石垣島採集旅行 その壱

3月23日~31までの9日間、先島諸島の石垣島へ昆虫採集に行ってまいりました。
行ったメンバーは2人、筆者の私、沢田はカミキリ好きの甲虫屋と、チョウ屋のOKDの2人です。
私は願わくば石垣春の三大珍種カミキリを、OKDはまだ見ぬ南国のチョウ達を、この手に掴むために・・・

※昆虫の生態写真が少ないのは、虫を“撮る”よりも“捕って”いたからです。タトウの写真でご勘弁を。
尚、この日記には虫屋的な表現が多数含まれております。閲覧にはご注意ください。

3月23日  -初陣-
 出発前夜、なかなか寝付けずほぼ徹夜に近い状態で昆研に集合。(石垣の虫達を妄想してたら眠れる訳が無い。) 
集合時間の1時間前に昆研に到着。メイン採集地である林道の場所を頭に叩き込む。(カーナビがあるから必要なかった)

 しばらくするとOKDが到着。まだ石垣じゃないのに採集服でご登場。やる気満々である。(三角缶だけはしまっとけ!^^;)

スーツケースに登山用大型ザック、大容量の釣り竿ケース…道行く人に「何しに行くんですか」とか聞かれそうな風貌だ。

 高速バスで空港まで行き搭乗時間までぶらぶら。定刻通り石垣行きの飛行機に乗り、いざ離陸!
乗り物に酔いやすいというOKDも何事も無く、快適な空の旅でした。羽田から3時間余りで石垣空港に到着!
    
         飛行機から見た石垣島            眼下にはサトウキビ畑などがひろがる。                石垣空港

 先島諸島の生暖かい風が我々を出迎える。OKDは初めての離島に少々興奮気味。早速タクシーでレンタカー屋に直行。
道中、運転手のおっちゃんにここ一週間の天気を聞いてみると、どうやら雨は降らないらしい。
これは最高のコンディション!テンションが上がる。

 宿泊するのは昆研内でも利用する方も多いとある民宿。チェックインを早々と済ませ、採集の準備に取り掛かる。
我々にはのんびりと観光をしている暇など無いのだ!!


 於茂登岳周辺の林道に到着。林道に入る前からやばいテンションのOKDはというと、
「あっ!チョウだ!停まって!」と……。後でいくらでも捕れますから!!
 
 適当な場所に車を停め採集を開始。枯木などを見てみると、イシガキヨナグニゴマフカミキリがお出迎え。ライトトラップ(以下LTと表記)
の設置場所を検討しながら進む。 よさそうな開けた場所を発見しLTを設営。虫の集まりが悪いので付近を探索…

 数分後、OKDが樹液の出ているタブノキを発見!大型のサキシマヒラタを得る。っしゃ~!(でもパイン園の害虫)
この場所にはバナナとパイナップルを泡盛に漬けたものを設置。たくさん来るかな?(うひひひひ)
          
            サキシマヒラタクワガタ                     イシガキヨナグニゴマフカミキリ
 2時間後、LTの白い幕にはカスミカメやらカミキリモドキ、ゴミムシの仲間が飛来したのみ。残念な成果に。
とりあえず初日ということもあり、民宿に撤退。民宿の電灯に来ていたリュウキュウヒメカミキリをつまみ、この日の採集を終えた。
          
       LTの様子。規模が小さいのは気にしない。             残念な結果だった本日のLT

24日  -森の精霊達-
 朝8時に起床、コンビニで朝飯と昼飯を調達し、昨日と同じ採集場所の嵩田林道へと向かう。天気は快晴で絶好調!
嵩田線に入るとヤエヤマカラスやイシガケチョウが元気よく飛んでいる。OKDはこれらのチョウを追いかけて林道の奥へ。

 私は林道の林縁を中心にスィーピングを開始。オレンジの飛翔昆虫は大抵アメバチかコマユバチ、ベッコウバチが多いが、
この中にイシガキリンゴカミキリが交っている可能性がある。とりあえず目の前を横切る虫達を容赦なくネットイン!
・・・・・・・・・・・するとネットの中に可愛らしいカミキリムシの姿が。
          
            イシガキリンゴカミキリ                 イシガキリンゴとリュウキュウアヤモンチビなど
 味をしめて立て続けに3頭ゲット。枯葉のついた枝を掬うとリュウキュウアヤモンチビなどが安定して入る。
林道脇で採集品を見ながらニヤニヤしていると、OKDが戻ってきた。その手には妙な幼虫が。
頭には2本のツノ、背中とお尻に鋸のような突起・・・・・・おおお!イシガケチョウの幼虫じゃないか!
 成虫は見飽きるほど居るが、幼虫を見たのは初めて。ちょっと感動。
          
           イシガケチョウ(幼虫)                        イシガキモリバッタ
 この日はそのまま林道で昼食を摂り、採集を続けた。スウィーピングとビーティングを交互にやりながらの採集となった。
ヤンバルアワブキの咲き加減が悪く、花に来る昆虫が不調なので、オキナワテイカカズラなどを掬ってオオミドリサルハムシなど、
綺麗なハムシや雑甲虫を得る。大きなタマムシらしき機影が見えたので、長竿でキャッチ。サツマウバタマムシでした。
           
      サツマウバタマ、オオミドリサルハムシ他              こんなところは虫が多いポイント。
 午後4時、夕暮れが近付いてきた。樹幹に妙なチョウ?が飛んでいるのを発見。飛び方は本土にいる「ホタルガ」そっくり。
風にあおられて降りてきたところをキャーッチ!!ぱっと見チョウだけど…
          
              サツマニシキ                     少し薄暗くなってきたが、まだまだ虫は多い。
 チョウより美しい蛾サツマニシキ!手で掴むと威嚇して黄色い泡を噴出…羽が!羽が汚れる~!!

