魔性のゴミムシ
※この採集記は大型ディスプレイで作成しています。
採集地の破壊を防ぐため、詳細な場所名は伏せております。
~卒論提出日も目前に迫った今日この頃
とあるゴミムシをめぐる戦いが行われた・・・~
1月14日、6時、気温は4℃。
薄暗くクソ寒い中、5人の男共がレンタカー屋に集まった。
今回のゴミムシ採集に同行するのは、
筆者の沢田(カミキリ屋 3.5年)、渡辺(ゴミムシ屋 ヒメバチ屋 M2)、常盤(コガネ屋 4年)、山口(クワガタ屋 4年)
坂田(カメムシ?屋 4年)、山田(オサゴミ屋 4年)の6名である。()内は得意な虫と学年
ターゲットとするゴミムシは「オオサカアオゴミムシ」。日本のアオゴミムシの中でも屈指の美麗種である。
前々から渡辺さんに散々自慢されていたので、採集計画から実行に移すまで1日もかからなかった。
オオサカアオの他にもアカオサムシ、アワカズサオサムシ、コキベリアオゴミムシなどの歩行虫が見られるという。
前日に標本になったオオサカアオを見せてもらった事もあり、行く前からみんなのテンションはおかしいことに。
ちゃっちゃとレンタカーの手続きを済ませ、野郎共が乗り込む。借りた車はスバル・EXIGA。
まだ車内は泥や雑草の破片などもなく、快適だ。数時間後には無残な車内になることだろう。
レンタカー屋もご苦労様である。
道中、渡辺さんを拾い、今日のメンバーが全て揃った。千葉方面へ向かうため「海ほたる」へ寄った。
男と来ても有り難味は皆無だ。

海ほたる駐車場より 昼飯の補給も兼ねている。
アクアラインを抜けると房総半島が顔を見せる。私がここを訪れるのは1年ぶり位だろう。
以前「ケブカトラカミキリ」を採集しに来たのが最後だ。ゴミムシ採集に着たのに、道沿いに生えている「イヌマキ」に心が揺れる。
20分ほど走ると、早速良さそうなポイントがあった。道の脇に強引に駐車し、出撃する。
暗い林縁であったが、えらく乾燥していて、スジアオゴミムシが一頭出たのみだった。

総員!!戦闘準備!!! 道の下に崖はあったが、微妙・・・
散々な崖に出くわし、さらに闘志が漲る一同。
休んでいる暇などない!!次だ!!!
しかし、しばらく車で走ってもなかなか良い崖にめぐり合わない。そう簡単にオオサカアオは我々の前に現れてはくれない。
そろそろ飯にでもするかと思い・・・「どっかに止まって食べようぜ?あ、あのカーブの先で・・・ん?あれは・・・」
そこには湿地帯と休耕田がセットとなった、超高級集合住宅が!!!(崖の話)
こうして、昼飯の時間は3時間ほど先の話となった。「おっほぉ~やばいやばい!」と渡辺さん。なるほど、相当ヤバい崖なんだな。
アシやガマの生い茂る湿地帯に守られるように、その崖は存在していた。
男たちは何も語らず、無心に崖を崩す。その力は小型耕作機に匹敵するだろう。「虫を捕る」という欲望だけを原動力に動く。
私以外のメンバーは卒論という足枷のストレスをそのまま崖にぶつけているのか、見る見るうちに地形が変わっていく。
次々とオオスナハラゴミムシ、ミイデラゴミムシ、コキベリアオゴミムシを掘り当てていくが、「大将」まではなかなか到達しない。
腕にもダメージが蓄積していくのが分かる。これがオオサカアオの力か!?私の採集魂に火をつけたようだ。

奮闘中の渡辺さん 良い崖を確保するのも勝負のうち! ニイニイゼミの幼虫。たまに出る脇役。
奴はコキベリやミイデラの側近を従えて穴の一番奥に入っているという。ということは、そいつらが出たら確率が上がるということだ。
枯れた草の根際には空洞があり、ゴミムシが潜んでいる可能性が高い。しかし、岩の隙間に根が入り込み、なかなか掘り出すことが出来ない・・・
渾身の力を込めて、岩ごと引っぺがす!!
すると、数頭のミイデラとコキベリが出現。慌ててバケツで受ける・・・その時ミイデラに混じって明らかに初見なゴミムシがバケツに落ちるのが見えた。
お、オオサカアオだ!!!
叫ぶつもりは無かったが、自然に声が出てしまった。
周りからは「ナァニィ~(怒)、クッソォ~~!、氏ね!」などといった声が聞こえたが、オオサカアオフィルターにより全て無効化された。

左にいる4頭の一番右の個体がオオサカアオゴミムシ。 あああ、なんとお美しいお姿・・・
その後、自分でも信じられないが、同じ場所から+4頭、2m先の崖から2頭。合計6頭を掘り出すことが出来た。
その後、辺りが真っ暗になるまで採集を続けたがそれ以上の追加は無かった。
他のメンバーの成果に関しては・・・・・・・・・・・・・・・・・・聞かないであげてください。
ここからはオオサカアオゴミムシの生態写真をお楽しみください。
掘り出した直後↑

室内で撮影↑
最後に
今回の採集は全体的に見れば奇跡に近い成果だったと思います。
オオサカアオの写真でおなかが一杯になったところでこの採集記の〆とします。
捕れなかった人たちもまたリベンジに行きましょう!
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完
沢田光
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