※今回の採集へ参加した三名の一年生が一人ずつ書いていきます。

 You,奇遇にコルリ。
 2011年6月11日〔土〕

  いきなりホルモンの『W H U』がホテルの個室いっぱいに響き渡る。
 アラームはThe Asteroids Galaxy Tourのハズ。おかしいな、と思いつつケータイを手に取ると、
 それがアラームではなく同期の山本からの着信であることが分かった。何を思ったのか、気がつくと私は部屋中の荷物を
 ボストンバックに夢中で詰め込んでいた。
   
 人気のないホテルの廊下。うっかり八時の半太郎である。

  約束の8時半にロビーへ下りると沢田さんと同期のイツメンがPCでムシの発生情報を確認していた。
 その後忘れ物がないか確認しながらワクワクを加速させながら米沢市内のホテルを出発。
 米沢駅で大橋さんを新たにパーティに加えて飯豊山系のポイントへ向かう。
感動の再会。
 一ヶ月振りに見た大橋さんは、・・・変わっていなかった(笑)

 それはそうと、私はこの日を3億5千年ほど前からずっとずっとずっと待ちわびていた。

              -ユキグニコルリを採集できる-

 コルリの材採経験はあったのだが、恥ずかしながら新芽採集は今回がお初となる。
 

 行きのコンビニで燃料〔コカ・コーラ〕を3本ほど補充。コーラの効能は次の通り。
 ①生命維持 ②運気上昇 ③疲労回復 ④怪我の治癒(?) ⑤「もう一杯」を愉しむ

  沢田さんの運転で山を登っていくと残雪がちらほら姿を見せはじめ、ポイント周辺ではカチコチの塊になっていた。
 若干雨様がパラパラお降りになられてきて不安だったが、ブナの新芽の状態は〔イイカンジ〕であった。
 ポイントの登山道入り口に到着するや否や、ウンコ狂(糞虫屋)の山本は前日のモトを取り返そうと必死になって至るところに『農大馬場特産ウンコ』を仕掛けて  回っていた。素手で。どうやらここらへんが彼と一般peopleの違いらしい。
 

  ハードすぎる”下品な”ウンコトークについてゆけない私は大橋さんと共に”神聖なる”ユキグニコルリを探すために沢田さん、藤沢、山本たちより一足先に登山  道を進むことにした。雨は若干止み始めてきていたものの、地面も木もビチョビチョだったため、新芽で採れるのかどうか本気で不安になり始めていたのも事実で  ある。山形まで出てきて彼女たちを(彼?)お持ち帰り出来ず仕舞いというのはゴメンだ。
 
 新芽採集の情報はイベント・ネット・雑誌・shopなど、いろんなところから仕入れてきているのだが、やはり実物を見てみなければピンとこない。

 『新芽を覗いてみるとコルリがいるよ~♪』
 
 なんてゆーコトバは何度も聞いたし、何度も読んできた。
 ダメ元でブナの低木の新芽を嫌らしい目で(狩人のような目で)ジロジロ見ていく・・・・

 ・・・。



 マジか(笑)

 コレはアカン。。ガチで新芽に来とるよぅ(ToT;;;
 しかも蒼いィィィィィィ(ToT;;;;


  これまで図鑑や、いいとこ博物館の標本ぐらいでしかその姿を拝んだことがなかった。
 野外でリアルに生きる彼らの姿が今この瞬間、この我が網膜に鮮明に映し出されているという事実。
 感動のあまり、しばらくの間、新芽に潜り込む正真正銘”
ユキグニコルリクワガタ”の♂を眺め続けていた。
 胸が張り裂けそうなんだから、間違いないよね?間違いなく、その純粋な蒼く輝く美しい姿に、
私は恋をしていた。
 
                     Platycerus albisomni albisomni 
                        ユキグニコルリクワガタ

  するといきなり、晴れた。快晴である。晴れ男が大橋さんだとか藤沢だとか、などの説が一時飛び交っていたが、それは違うと思う。私と蒼き精との運命的な出 会いをこの地に古くから棲む神々が祝福してくれたに違いない。
 

  晴れてくるとユキグニコルリが飛翔するシーンもちょいちょい観察できるようになってきた。
 飛翔個体をネットインすることはできなかったが、別の新芽から新たに ♂個体を2頭追加することができた。

  このような残雪量が多い場所でもバリバリ採集することができる。
 雪のガケを登りながら新芽をすくっていき、ここでは新たに3頭の♂を追加した。
 川が大変綺麗である。始終山本のウンコの臭いが辺りを漂っていたが。

  帰りがけ、沢田さんがブナの巨木立ち枯れからルリクワを採集してきた。
 が、いいな~ぐらいは思ったが浮気はしなかった(笑)

 カモシカ?の頭骨。山本はもちろん大興奮。 レンタカーの前で自慢大会(笑)

  4時過ぎにポイントを出発し、宿へ向かった。宿ではライトを張る予定だったので一同ワクワクしていたのだが、宿のスタッフに案の定『ダメだZE^0^』と言われてし まい、ヒマになり、せっかく購入した厚木の土産もただのオヤツになってしまった。
 
 しかし、温泉は最高だった。飯豊の山々や川を望みながらの入浴は、染みた(爆)

  話し合いの結果、私はテントでヒトリノ夜を過ごすことになり、藤沢&山本は車中でフタリノ夜を過ごすことになった。
 また、先輩方は高級旅館の方にお泊りになられた。羨ましかったが、金がない。同情するなら金をクレ。
  
  各自夕食をとった後、ライトトラップが出来なかった分の穴埋めをする為に里へ下りていって灯火を見て回ったが、ぶっちゃけ、ロクなムシも採れず仕舞いとな  ってしまった。ムシは寄ってこなかったが、ヨッパライの一族に絡まれてしまったときは、少々焦った。
 

 
 
  寝る前にテントの中でヘッドライトを頼りに一人ソーティング大会を行った。
 ずっと活かせたままにしておいたために愛着が湧いてしまい、ユキグニコルリを〆る時は少し寂しい気持ちになった。
 意外とテントは快適だった。

 ◎結果
  ユキグニコルリ 12♂♂、1♀
  その他、雑虫(ユキグニコルリに夢中であんまり採集していない


                                           一年  宮尾 真矢

          一日目,藤沢編へ
          三日目,山本編へ




栃木~山形、蟲の旅