石垣島採集旅行 その参

 ※この採集記は大型ディスプレイで作成しています。
 更新が遅くなりましたが、石垣採集記、これで最後です。残りの日にちが少なくなり、
高望みはやめてこれまで周ってきた採集ポイントをまた回ることに。初日にはまだ開花していなかったアワブキも徐々に開花してきた模様。
いよいよ長竿の出番が!!


3月29日  -Splendens-
 今日は早朝から於茂登岳に向かい、場所取りを行う。花に飛来するオオヒゲブトハナムブリと珍カミキリたちを捕るためだ。
ヤンバルアワブキは樹高が高く、今回持参した7.5m竿で掬うには場所を選ぶ必要がある。網の先端が届きそうな花を探して車を走らせる。
 しかし、そう簡単にポイントは見つからない。石垣が初めての私にとって、情報戦ではかなり負けている!それでも気合でポイントを探す。
 一時間ほどのドライブを続け、約10本の花を見つけた。そのうちの一本は林道の真上だったので、他の採集者の車が入って来れないように駐車!!!
まだ奴らが飛ぶまでに時間があるので、周辺で採集を開始した。

  
  
花を探しつつ採集する。陽だまりにはイシガキリンゴが飛んでいる。          ここに決めた!!後は待つだけだ。

 この付近は粗朶が多く、カミキリ他、材食生甲虫が沢山落ちる。ちょっとした枯葉からは、ヨコスジサビやイシガキシロオビサビが得られた。
林道に沿ってビーティングしていると時折クロカタゾウムシが落ちる。こいつが落ちるたび感動していたのだが、その感動を打ち破るものが・・・

そいつは突然現れた。何の変哲もない木から・・・。大きさは2.5cmくらい。エリトラの黄色い模様ですぐに正体は分かった。
                  あああ!!ヤエヤマミツギリゾウムシだ!
  
           
 筆者の手の上を悠然と歩く…                赤丸の木から落ちた。枯れ木に居るんじゃないの?(笑)

 いやぁ、まさか捕れるとは。時期的に絶対に無理だと思っていたので、なおさら嬉しい成果だ。
ちなみに、写真のミツギリゾウが捕れた木の横にあるアカメガシワを見ると・・・教科書通り!ミドリナカボソタマムシをゲット!!
   
       
 ミドリナカボソタマムシ          同じ木にクロカタゾウムシも付いていた         フトガタヒメカミキリ

 林道を進んでいくと北側の斜面になり、引き返すことに。そろそろ花の下に張り付かねば!
花のポイントは完全に日が当り、ハエやらハチの羽音がブンブンしている!素晴らしいBGMだ。

・・・しかし花を見上げながら採集する、というのはなかなか大変である。
いつもやり慣れているノリウツギやリョウブなどとは違い樹高がはるかに高く、完全に真上を向いた状態での採集になる。
当然、首が痛くなるのだが、虫屋たるものそんなことを言っている暇などない。ひたすら花の上を飛行する虫を見定め、長竿を伸ばす。

 甲虫らしい影はあるのだが、アオヒメハナムグリとイシガキシロテンハナムグリばかりが網に入る。
そんな中、ハエ?らしき飛行物体がゆっくりと飛んでいる。ネットインしてみると、ヤエヤマモモブトコバネだった。よっしゃ♪
マツダクスベニかと思いきや、
ベニボタルだったときはかなりイライラしたが、コツをつかんできた。
それでもアオヒメしか網に入らない・・・まだ発生オオヒゲブトはしていないのか?

  
   
      満開の房が出てきたヤンバルアワブキ              ヤエヤマモモブトコバネ 雌はオレンジ色をしている。

 時間は正午を迎えたが、いまだオオヒゲブトは私の網に入らない…やはり場所が悪いのか・・・そう思い、隣の花へ移動。

足元にコガネムシ系の死骸があったので見てみると・・・
                     
                       あああああ!オオヒゲブト!!ちくしょー!!
 死骸だったのは悔しいが、ここに来るということは間違いなさそうだ。花にも無数の昆虫が群がっている。
長竿をフルに伸ばし、花を丸ごと掬うと・・・アオヒメハナムグリに混じり、
ハエのように飛ぶ甲虫が・・・

                        よっしゃー!!
                              オオヒゲブト!ゲットだぜ!! 


