東京農業大学

Web情報検索
文字の大きさ大<-標準->小
 

東京農業大学とロイヤルホストとのコラボ

line
インタビュー&対談

健康と環境に配慮した 新しい食の創出を産学共同で

ロイヤル株式会社 代表取締役社長 今井 教文

 2006年12月。東京農大は、全国でロイヤルホストなどを展開する外食産業大手のロイヤル株式会社と産学共同プロジェクトを立ち上げた。健康配慮型の新メニュー開発や外食産業の課題のひとつとされてきた生ごみのリサイクル等のプロジェクトである。「食を提供する企業にとって、食材の安全・安心はコンプライアンスにもつながる非常に大きな責任です。大学との提携によって学術的な裏付けが得ることができれば当社にとってさらに重要な意味を持ちます」と今井社長。大学の研究ノウハウを企業活動に活かしたいと展望する。

 具体的なプロジェクトについては「共同のメニュー作りは我々にとってはマーケティングという意味合いもあります。学生の嗜好や発想を知ることができますから。良いものはどんどん取り入れたい。また学生にとっては、世の中に評価される経験をすることはとても貴重でしょう」。今井社長は東京農大のOB。後輩への視線も温かい。

 ご自身も大学時代の実習経験を「30数年経った今でもよく覚えているほど印象深い」と感慨深げに語るだけあって、プロジェクトに参加する学生達に期待を寄せる。学生の意見も取り入れた料理を3カ月に1度のペースでロイヤルホスト全319店で売り出していくという。

 また、ロイヤルホスト都内12店から出る生ゴミを東京農大の技術指導で肥料化し、これを使って育てた野菜を首都圏の75店程度でサラダ素材などとして使う試みも始める。さしあたっては、ほうれん草から。「まず具体的事例を作り、しっかり成功させ、それを持続させることが大切」という。環境への配慮というと大袈裟に考えがちだが、「持続することが大切」と強調する。「この先、学生の感性を取り入れた新しい企画や、環境配慮型の企画を発展させるにしても、続けていく中でのこと」であるとも。

 「私は暇さえあれば山に登っていたいうような学生でしたが、いわゆる高度成長時代でしたからそれでも何とかなった(笑)。ですが今の時代はそうもいきません。目標や将来やりたいことを見つけ、それに向かってトライし達成するという『自己推進解決型』の人間になっていただきたいと思います。そういう人材は当社はもちろんのこと、おそらくすべての業種で切望されるはずですから」と後輩へ熱いエールを贈ってくれている。


〜産学協同プロジェクトにあたって〜 大澤学長VS今井社長対談


大澤学長:食の安全、リサイクル、食育という、ロイヤル株式会社からのご提案は、東京農大の教育・研究内容にマッチしたものでしたから、全面的協力をお約束しました。学生にとっては机上の学問に留まらない、まさに実学を経験できる機会を与えられたということで感謝しています。

今井社長:企業サイドとしては、食に対する価値観の創出はオープンソースでなければならないと思っています。多くの市民を巻き込んで…。今回は若い方の意見を取り入れることができます。また、生ごみの肥料化に成功されている技術の指導を受けることもできます。評価されれば、全国規模に拡大することも考えていかなければなりません。

大澤学長:最初のメニュー作りのコンセプトは咀嚼でしたね。高齢化時代を背景にしたボケ防止や、すべての人に共通した脳の活性化という意味もあります。30品目を使い、栄養のバランスも考えてもの。すでにテスト店ではお客様に提供しはじめたそうですが評判はどうですか。

今井社長:予想していた以上の反響です。ですが、嚼むにしても、効果はまだまだいろいろありますし、企画もあります。そうしたものを検討し、検証し、次のメニューに生かさなければ持続してお客様に喜んでいただくことはできません。

大澤学長:売れ行きや評判として、結果がてきめんに出るというのは学生にとってはまたとない経験になるでしょうね。また、こうした試みが、生産性の向上につながり、ひいては食料自給率のアップに貢献できれば素晴らしいとも思います。欧米先進国の食料自給率は軒並み100%以上。我が国の食料自給率アップにつながるような話題作りができれば、プロジェクトの意義はさらに大きなものになります。

今井社長:我々もぜひそうありたいと願っています。


(注)平成19年1月1日付、ロイヤル(株)社長は大野晨生氏になりました。 



前のページへ戻る