 サツマニシキを昼間の採集の〆に飾り、LTの準備に取り掛かる。今日は灯火巡りもする予定だ。
LTを点灯し、夕飯を食べるために一度都市部へ移動。八重山そばなどが美味しかった。


 いくら南西諸島とはいえこの時期の夜は肌寒い。長袖を1枚はおって丁度良いくらいである。
気温のせいもあってか、道路わきの自販機の虫の集まりが悪い。オオフタモンウバタマコメツキとアオキリゴミムシが多かった。

 自販機を一通り眺めた後はバンナ公園へと足を運ぶ。夜でも煌々と外灯が点灯していて、灯火採集には打ってつけのスポットだと思う。
ワモンサビカミキリ、リュウキュウトビイロカミキリ、ヨツモンミゾアシノミハムシ、その他多数の甲虫他、タイワンクツワムシなども集まっていた。

 OKDはたくさん集まる蛾たちをせっせと毒ビンへ放り込み、不敵な笑みを浮かべる。甲虫は思ったほど多く無かった。
約1時間で公園を後にする。我らのLTも忘れてはいけない!設置場所に戻ると白い布にたくさんの昆虫が!昨日とは比にならない成果だ!

 サキシマヒラタやゴミムシ、ヒメバチやバッタに混じり長い2本の触角が見える。むむむ、カミキリだ!
エリトラに白い紋、長い触角。直ぐにイツホシシロカミキリだと分かった。カミキリは他にヨコヤマヒメカミキリ?と思われるものが1頭。
          
         イツホシシロカミキリとヨコヤマヒメ                        雑甲虫共
 今日のLTはイツホシシロの飛来でまあまあの成績に。1時間程待ってみましたが追加個体は来ませんでした。残念。

25日  -休耕田で水中戦-
 天気予報で晴れのち曇りとの予報だったが朝から雨
今日も林道で採集しようと思っていたので、予定を変更する事に。
たまたま車の窓から休耕田が見えたのを思い出し、水生昆虫を採集することにした。

 山間の水田で、夜間に車で通った時もカエルがたくさん鳴いており、かなり環境が良い場所だった。
OKDが水昆採集は初めてだと仰るので、水田の歩き方からレクチャー。水田の浅い所から掬い始める。

 セスジゲンゴロウ類やコツブゲンゴロウ、コミズムシなどが多く入る。水深が浅いせいか大型のゲンゴロウやガムシは見られない。

そんな中、

 「あ、ミズカマキリ、いたよ~(OKD)」 「ま・さ・か・・・・(沢)」 「うわ~マダラアシミズカマキリ!珍品だよ!(沢)」
 なんというビギナーズラック。秘かに狙っていたのに悔しい…大きさはヒメミズカマキリ同様、
前脚基節に黒色紋があるとかないとかで区別されるらしいが、それ以前に脚の長さが全然違う(笑)それにカッコいい!
こいつを捕られたのは非常に悔しいが、ここから私の快進撃が始まるのだ。
           
           ゲンゴロウ(小型種)                          マダラアシミズカマキリ
 水田の浅い所から深い所を掬うようにしてみると、ヒメゲン似の奴らや、グッピーやらヤマトヌマエビが入るようになった。
水面はイネ科の水生植物で覆われている為、進むのも一苦労。こんな時は草の根際を足でガシガシやって水昆を追い出して掬う!
すると、コガタガムシ、トビイロゲンゴロウが姿を現した!大物だ!さらに草をガシガシやる。ぬおおおおおっー!
 網の中に草がたくさん入りそれをどけると、でた!コガタノゲンゴロウだ!っしゃ~!次!コガタノ!次!!トビイロ!!!次!・・・・・・
こんな感じで合計14頭のコガタノ、トビイロも6頭捕ることができた。OKDも1頭のコガタノを捕ったが、数で私の優勢となった。
           
            コガタノゲンゴロウ                             コガタガムシ
           
      ごちゃまぜ。黄色いラインがあるのがコガタノ。          メスは大半をリリースし、オスを持ってきました。
 相当環境が良かったのだと思います。石垣の休耕田で大型ゲンゴロウが捕れるとは。感動、感動。

         でも、ヒメフチ、欲しかったなぁ・・・

 さすがに私も帰りに採集をする気は起きず、大人しく宿へ帰りました。夜になっても雨は止まず、
よってライトも無し!泡盛で乾杯して次の日を迎える。雨でも充実した採集が出来たと思います。



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