  
   
念願のオオヒゲブトハナムグリとリュウキュウヒメヒラタタマムシ            その後、二頭を追加することができた

 捕れて本当に良かった。カミキリ以外でここまで喜んだのは久しぶりだ(笑)
ムネモンウスアオヤエヤマヒオドシハナは来年の課題となったが、少ないながらもオオヒゲブトハナムグリが捕れただけ良しとしよう。

明日はカミキリが比較的多く見られた屋良部方面に行って採集の〆とすることに。


3月30日  -採終日-

 
今日は石垣島で採集できる最後の日である。天気は快晴。絶好の最終日よりだ。予定通り、屋良部方面へ移動開始。  

 道中少し寄り道を。
 ススキが生えていたため、ウスアヤカミキリなどが居ないかとヤブに入ると、ナンバンギセルが花を咲かせていた。
倒木の下からはタイワンサソリモドキも採集できた。
     
  
ナンバンギセル 花言葉は「物思い」らしい  タイワンサソリモドキ 独特な動きが面白い。   ススキ原にいたイワサキクサゼミ

 道路脇の葉上にミカンキンカメムシがとまっていたり、側溝にタイワンカブトが転がっていたりと、色々と楽しい道草になった。

   
 
カメムシの中でも群を抜いて魅力的な種だと思う。  死んだふりもする。かわいい!       夏でもないのにカブトが・・・流石南国。


 26日に屋良部に来たときに見つけたスダジイ食堂に行って見ると、やはりクロカタゾウムシやクロスジクチブトゾウが居た。
今回は長竿を持ってきたので、スダジイの先端近くの新葉も掬うことができる。

ガサガサ・・・
・・・
ぽとっ・・・何かが
網の中に!

おおお!イシガキフトカミキリ!!!!(テンションMAX)

   
               スダジイの御神木                          イシガキフトカミキリ
 なんと、新葉を掬うだけで3頭もイシガキフトを得ることが出来た。捕れてよかった~♪
このカミキリも5月くらいに行かないと捕れないの思っていたので、本当に嬉しい!さすがに追加個体は出なかった。
 いいカミキリが捕れ、キリがいいので昼食にすることに。
             
                 
     景色が素晴らしいと飯も美味い!

 午後
 よく周りを見てみると、まばらだが開けている場所があり、かつて伐採があったことを物語っていた。こういう場所はカミキリが多く捕れる。
ビーティングを中心に広い範囲をやることにした。カシ等の照葉樹も夜行性のカミキリが潜んでいることもあるので要注意。
本来、ライトトラップ等で採集される事が多いイシガキキマダラミヤマカミキリもビーティングで得られた。

 サビカミキリ系は粗朶を適当に叩くと必ず落ちる。枯葉の付いた枯れ枝からモモブトトゲバカミキリ、タテスジドウボソカミキリ等も落とせた。
   
      
粗朶で得られたカミキリムシ             モモブトトゲバカミキリ          イシガキキマダラミヤマカミキリ

 順調に個体数と種数を増やしていく中、触角の中間が白い大型のヒメバチが視界を横切った。
そいつは直線的に飛び、写真の調度赤丸の部分へ止まった。よく見ると、ヒメバチではない様子。近づいて行くと、そいつの正体が分かった。

      
     
例の場所。葉に止まった後、幹を歩いていた    ヤエヤマムネマダラトラカミキリ


 
本土に生息するムネマダラトラも採集したことがなく、今回初めて採集することが出来た。やったね!
木が切られ、空間になっているところには蔓植物のテリハノブドウが絡まるようにして生えている。よく目を凝らして見ると、
何やら小型の甲虫が飛び交っているのが見たので、ネットイン!イワサキキンスジカミキリである。
 このカミキリ、八重山ではごく普通に見られる種らしいのだが、危うく出会う前に最終日を迎えるところであった・・・。
付近にテリハノブドウが群生していて、15exsを追加できた。金色のラインに惚れました。
 車に戻ると、窓に小さなカミキリが止まっているのを発見。なんとイシガキチュウジョウトラカミキリが!!
 もう、感無量。(例の三種捕れてないけど)
  
          イワサキキンスジカミキリ               イシガキチュウジョウトラカミキリ モノクロな色合いがクール

 今夜は最後の石垣島の夜。豪勢に島料理を堪能して、(タトウを整理して)眠りにつきました。

 この9日間で、離島採集にかなり慣れることができ、来年の課題がさらに増えました。
今回の採集では春の石垣島が満喫できたので、それだけでもう満足です。

                        
 来年の3月まで待ってろよ石垣島!!


       終わりに
       偏った視点、内容になりましたが、
       後まで読んでいただき、ありがとうございました。

                             完

                                             
        沢田光
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