院の充実を図り、学部・大学院の連携教育プログラム開発を早急に実施する計画を進めている。


 国際食料情報学部は、国際と情報を武器に食料問題の解決に寄与する使命を持っている。生物系総合大学にあって、文型志向の入学者も多く集まる学部であることから、語学教育や海外体験等を充実させ、かつ外国人学生を多く抱える特性を活かした教育研究の活性化を図っている。
 以上、総じて東京農業大学が掲げる、大学の理念、目的、教育目標とそれに伴う人材養成等の目的・達成状況は、適切な対応がとられており、しかも、これらの点検・評価の結果として、改善や改革の方向を把握できている。

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